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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

残念

2021年02月19日

林与のことではないけども一人の繊維産業を盛り上げようとして動いている方がコロナの影響もあり事務所を閉じられた。実際に自分でやってみると繊維で自分自身を成り立たせていくこと自体が難しいという問題があろうかと思う。今は、繊維業界が活況だった昔と違って、売れるようなものをつくったとしても海外から似たようなものが10分の1の値段で大量に数か月あとには出てくる。

ゆえに、日本でモノづくりをしようとすると、ニッチェ的なものづくりになるのだろうけども、ニッチェな世界というのはターゲット自体が大きくないので、なかなか織物の世界のような組み立てじゃない世界だと、小回りが利きにくい。それをどう小回りを利かせるのかというところじゃないのかと思う。

力強く力のあるものが動いていくしかないだろうと思う。ある別の若い方が小物づくりで自分のブランドを立ち上げられたが、裁断や縫製なんかにしても量がまとまらなければなかなか一つ一つを頼むことは難しい。自分で裁断や縫製するとかが一つの方法で、それでよいと思う。でも、なかなかそれを自分でできる人はいなくて、作業は他の人にやってもらうというのがスタイルだと、最初に数がまとまってつくるはできても、そのあと追加でつくるとか簡単なことも前に進まないことは多いだろう。

例えば、素敵なお店が上手に売れているように見えても、その売上以上に地代や人件費、広告費などのコストが掛かっていることも多かったりする。そういうのを小さな規模のものが理想としてないものねだりしても仕方ない話。小さいなら小さいなりに自分がものづくりしてそれを売る様なスタイルこそが持続的な形だろうと思う。自分でそれをやっている人というのは長続きするもので、分業的な形を求めると一つの要素で突然問題が起きて解決できなかったりしてできなくなったりするものである。

私自身は、大きくやることがすごいことだとは思わないし、自分自身が切り盛りして続けていけることが大事だろうと思う。大手の有名な家電メーカーなんかは、優秀な人が集まっていても会社が傾くと廃業という形も多く、結局、大きくなると薄っぺらくなりがちで、誰でもができるような仕事が増えてきて、素人でもできる仕事のスタイルを目指すことになる。私もコンピュータの製造現場で働いたことがあるが、誰でもが同じようにできるような工程管理に落とし込み、これが世界最先端の製造現場なのかと逆に思う。

そうなってしまうと、人件費の安く、すべてのコストが低い海外での生産が一番うまく行きやすくなり、日本でのものづくりは断念する方向になる。結果、社員の福利厚生なども非常に高いレベルの工場ではあったが、その数年後には閉鎖されてしまった。工場が閉鎖されるような状況に陥っても、だれか、一人ががんばるとかでは無理なレベルで、たどり着いた結果ともいえる。


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