リネン日記
シャトル織機の経験
2019年02月16日
シャトル織機を導入したのは10年以上前のストールブームのとき、出機さんにはシャトル織機があったが、見本がなかなか織ってもらえず、決断して織機の入れ替えを行った。浜松から10台の古いシャトル織機が会社に入ったが、電気が入ったのが10月15日で、11月の最初に展示会で60種類のストールが必要。2週間ほどしか時間がないけども10台あれば何とかなると思ってた。電気を入れて動かして10台のうちまともに動いたのはたった1台だけ、北浜ではいろんな織物が織れていた織機なのに、麻が織れない織機を入れてしまったのかと落胆した。それでも、見本は私自身2週間ほとんど寝ずに、他のものは交代制で、1台の調子良い織機は24時間回し30縦、他の織機で2縦づつで、なんとか納期に間に合った。
ところで、見本は出来ても林与本番はどうする?織れない織機の問題を解決するために、なぜその1台の織機が織れるのかを考えた。注意深く見るとその一台には一本棒が付いている。他の9台にはその棒はない。私もシャトル織機との付き合いはまだ2週間程度しかないが、なぜか、シャトル織機はよく理解ができた。この棒が、ドビーの開口と閉口のときの糸のテンション差を吸収するように動いている棒であることがなんとなく分かった。
職人さんに棒の件を聞いてみると必要ないので動かす前に外したという。固くてその1台だけ棒が取れなかったということのようだ。職人さんは別の工場で太い糸を織っておられた方だったので、太い糸はテンションを張って織るのが普通でテンション管理は必要なくその棒は鉄と鉄がきつく擦れるので磨耗して駄目になるから使っておられなかったようである。細い番手のリネン糸を織るにはテンション管理が必要で、その棒を取り付けると残りの9台も織れる様になった。1台だけが固くて外れなかったのが幸運で、その棒が必要であることに気がついたのも幸運。
また、別のときに2台のシャトル織機を導入した、その織機も持ち主だったおばあさんの話では入れてから20年一度も動かなかった織機だという。どおりで、私が買って設置してからも職人さんに長い間見てもらうがまったく織れなかった。私自身は織機は必ず動くと信じているので、動かす自身がある。織機を見始めて10分ほどで違和感に気がつき、金具が付いているけども、遊びが大きく、モーターからの動きがビームの送りのギアに正しく伝わっていない。だから縦糸が切れて切れて仕方ないのである。織機というものは動いて当然だと思われるけども、たいていは動かないのが当然でそれを正しく動くようにするのが私の仕事だったりする。
これは私の会社ではないが、シャトル織機を入れられて動かない話があって見に行ったら織れない。開口の高さが高すぎてシャトルの動きがスムーズじゃなく、調整ではこれ以上は無理な範囲。おかしい、おかしい、こんな織機はありえない。テンプルがないのが最初から気になっている。向こうであった部品は全部ついているということだったが、疑いは増してテンプルが付いていなかったかどうかを確認してもらうと、再塗装の際に外して別のところにテンプルがあったという。テンプルをつけて織ると綺麗に織れ始めた。
一つ部品がなかったり、一つ部品がうまく動いていないとそこを直さない限りは、その織機はまともに動かない。他のところを触ってしまうと織機がガタガタになるので、正しい動かない原因にたどり着くことが必要で、私はその原因にたどり着くのが案外上手それは織るときに織機や糸と話ができるから、織機の変な音や、音のタイミング、糸の強く張っているのとかを感じることができ違和感として感じることが出来る。他の人の何倍も経験して正しい感覚が身に付いているからだと思う。麻糸は切れやすいので、テンション管理やタイミング管理が大事で、それは番手や密度によって微調整が必要となってくる。
こういう経験を新しい人たちにもぜひ経験して乗り越えてもらいたい。3つの事例とも新しく中古の織機をいれて工場が潰れてしまうようなことはどこでも起こりうる。そういうのを乗り越えられないと仕事も終わってしまう。他のだれもできないときに自分が動いて解決しないと。中古の織機を買ってもだれも動くところまでの面倒はみられる人はいないもので自分自身が面倒をみられる人にならないと。
織物を作るときに、織物設計だけじゃなく、こういう織機の調整や修理の問題も織物をつくる作業のうち。織機をみることができないと織物をデザインできても織物を正しく織ることも出来ないのが今の日本の織物業界。織物をつくることのディープなところまで経験をしよう。織物で食べて行こうとするときに悪いことじゃない。出来る人が少ないからそういうのできる人が織物ができる人としてみなされる。
