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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

道具

2020年06月06日

道具には早いうちに覚悟して慣れたほうが、できることは何倍も増えてゆく。織機なんかもそうなんだけど、極端な話、パソコンの使い方も分からないままでいるより、徹底的になれたほうが良いと思う。私も今ま迄何十年の経験者にもっと早く確実にできる方法を教えるのだけども、それを受け入れられる人というのは例外的で、不確実性をもったまま作業してうっかりがあると全部やり直さないといけないとかが普通だったりする。新しいやり方に適応できるのは経験者では10人に一人くらいだろうと思う。逆に未経験の人というのは新しいやり方を基本の方法としてスタートできるから仕事が見えて仕事していることが多い。失敗はしてもよいのだがその失敗を次に失敗しないように正せる人でないと、経験者が素人にも負けてしまうのが普通。

単純な話、機場で織っている人が整経くらいはできてもよいのだが、パンチカードくらいはつくれてもよいのだが、糸量の計算をできてもよいのだが、最初に分業的な経験で始まった人というのは、その域から抜け出せない。今までそうやってるからそれ以外の方法というのはあまり経験もしていないので、作業の少ない単純な量産には対応ができるけども、数メートルのサンプルを1日2日でこなせるのかというとどうしても分業して1週間かかってしまうとか、本来は分業はスピードアップにつながるのだけども、それぞれの工程が長くやっていても経験が浅いことが多いのである。

糸を繋ぐのも、林与で数回教えるだけで普通につなげる作業なのだけども、それは他人事で織物の現場で何十年の人も多い。ある機屋さんから相談があって、タイイングマシーンの歯がないという話で、その機種というのは私の会社の一つ前の機種で、歯の入手は難しいから、それなら私の会社が使っているタイイングマシンが20万円も出せば買えるからの話をするも、それはなかなか受け入れられない話みたい。1台のタイイングマシーンを大事に使っておられるのだろうと思うが、林与の場合は、4台のタイイングマシーンがあって、もしもの時に備えている。

織機なんかでも同じで、作業する人間が2人でも30台近くあるが、それは私の考える人の力を最大限に生かすスタイルで何倍にも作業の効率化が可能となる。だから、林与が小さな会社でも大きな会社と同じくらいに布が作れるのである。織機でも使っているとうまく行かないときがあるけどもそこで問題を解決できず止まってしまうと、外から見れば仕事ができないという判断、それを避けるために織機をスペアとしていつでも使えるように余分に持っていることが大事に思う。

パソコンなんかももしもの時にスペアで同じのを5台持っている。スマフォも同じでもしもの時の予備に5台、プリンターも4台持っている。基本使うのは私一人なのだけども、何か問題があったときに、そこで止まってしまうことが今までも多かったのでそういうリスクを減らすことが大事だと考えて準備はしている。パソコンがうまく動かないという問題は、多くの方が抱えられていると思う、そういう相談を多く受けると使われているパソコンがハードディスクを読み書きばかりしているスラッシング状態のケースが多い。なぜ、スラッシングばかりするようになったのかみたいな問題を一生懸命考えるのは根の深い問題で、本来、パソコンはバグが多いものと割り切って問題が起こったらその問題を解決する方法を持っていることが大事だろうと思う。

何が正常で何が異常なのかの見極めが大事で、プリンターにしてもメーカーの人が解決してくれるのかというと、なぜか、プリンターのドライバーの導入の手順なんかも、認識させるのとドライバーを入れるのは本来はどちらでもよいはずなのだが、決まった手順でやらないと認識してくれないというケースがほとんどで、その辺りからして、すべてを解決する方法というのはなかなか難しいのが分かる。本来はハードウェアというのはハードウェアであればよいのだけども、ハードウェアもソフトウェア次第なのが、ボーインク737MAXのような話。

ハードウェアを作ることの難しさというのは織物を作る難しさと似ている。ハードウェアとしての織物はソフトウェア的な後でどうにかなるというような要素はほとんどない。一方でデザインの世界は織物をハードウェアてきに考えるのではなく後で変更可能なソフトウェアとして考えてのモノづくりで、一から新しい織物をつくるのと同じ以上に似た企画が増えることでハードウェアを管理する側はややこしかったりする。問題の解決方法をアイデアだけでいうのと実際に実行するのとではまったく別の話で、そのあたりが結局、繊維業界の根本的な問題につながるのだろうと思うところ。


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