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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

年功序列の壁

2014年08月05日

売れるものを追うモノづくりというのは、一つの王道で、たとえば、綿がブームとなれば、綿のものを、レーヨンがブームとなればレーヨンを、麻がブームとなれば麻を、ハイテク繊維がブームとなればハイテク繊維をというようなモノづくりになるかと思います。

林与は麻にこだわったモノづくりなので、売れるものを追っているわけではないのです。年中麻を織っていますので、閑散期と繁忙期が生まれ、閑散期にはサンプルを作ったりするので、会社は仕事をしても逆に持ち出しが多く大変だったりします。それでも、強みを持っていることは大事で、林与というのは麻を織ることを基本としているので、同じ麻を織っているところがほかにあっても、林与の麻を使いたいといってくださる方が多いのもありがたいことです。

40年前の麻ブームの終わった後も、麻を織り続けましたが右肩下がり、一世代終わってやっと麻人気が復活してきましたが、産地はまだ世代交代が進んでおらず、同じ麻ブームでも昔とは違う流れであるということを理解できないと難しいのです。

先染の林与といわれるほど先染には強かったのですが、私が社長となってからは、いろいろな麻糸を、無地かつ平織で織ることに相当の時間を費やしました。私自身が「青の時代」と呼ぶその意味。ほかの人が手がけていることの多い、平織、無地を織っても、光ったものを作れないといけないのじゃあないかという思いです。

テキスタイルデザインというと、色柄の世界に入りがちですが、それだけじゃない。糸を織るという基本のところから見つめなおす。何千本の糸を繋ぐとか、やり直しに何十時間も費やすとか、織れない糸をどうやって織るのとか、平織、無地の世界にも奥の深さと味わいを求めつづけてみました。

ほかの人に頼んででは、頼まれた人の限界というものがあるので、自分自身で織ってみて、自分自身が納得のできる麻織の限界を知ることのできたことは貴重。でも、こういうのって外の人は期待してくれていても、中で働いている人にとっては不評なのですが、そういう人の問題を気にしていては、自分が仕事をするときにしっかりと大人の判断ができないだけのこと。地場産業って年功序列的な変な壁が多いので世代が下がるごとにどんどんと経験も少なく落ちていく、それが一番問題だろうといえる。


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