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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

加工のこと

2010年01月06日

今日は、加工屋さんのひとつが仕事始めでした。加工の指図帳というのを最後のページまで使い切ってしまっていて、朝、新しい指図帳をもらって加工に出しました。この日記をごらんの皆さんは「加工」という言葉に馴染のない方が居られるかと思います。

普段、生地を生地屋さんや問屋さんに売っていても担当の方は、生地を「加工」しなければならないということをご存じないことがあったりします。たとえば、洋服向けの細番手の麻糸というのは、弱いので、縦糸には糊を付けて織ったりします。織るときに、横の糸には織りやすいように水で分解する油を塗ります。

加工においては、糊抜きをして、洗って油分を落とすのです。それだけではありません。加工に投入する前に、麻の場合は毛羽が多いので、その毛羽を焼きます。そうすることで、表面がきれいな織物になるのです。

加工は、成分を落とすだけではありません。やわらかくするために柔軟材や選択したときの物性をよくするために熱でセットされるような樹脂を添加したりもします。また、表面に変化をつけるのも加工と呼ばれます。ワッシャー加工、タンブラー加工、そのほかいろいろ。

水につけたキバタが乾くと縮んでいますので、幅だしという工程を経て、表面が一様な織物が仕上がります。加工だけでもたくさんの人の手がかかり、通常は加工に出してから1週間くらいは待たないと織物が加工からあがってきません。単なる洗濯ではありません。
加工方法により、ひとつのキバタが何種類もの風合いや表情の織物に化けるのです。

織りあがったキバタをお店にそのまま並べてあるようなケースはほとんどなく、なんらかの加工を施して織物は、お店に並ぶのです。キバタというのは経糸がアップアンドダウン、横糸は比較的まっすぐな状態ですので、加工をすると、横糸がアップアンドダウンするため、横方向にリネンの場合、15%ほど縮むのが普通です。加工前に、127cm幅くらいのキバタが110cmくらいに仕上がります。

加工方法を決めるのは加工屋さんの仕事ではなく、織物を企画するものが、加工屋さんに加工方法を指定して加工してもらうのです。林与の場合、実績のある定番の加工が多いです。定番以外の加工は、10年とか着ることを想定した高級な麻ものには品質的な実績の面でも心配なのと、あと、流行に流されないようなベーシックな加工方法のほうが何年も着続けることを考えるとよいのです。

服の形も、ベーシックな形のものを選ばれるほうが、麻というのは丈夫なので、流行に左右されず何年も着続けることが可能です。


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