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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

講演会

2014年01月28日

朝から昨日のシャトル織機の準備の続き、動かすまでに、10数時間は作業が必要というのも予想はできていたことだが時間を見つけるのが難しく、詰め込んでの仕事。

午後からは彦根で、読売テレビの岩田公雄記者の講演会がありました。昭和30年代くらいからの世界的な大事件報道などの流れを聞いて、懐かしいなあと思えることも多く、時代というものは常に安定をしないものだなあと感じました。

政治の話も多かったが、私自身は政治にはほとんど興味ない。政党の争いとか、派閥の争いとか、子供の喧嘩みたいなことをいい年した年寄りがどうしようもない。そんな恥ずかしいレベルのものを日本の歴史と呼ぶには馬鹿すぎる。国家議員として国民の代表として選ばれたなら、集まって脚の引っ張り合いしていないで、自分自身で台頭に一人ひとりが言葉を発するべきだと考える。みんなで渡れば怖くない、みたいなのが多すぎる気がする、国会議員になったものですらも力に弱く、力に縋ろうとする人たちが多すぎるのだ。

その後は、懇親会で、和太鼓の演技、彦根の粋なお店のいろいろな料理で立食パーティで、朝からなんにも食べていない状態だったので、すきっ腹には豪華すぎる味でした。

会社に戻って、夜は、帯の織りの続きと輸出書類の作成など、そのほか、バッグ生地の織りや新規に受けたストライプ生地の生産の案件。あと、アパレル向けの見本の進行などの柄出など。

夜中、帯の織機を動かそうとするが、ヒガエが出来ず杼箱の辺りを根本的に調整しないといけないような状態。部品を位置を正しく取り付けなおしたりしながら1時間くらい掛けて正しく動くようにする。今まで動いていたのが不思議である。ネジも反対から差し込まれていて、しっかりと締められておらず不安定、一見して問題がいろいろなところに見える。

糸のテンションは大丈夫だが、シャトルを叩き出すタイミングも違和感を感じる。何も足りないものはないのだが最適な位置に調整を掛けてあげるだけで織機が正しく動くようになる。他の人が教えてくれるのは大きな基本のところだけで後は仕事をしていく中で見出していくもの。大事なのは手の感覚で、織物を織るときにその感覚があるのかないのかで織機の調整にも大きな差が出てくる。

私自身、織機の調整がすべてみたいなこと偉そうに書いているけど、たとえ、織機の調整ができたところで食べていけるのかという問題も常に感じてはいる。織物屋が織物を織れなければ、誰も仕事をくれないよ、という当たり前の話を働いている人にすることが多いが、仕事ができなくても当たり前に仕事があると思ってしまっているのが働く人の感覚なのかと思うところもある。仕事を探すというか生み出すところから作って納めるところまで完結しないと当たり前に駄目なのだけれども、地場産業というのは分業の中で動いているので、その当たり前のところも難しくなってしまったのだろうと思える。

近くの分野は違うけれども機屋さんが1年ほど前に廃業された。私の同級生のお父さんが社長で、話をしていていろいろと指導をくださったのだが、亡くなられて会社にその仕事を引き継げるほどの強いものがいなかったというのは気の毒な話だろうといえる。設備なども入れられてしっかりとしてみえる会社ほど長持ちしないというのは、設備依存で本来は人の力こそ大事なのだが設備投資で人の力を補ってしまっているというのが理由だろうといえる。

あれもできるこれもできるではなく、あれもできないこれもできないとなるのも、設備依存になってしまうと量産向けの飽きられやすいものしかできなくなるものである。織物でも手品みたいな技法で織ったものは目立つのだが、凝った物でも一度見れ新鮮さは消えて飽きられてしまうのは、一度手品を見た人が次に同じ手品を見るのかという問題もあろうかといえる。本質的なものこそ大事で、ものに恵まれなかった昔に作ったものほど、人の作るものを超えた世界であるというのを感じるのが織物の世界。

昨年の展示会でも、近江上布を眺められたお客様が興奮気味に、ある一番の特別向けに一点ものとして提案したいというようなお話で、展示していた林与の近江上布を初対面の方に慕っていただくが、それというのは人がすべてのことに我慢できた時代のものづくりで、自分が食べる考える前に他の人を食べさせていくことを考えた時代のものづくりだからこそできあがったようなもの。たかだか、50年昔のことだが、今の自分が最初にとることを考える人ばかりのビジネスライクな流れの中ではその何十分の一の手間でできるものづくりでありながら、さらにそれを面倒がって難しいとか手を抜こうとする。


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