for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

外に頼むことと中でやること

2019年08月30日

以前、仕事関係のお客さんが、別の人は外注で整経してるけど、林与さんは整経を自分の会社でやるんだから安くできるでしょう見たいな逆な話。内部でやったほうが確実に人件費も掛かり設備維持費用も高いけど時間も節約できて自由度があるから内部で整経作業をするので外に頼んだほうが安いのは普通。複雑な整経だと時間も読めないし、外の整経屋が理解できず整経を間違えてしまうことももちろんある。また、支給の糸が1kgとかなので、それを割るだけで1日、2日掛かるような話だと誰も受けたくない話。

よほど量がまとまらないと見本から仕事していて成り立つはずがないのである。見本をやると時間だけ計算しても何十時間と織りあげるには掛かり、内部の人件費だけでも費用は縦1本、5万くらいは掛かってしまう。それでも、見本は無料でとか、1、2万でできるだろうとおもっている人も多かったりする。本生産で何百メートルも入れば成り立つだろうが、本生産で100mとかだと本生産も人件費も出ずにマイナス。他の仕事でマイナス分を穴埋めしないといけない。

小ロット生産というのは基本費用がむちゃくちゃ掛かるので、今の日本のアパレルのほとんどが小ロット生産の見本代というものを払うことができない。一つ1万とかのバルク料金で見本を作って協力もしていた生地商社の転職された新しい人が、そういうのもわからないで、見本作ると実際の費用は7万8万掛かるの当たり前ですよというと、その20年繊維業界にいる人が、初めて知ったといわれてた。1円でももらったら仕事は仕事ちゃんとしないさいみたいなどうしようもないこと偉そうにいってる人だったけど、本当に20年の素人もいたりする。生地の企画で覚悟もなく企画では困る。

結局、その新しい担当になってからは仕事は小さくなり流れる話ばかりしかも二股三股の話で最初から相手にしないほうが良いレベル。個人のサラリーマンが自分のもうけを考える程度のことではサンプル生地一つもできない。自分の給料の金を使って、本生産で売れてやっとつかった給料分が返ってくるという普通の商売の感覚がないとオリジナル生地の企画は無理なのである。結局、その商社向けにはサンプルを一切作らない流れになった。

オリジナル生地というのは費用が高くつく、お金を用意して注文もいれる覚悟があればできないことはないのだが、1点に使う費用だけでも通常は人件費4万から5万、材料費4万から5万、加工代1万から2万、出てゆくだけで10万円程度掛かってしまうのが普通。会社の間接費用とかも含めると利益ゼロでも15万円くらいはかんがえておかないとオリジナルサンプルなんて受けられない。そういうの用意できる会社があるのかというとなかなか日本の繊維企業では難しいのである。

昔、25mづつ先染めで1500円とかの請求で4色つくって、本当だといくらで売らないといけない生地ですかという質問があったので、1m4000円くらいでは売ってもらわないと成り立たないだろうというと、私がぼったくっているかのような話に思われた方があった。実際、払った分で、1m3000円は掛かってしまっているものを、掛かった費用以下の1500円で成功してほしいと思って販売した、それほど費用が掛かっているとは思っておられないのだろう。その人にも最初から言ったのは、高級な生地というのは日本では売るのは難しいという話からしていて、海外で1000円で仕入れたものを3000円で売る商売のほうが成り立ちやすいのである。

1反50mとかの小ロット生産だと、糸からしても染代が2倍かかったりするし、ロスも通常のロス計算からさらに2割3割できてしまう。加工も見本料金。普通の生地でも50mで生産すれば500m生産する費用の2倍が掛かるものである。林与では普通に、自腹でそういうの覚悟して見本をつくることあるけど、50m作って1m3000円くらい外に払っているのが当たり前。5m、10mだけの試作とかだと普通の生地でも1mあたり1万円以上かかっているものも多い。