私もシャトル織機に関しても、初心者から始まっているの分かってもらえるだろう。勉強したわけでもないし、経験がそれほどあったわけでもないけども、問題に直面して、自分が考え問題を乗り越えることが当たり前で、この仕事が続いている。
ところで、見本は出来ても林与本番はどうする?織れない織機の問題を解決するために、なぜその1台の織機が織れるのかを考えた。注意深く見るとその一台には一本棒が付いている。他の9台にはその棒はない。私もシャトル織機との付き合いはまだ2週間程度しかないが、なぜか、シャトル織機はよく理解ができた。この棒が、ドビーの開口と閉口のときの糸のテンション差を吸収するように動いている棒であることがなんとなく分かった。
職人さんに棒の件を聞いてみると必要ないので動かす前に外したという。固くてその1台だけ棒が取れなかったということのようだ。職人さんは別の工場で太い糸を織っておられた方だったので、太い糸はテンションを張って織るのが普通でテンション管理は必要なくその棒は鉄と鉄がきつく擦れるので磨耗して駄目になるから使っておられなかったようである。細い番手のリネン糸を織るにはテンション管理が必要で、その棒を取り付けると残りの9台も織れる様になった。1台だけが固くて外れなかったのが幸運で、その棒が必要であることに気がついたのも幸運。
また、別のときに2台のシャトル織機を導入した、その織機も持ち主だったおばあさんの話では入れてから20年一度も動かなかった織機だという。どおりで、私が買って設置してからも職人さんに長い間見てもらうがまったく織れなかった。私自身は織機は必ず動くと信じているので、動かす自身がある。織機を見始めて10分ほどで違和感に気がつき、金具が付いているけども、遊びが大きく、モーターからの動きがビームの送りのギアに正しく伝わっていない。だから縦糸が切れて切れて仕方ないのである。織機というものは動いて当然だと思われるけども、たいていは動かないのが当然でそれを正しく動くようにするのが私の仕事だったりする。
これは私の会社ではないが、シャトル織機を入れられて動かない話があって見に行ったら織れない。開口の高さが高すぎてシャトルの動きがスムーズじゃなく、調整ではこれ以上は無理な範囲。おかしい、おかしい、こんな織機はありえない。テンプルがないのが最初から気になっている。向こうであった部品は全部ついているということだったが、疑いは増してテンプルが付いていなかったかどうかを確認してもらうと、再塗装の際に外して別のところにテンプルがあったという。テンプルをつけて織ると綺麗に織れ始めた。
一つ部品がなかったり、一つ部品がうまく動いていないとそこを直さない限りは、その織機はまともに動かない。他のところを触ってしまうと織機がガタガタになるので、正しい動かない原因にたどり着くことが必要で、私はその原因にたどり着くのが案外上手それは織るときに織機や糸と話ができるから、織機の変な音や、音のタイミング、糸の強く張っているのとかを感じることができ違和感として感じることが出来る。他の人の何倍も経験して正しい感覚が身に付いているからだと思う。麻糸は切れやすいので、テンション管理やタイミング管理が大事で、それは番手や密度によって微調整が必要となってくる。
こういう経験を新しい人たちにもぜひ経験して乗り越えてもらいたい。3つの事例とも新しく中古の織機をいれて工場が潰れてしまうようなことはどこでも起こりうる。そういうのを乗り越えられないと仕事も終わってしまう。他のだれもできないときに自分が動いて解決しないと。中古の織機を買ってもだれも動くところまでの面倒はみられる人はいないもので自分自身が面倒をみられる人にならないと。
織物を作るときに、織物設計だけじゃなく、こういう織機の調整や修理の問題も織物をつくる作業のうち。織機をみることができないと織物をデザインできても織物を正しく織ることも出来ないのが今の日本の織物業界。織物をつくることのディープなところまで経験をしよう。織物で食べて行こうとするときに悪いことじゃない。出来る人が少ないからそういうのできる人が織物ができる人としてみなされる。
私もシャトル織機に関しても、初心者から始まっているの分かってもらえるだろう。勉強したわけでもないし、経験がそれほどあったわけでもないけども、問題に直面して、自分が考え問題を乗り越えることが当たり前で、この仕事が続いている。