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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

リネンのトレイサビリティ

2010年01月08日

林与も、麻やリネンに関する正しい知識を消費者に伝えなければならないと考えているのですが、今日、業界関連の新聞を眺めていましたら、ようやく、リネンの大手さんもリネンのトレイサビリティを明確にしていかれるとのことでした。

現在リネン業界においては、大手さんのものも含めて中国紡績糸がアイリッシュリネンに化けて販売されているというのが実情で、今ではというより、10年ほど前からでしょうか、アイリッシュリネン糸と呼べるものを日本中の糸商が手配することはできなくなって久しくなっています。15年ほど前でも、北アイルランド紡績の糸を何銘柄か林与は品質重視で使い続けていたのですが、高価なために使えるようなアパレルさんというのも限られてきており、北アイルランドでの紡績というものを廃業が続いて2004年には完全に火が消えたということです。しかしながら、日本では、リネンに関しては適切な情報が、糸の販売元から伝わっておらず、大量のアイリッシュリネン糸がトレイサビリティもなくどこからか生み出され、生地になって販売されてしまっているのです。

本当のアイリッシュリネンを知っている方ならご存知かと思うのですが、アイリッシュリネンの色というのもありまして、一般にゴールド系な感じです。エジプト系のダルな黄色っぽいのとは違って、艶のあるゴールドなのです。ゴールデンアイリッシュと呼ばれるキリリィというブランドなどの糸は、ほんとゴールドでした。ハードマンズ社も昔の北アイルランド紡績の頃の生成糸はゴールドっぽいです。アンドリュース社のものも生成はゴールドっぽかったです。ほかにも林与の在庫に眠るアイリッシュリネンは今では手に入らないゴールドカラーのものが多いです。今では、高級リネンの標準カラーになってしまっているイタリア紡績糸を初めてみたときには、アイリッシュリネンとイタリアンリネンの色の違いに驚いたものでした。

北アイルランド紡績糸にしてもイタリア紡績糸にしても、糸の価格が高いので、その値段が通るブランドさんというのが本当に少なかったですから、林与のリネンというのは、当時高いといわれたリネンの中でも本当に特殊な世界でした。

今のリネンのグレーっぽいものは、ベルギーやフランス産の原料を使用しているなあと感じることができます。イタリアンリネンっぽいカラーです。今の高級糸と呼ばれるクラスは、イタリア紡績ものにしても中国紡績、昔あった韓国紡績ものにしても、原料の出所が同じなので、同様のグレーカラーに統一されている感じです。1亜、2亜の区別や、あとは格付けみたいなフラックス原料のグレードや紡績技術の差で糸の良し悪しが決まってきます。

また、リネンの糸の原料の産地というのは、出所が正しければ、作柄の悪いとしには、どの銘柄のものも一様に同じ悪い性質がでます。ベルギーにしてもフランスにしても国境を境にした隣接した限られた地域でのフラックスの栽培なので、作柄や天候が悪いときには悪いなりにどの銘柄にしてもその癖がでるのです。糸質が悪い年には、良い糸がまったく手に入らないような状況に追い込まれたり、リネンに対する需要が伸びると、出所は限られているので世界的な原料不足に陥ったりします。紡績会社も糸商さんも在庫というものをほとんど持たない時代になって来ているという裏返しです。


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