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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

競争の世界

2018年05月06日

織物の仕事の世界は、守られた世界というより、自分自身が食べて行くために一定水準の仕事をクリアしないといけない競争の世界のうちに入ると思う。仕事をしてその一回の仕事の代金はもらえても。仕事をして布を作ってもその布がうまくお客さんの元で洋服になり、お店で売れなければ、次の年に同じお客さんからの仕事の話は入ってこないだろう。店頭でさまざまな洋服があるなかで、最終の消費者のお客様に受け入れてもらえるかどうかというところ。結局、道のりの長さや他の人の手を経るは別として、自分の作ったものが評価されなければ仕事としては成り立って行かない。

工場の中で仕事していると見えないが、受け入れてもらえるようなものを作らなければならないというプレッシャーは常に感じていないと、受け入れてもらえるようなものも作れなくなる。自分自身が自分のものづくりの基準を上げておかないとお客様の基準に合わせてものをつくることは難しいだろう。普段、ものづくりの基準が低いとお客様の基準が高い場合にそのレベルに上げての生産は難しい。

結局、天然繊維の麻のものづくりで、基準を上げるというのは、作業をする人の作業の高度さ、慣れ、正確さということにつながる。一つの作業でも、張り詰めたものがなければ高度なレベルにまで行かない。慣れというのは必要な要素で結果としてスピードが上がる、作業に我流を持ち込む人は天敵であり歩調を合わせないことに優越感をもったりしていて仕事が見えていない。正確さというのはなければ仕事は簡単なのだが正しいものづくりをするつもりもなければ仕事は最初から受けないほうがよい。

作業を学習するにおいて、最初できない人が上手にできるようになることは少なく。最初からできる人はできるし、最初から出来ない人はいつまでも満足なレベルまで出来ないことがほとんど。素直にやればそれほど難しい作業じゃないからできるのだが、仕事をやらない力がその人の中で働いていると難しい。仕事というのはやるかやらないかだけのことだなあと思うことは多い。やれば仕事として成り立つだろうし、やらなかったら仕事として受けたら大変だし。仕事があって喜べる人は強いし幸せだなあと思う。

今日は工場の中で、広幅絣の横糸を羽根巻きテストしたが作業スピードが上がらないので改良を加える作業。広幅の型紙捺染の精度を上げるための改良も加えた。頭の中で組み立てた広幅絣の作業工程が現実のものとなるためには、100回やって99回成功するような道具の完成度と作業工程の確立が必要で、問題に思ったところは改良を加えて試してみるの繰り返し。

着尺幅の近江上布よりも精度の高い道具が必要となる。織幅130cmほどなので、織工程に負担が掛からないように、捺染の精度を上げることと、機材をできる限りコンパクトにしつつ、1着分の捺染回数を1回か2回で済ますことができればと改良を加えて行く。事務所の3Fに上がると、2年目の試作布。自分で自分が作った布がよい感じに思えるのはすごくうれしいもの。早く、ワンピースに仕上げたいし、この製造工程の改善は、3年目の本麻実現のためのステップでもある。本麻は縦糸に糊がつくのと、毛羽があるので、捺染の問題はできるかぎりクリアして、糊の問題と毛羽の問題に取り組めるよう進めて行きたい。


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