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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

マルセル石鹸

2019年11月22日

加工工場に投入で大きな問題が昨日発生した。加工工場が生産時期に入ってリフトなどの出入りが激しく、遠い駐車場所から反物を2反抱えて運び込もうとしたときに、生地がツルッと滑って、上の1反が地面にかすって、反物の折り目が汚れてしまった。

いままでこんな失敗はしたことがなく、どうしたものか、加工工場の会長さんに相談。石鹸で洗って投入し直してほしいという話に、親切にもよく落ちる石鹸を貸してもらえるという話で、会長さんが現場にある石鹸を探してくださるが当たらない。高い石鹸で終わったら返してや、というお話。

多分、もう手に入らない石鹸かなと思って、事務所で少しあった石鹸を見て、林与が昔近江上布のときに使ってたマルセル石鹸と同じ感じで、それで良いということ。今のマルセル石鹸は蛍光剤が入っているそうで使うと問題が出るそう。与一爺さんが、オイルショックのときに、もう手に入らなくなるとたくさん買い占め残っていて、林与の広幅絣織物プロジェクトでは活躍するだろうと思っている。

私もこれは古くても貴重なものなので処分しないで倉庫に取っておいた。時々、会社でも布を洗ったりするのに使う。子供のころも、その石鹸があまりに色も濃い目のベージュで大きくてオシャレじゃないので、うちはなんて貧乏なんだと思ってたけども、近江上布に使う手績み糸をトン単位で買い占めたような与一爺さんだから、相当な覚悟でマルセル石鹸も買ったんだろう。

水で洗えば落ちると思っていたが、やはり油的なものも水たまりにはあるのか、石鹸を使わないときれいには落ちない。石鹸を付けて指で撫でるように汚れを落とすときれいに落ちた。古いものだが本当に良いものなので今も使える。そういうマルセル石鹸で、昔、林与の近江上布の絣も洗われた。

今は業務用というと安いイメージがあるかもしれないが、昔の業務用というのは市販品と比べると、品質が高く値段も高いというのが普通。今も、林与の工場の手を洗うところには、ベージュのマルセル石鹸の塊があったりする。もう手には入らないだろう昔のオイルショックの名残のマルセル石鹸。


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