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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

お盆

2017年08月15日

今年のお盆も仕事モード。ご近所が帰省されているので夜だけは早めに織機を止める。織る作業というのは織物の工程の中でも一番時間の掛かる部分、特に、麻織物の場合には織る作業が一番時間が掛かる。1時間に1mくらいしか織れないものが多くそれを積み重ねることで何百メートルとなる。マラソンが2時間ちょっとの戦いだけど、織物は、林与の中でやっているひとつの作業工程がぶっ続けでやっても8時間以上掛かることがほとんど。整経の準備もそうだし、整経もそう、巻き取りは2時間くらい、経て繋ぎもそう、織り始めても1時間1メートル、2メートルしか織れないマラソン。

お盆というのは先祖が帰ってくるといわれるが、その帰ってきたときに織機が動いていたら一番幸せなんじゃないだろうか。日本の麻織物の本場といわれる近江湖東産地で風前の灯となってしまっている麻織物。ときどき、川に大きな鷺のような鳥が舞うと思う、ほとんど雀すら見かけることもなくなったのに、すごいなあと。また、機屋というものは花のようなもので、それに舞う蝶がブランドさんだったりするのだろう。蝶は花を求めて飛び回ることができても花はそこに咲くしかない。蝶にとっても花は必要だが、蝶がいなければ花は咲くことができないところも似ている。織物の作業というのは地道な作業だが花のように華やかな部分もある。

実際には、織物だけじゃないだろう。製造業やその製品そのものが消費者にとっては花のようなものなのだろうけども、その花が咲くことが少なくなってきたのが日本。海外から花をもってきて消費者に選んでもらうのが主流になってしまっている。先日、ある方との話の中で、自分があるのは先祖があってという話、本当によくわかるのである。私は仕事の中で先祖や親類、地域とのつながりを一番感じ、それを一番大事にしていている部分がある。普通だと仕事の中でそういうのを感じることは少ないだろうから、仕事でそれを感じるのは特殊なケースなのだろう。


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