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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

なにげなく

2018年04月18日

日本の麻の業界って、もう狭くなりすぎていて、頼むとしたらこことあそこくらいしかないという話になることが多い。3番目、4番目だと残れないほどに、需要は減っている。一つは糊付加工。和歌山の会社の社長が亡くなられて、あの親切にいつも電話で対応くださって責任持って仕事してくださってたお方で、そういう対応をできる方というのは業界でも希少な存在である。

一度、糊材を変えられて、超高級な麻糸と染めたのが整経もして織れなかったことがあった。正直に糊材を変えられたことをおっしゃられて、正直な方だなあと、一切請求もせずに、新しく糸を買って染め直してやり直して、2回目は問題なくできた。よかれと思って糊材を変えられたのだろう。長い仕事の付き合いの中で、1回くらいは大きな失敗も自分で吸収しないとなあと乗り越えた。100%に近く、よい仕事をしてくださる方だったので失敗があっても責める気にはなれない仕事ぶり。もし苦労することがあっても苦労を分かち合いたい方である。

そういう方が亡くなられると、技術はあっても、人が変わると同じことができなくなることは多い。同じ仕事を同じようにやっても、人が違うと同じじゃないというのが生き残った仕事の世界。今、後継者不足の問題が日本中のものづくり産業を襲っているけども、よくいわれるのが、利益が上がっているのに後継者がおられずとか。それはそういう方がやっておられるから商売が続いていたわけで、他のものが利益目的で継承してもすぐにポシャるだろう。

商売なんてものは、やり方じゃなくてやる人によって変わるもの。同じ成果のあがらないことでも何年も続けてやっていれば時が解決し成功につながることもある。逆で、時の運で成功すると、勘違いして商売の基本を見失うこともある。基本に忠実に仕事に専念されてきた方の仕事というのは、洗練されていてなかなか継承できるものではない。普通の人とは、考え方から違うから。


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