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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

AI

2019年05月19日

AIも人が作るんだから、想定外が修正もできないまま一人歩きする。動物は他の動物を感知できるが、AIが動物を見分けることは複雑すぎるし、ミスも多い。人の感覚をAIに置き換えれば解決すると思うだろうけど、人の感覚はそれぞれ異なる。

壊れそうなものが落ちそうになったときに、強く握って潰すのか落としてしまうのかの選択。人間はそれを的確に判断して、反対の手で受けるとか他の人を呼ぶとか当たり前にできるのだが、そこまでのプログラムとなると結局AIが、AIよりも愚かとされる人に近づくことになる矛盾。

人はうっかり余所見などあって事故を起こすことがあるけど、そのうっかりというのは設計にもいっぱいある。自動車でアクセルとブレーキが同時に踏まれたときに、オーバーブレーキじゃなくオーバーアクセルだったというのがつい10年ほど前までのこと。頭のよい人たちが自動車の安全を考えているのにそんな簡単なこともつい10年ほど前まで無視してきた。

最新の旅客機がパイロットが努力してもMCASメカニズムのため2回墜落したのも、オーバーブレーキの問題と似ている。運転車は、緊急時にアクセルとブレーキを踏み間違うことはないという想定がいくつもの事故を生み出した。緊急時にパイロットが正しい手順でMCASを無効化すれば問題ないという設計とか、似すぎているのである。大事故が起こるまで狭い範囲の技術を過信して責任のなすりあい。

昨日も新しいスタッフに、タイイングマシーンの使い方を覚えてもらう作業。手で繋ぐよりも何倍も早く繋げる可能性はあるけども、何一つ問題なくタイイングマシーンがつなげるように綺麗に人間が用意してあげる必要がある。それが出来る人はタイイングマシーンを扱えるが、そういう人というのは手で繋ぐことは当たり前にやってのけられるような几帳面な人だったりする。タイイングマシーンがなぜ糸を正しく繋いでくれないのかを理解できる人しかタイイングマシーンを使いこなせないのである。

織物工場でも普通はタイイングマシーンを使いこなせる人というのは10人に一人くらいかも知れない。縦本数の多い産地などでは、繋ぎ手さんが機屋を回って、タイイングマシーンで縦繋ぎするとかが、よく聞く話。人の能力が高くないとタイイングマシーンはややこしいだけのこと。日本では、これからタイイングマシーンを使いこなせるような人が増えるのかというと逆に増えないと思う。日本全体としては、自分が覚えて繋ぐより、出来る人に頼んで繋いでもらう話になるだろう。糸がつなげる人がいなくなり織物が日本では織れなくなるのも近いかもしれない。実際の糸を繋ぐという作業は、手で繋ぐにしてもタイイングマシーンにしても技術部分よりも必要なのは忍耐の世界だから、生産性を上げて労働時間を短くの流れの中でそれに付いて行けない人は増えて行くだろう。先進国でもどこに解決方法を求めるかというと、子供に詰め込むというところ、児童労働じゃないけどそれよりも過酷な受験競争とか、大人よりも大変な子供たち。働かない大人の問題を解決するのが次の世代だったりして、先進国も途上国の児童労働問題となんら変わらない。世の中にでもて働かない大人が有能な新人たちを年功序列で縛っては駄目だろう。

将棋の名人も階級社会なので新人が簡単に取れないようにしてあったりで、本来は逆じゃないのかと思う。新人にハンディを上げて上のものは戦うくらいがよいのではと思うが、階級社会というのは強いものにハンディを与え、弱いもののチャンスを奪っている。将棋も、本当の実力主義だと年功序列体制がひっくり返ってしまう可能性もある。オーガニックの世界が商業的なプラスチックな流れになって、本当の苦労している現場のオーガニックの人々が働いたら働いたなりに報われるべきだろうと思う。


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