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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

カネボウ

2013年11月23日

カネボウという会社は紡績で有名で、弊社にもカネボウブランドのシルク糸が残っています。日本での産業用の絹糸は国産がなくなって久しいですが、カネボウも最終は、中国とブラジルでの紡績となり、粉飾決済事件とともに原糸部門からの撤退。

私自身がたまに使った印象では、カネボウのシルクはシルクとしては色艶など綺麗ですが、半製品みたいなもので問題を取り除いて完璧な形になるという印象です。カネボウの海外でやっていた紡績部門が成り立つのは難しいなあと糸を使った印象で感じました。問題も程度問題ではなく、致命的な問題なので、原糸を見ても分からないですが、染めると露呈して作った生地が全滅する可能性が高いもので、それを防ぐために途中で問題を取り除く工程を必要とします。

リネン紡績に関しても糸の品質が落ち、問題が起こるとそのうわさがすぐに飛び、噂というのは正しいことも多く使わないほうが大きなリスクを被らずに安全なのです。これは糸の品質だけでなく、糸の産地なども同じでこと。正しい情報を得ようとすれば、欲する側も過度の期待をしないことで、現状と受け入れることも大事だろうと思います。

繊維とは関係ありませんが、あるところで地場産品のお土産を買おうとして、値段も付いていてディスプレイしてある商品を欲しいといってもそれそのものは絶対に売ってくれないことがありました。それはそのディスプレイしてある商品は本物で、通常に売るものは他から仕入れたものであるのを察しました。その業界の頂点に立たれている職人さんでも食べていくのがそういう形であるというのが気の毒に思える。

自分でつくったものは、結果、不細工でもいいじゃないかと思うことが多い、小綺麗にしようとすると薄まってしまうもの。絞りたての牛乳のようなものづくり、長年寝かせた蔵からの蔵出し、作りたての感触。


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