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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

糸斑

2018年10月31日

生成の色というのは色斑が存在する。レピアで織ると糸が連続しているのでその問題が少ないのであるが、ロットによっては、レピアでも突然に色が変わりまた戻るとかがありうる。色の濃さが一巻きの中でも異なるのである。ロットという名があっても、ロットとしては使い難いロット。ランダムに糸を散らして解決する方法などあるけども、なかなか、そういうロットは使い難いものである。加工すると余計に色の差がみえてくるとか。

糸商さんが企画するときも、生成は問題が多いので、結局晒して生成っぽい色に染めるとかで解決されるケースが多いようである。分かるんだが、生成は生成で使えないと残念なのである。これはあまり知られていないことなのであるが、生成といっても生成そのままはアパレル向けには使い難いので、一般的に生成と呼ばれるものは8分の1とか若干の晒が掛けてあるのが普通である。また、リネンの生成りは、水で洗って天日に干すと少しづつ晒されて行く。

リネンの生成の色というのは、繊維についた養分のようなものなのである。その斑点のように付いた養分が解けて落ちると透明な繊維になるのである。繊維そのものは白というよりも、半透明に近く、光を反射し輝くのである。これが織られた月光といわれる所以だろうと思う。昔の白のリネンは月光のように輝いていた。

イタリア銘柄チュニジア紡績の糸が色斑が激しく使い難く、高品位な中国紡績糸のほうが色が安定していて問題が少ない。ヨーロッパ銘柄よりも中国のトップクラスの紡績のほうが安定しているというのも、私が10年前に中国の紡績工場に行ったときに、中国の紡績はヨーロッパを抜くと思うと言ったら、その中国の紡績工場の社長に笑われたが現実に逆転が起こり始めている。昔からヨーロッパ紡績の糸を使ってきただけに、2000年頃以降のヨーロッパ銘柄の糸の問題は当たりもあるが外れる確立が大きくなりすぎて頭を悩ませることも多かったのである。

生成の糸に均一性がないことは、たとば晒すと問題は消えるだろうが、それを後染するとまた問題が見えてくるとか。昔よくいわれた中国キバタの後染めの問題と同じで、ヨーロッパ銘柄にも昔の中国糸と同じような問題が起こり始めている。糸を連続して使いながら途中で色が変わってしまう問題、糸商さんも把握されていない問題で実際に使ってみないと分からない問題である。オーガニックの糸の場合にはこれが極端に起こりうるのであるがそれはオーガニックの特性で証の一つだからと許容していたりする。


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