高級という意味ではそれなりに高いコストを掛けてものづくりしているので理想的ではあるのだろうけど、なかなか、サンプルに10万とか15万使えるアパレルさんというのはすくないので、サンプルつくるだけじゃなく、量産も一緒に一気にやらないと費用面で成り立ちにくいという話になる。アパレルさんによっては、オリジナル生地でもサンプルが必須だったりするところが多いのだが、あと検査なんかもいれると検査代が2万とかも普通。求められるものは多いけども費用をどんどん高くしてしまうようなものづくり、確認確認でものをつくらず、思い切って一気に作って浮いたお金で、もう一つ仕事をするほうが良いのではと思う。

また、見本費用が払えないだけでなく、仕事で発注書も出していても売れ行きが悪ければつくっても買わないお客さんもいるから、そういうところは相手にしないくらいが丁度の対応。日本の繊維業界の企画するものにプロがいなくなっているのを思う。サンプル見なくてもこんな感じになるというのが分かるのがプロのものづくり。また、多少の違いというものは料理の仕方でプロならカバーできるとかがないと、作る量も少ないだけに成功は難しいのではないだろうか。

一番困るのが掛かる費用を案分して企画しようみたいなタイプで、そういう人の企画には乗らないほうが良い。企画するものが費用の面倒をみて企画を進めてゆくのが普通だから。成り立たない企画とか倒れる企画も多く普通なんだから、そういうの自分がしっかりと覚悟して企画しないとダメだろうと思う。費用をみんなで負担して売れたらみんなで分けましょうみたいな企画だったらやらないほうがまし。売るものがしっかりと責任をもって自分が買い取って売らないとダメなんだろうけど、そのあたり当たり前に買取できない人がほとんど、製造業だってぜんぶ糸も買って染代も加工代も人件費も払ってやっているが、売る立場の人間が自分が買取ができないとかの論外がまかり通って、全員でただ働きして売れたら全員で分けましょうみたいなどうしようもない話になる。自分が売れないものにも払う覚悟がない気軽な身分がいて企画しているのが問題だろうと思うところ。

生地を売るのが難しいと思うことは多いけど、高い生地でも評価してくださる個人のお客様というのは多い。生地問屋の方でもいやなら自分で売ったらよいといわれて変な義理が解けて助かる話、それでいてその人のやってる先に私が売るのはやめてほしいとか頼まれて、なんじゃそりゃ。その先ですら私と同じ年の社長が覚悟ももたずなのが分かってどうでもよい話で、仕事をゼロにした。その会社から林与のものづくりへのこだわりが消えたのは、そのアパレルのものづくりへのこだわりが何分の一になったということ。その会社がつぶれたら何千万の損をする覚悟していて、間の人が逃げて、私がその資金繰りの面倒見る話で、その会社の社長も同年代で覚悟もないのが分かって、だれもが普通の覚悟もできなくなれば覚悟してる人間が一人だけで終わるしかない話で、それはそれで覚悟もない形で回ればよい。
その会社の親会社のひとも覚悟なく、専務取締役が約束しても見本作った段階で、コストも下げさせて売る自信がないから発注を4分の1にしてほしいとか、私が60万くらい外に払う分で使って年商800億円の会社が、その60万円もかぶらず逃げる話だから、年商800億円というのが成り立つ話。年商800億円の会社駄目なのわかってて、私に近い人の頼みだったからここは支払いなど怪しいからといいつつ義理で受けて、自分も1か月ほど動いて、結局外に支払った60万をかぶる話。日本の旧体質の繊維商社はその程度で、立場の弱いものを食い物にして値段約束させて買う量を4分の1にするのが普通のやり口。そんなの受けたら見本で60万つかって、本生産でも大きな赤字。それでいて800億円企業はなんの痛みもなく、値段をさげさえ少量にかき集めて商い。60万を惜しむより、60万円を自分がかぶって、腐った企業と縁が切れるなら縁を切ったほうがましな話。母体が腐っててはその子会社のアパレルもどうしようもない。日本の繊維業界というのは大きくやってても一つの仕事にでもその程度の覚悟のない話だから儲かっているというあたり、大手SPAのほうが覚悟決めて動いていることが多いので負けちゃうのも当たり前。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内