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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

撮影など進行中

2010年03月09日

せっかくいろいろな生地が上がってきたのに、今日もまだ新しい商品のほうをご覧いただけなくてすみません。写真撮影のほうは少しづつですが進んでおります。

自分で作ったのに馬鹿かもしれませんが、今回、新たにつくったオーガニックリネンPROシリーズの赤、黒、パープルなど色付耳バージョンシリーズなんかは良い感じなので、倉庫にしまっておこうかと思うくらいです。

同じ紡績ロットの糸を使っていても、加工で風合いや表情はまったく異なってきます。それが、リネンの奥の深いところで、加工で物性はかなり変わってきます。同じキバタのリネンを、10種類以上もの違う表情に変えることが可能なのです。その加工の知識を持つことも重要な要素です。

しかしながら、林与自身は、あまり、加工で表情を変えることは得意とはしておりません。リネンに薬品を使えば、いろいろ変えられるだけだからです。いつも使う加工というのは、実際には5種類くらいです。何十年もの実績があることで、それだけ、その加工というのが問題がないことがテストされていると思うからです。

ものを作っている林与からすれば、どれだけコストを掛けたものであるかが、実際には、その物の価値なのです。今、「自分が」つくろうとするとどれだけ掛かるかが、その商品の価値です。それは、単に材料費プラス加工賃という単純なものではなく、世界にPRできるようなグレードのリネン商品の開発に掛かる費用、試作の費用のほか、林与の歴史や麻織物の本場近江で布づくりを続けている重みも含まれてしまっているかもしれません。

逆に、いくらで売れるかがそのものの価値であると説教をいただくことも多いのです。売れる物の値段は決まっているから、あとはどうやってコストを落とし安く調達するかという手法です。それは、価格競争に勝ちものを自然に流すためには大事なことであるのは理解しており、海外や他産地で生産する手法です。量販向けのものを作るのには適した手法です。でも、海外に量産部分のシェアを奪われることにより、国内では、量が出ないクラスの高いものをつくる基盤すらも維持できなくなり、結果、産業自体の荒廃につながったのだと思います。

しかし、最後まで残っていようが、本場の本物を作っているというだけでは意味がないと思います。本物と理解いただけるだけのものを残していかないといけないと思うのです。だから、林与では、こだわったものづくりを心掛け、他とは一味違うものが基本です。アパレル向け服地として開発し改良を重ね、何十年も続く、林与の定番「本麻手もみの100番シリーズ」を作り続けていたり、業界の中でも扱うのが敬遠されがちな特別なリネンの世界を持ち続けているのです。

今、当たり前になってしまいましたが、近代以降、洋服のように売られるようになった本麻の甚平や作務衣なども林与から始まっています。近江上布などラミーのハンカチの日本のルーツも林与で、その時々でハイカラなことをクリエーションしてきました。次第に、安価な類似品なども増え、それが徐々に日本の麻文化として浸透してきたのです。


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