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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

リネン150番手

2021年03月24日

数年前、アイリッシュリネン140番手や現行のリネン150番手を先染めで織るプロジェクトの審査の際に、手に入った糸を染めて織っただけで何が新事業なんだと言われたけども、普通は麻業界でもありえない世界で本質的に超えた世界だから、審査員の先生にも理解は難しすぎるし説明も難しすぎる。林与の求めたい世界を、そういうタイプの審査員の先生に説明するのは難しい。

審査員の先生と私の人生観というか世界観が違いすぎて、多くの消費者が憧れる麻織物やリネンの世界感の否定から始まってしまっていて、その程度の方が審査されているなら審査通らなくても別によいなあと思う。あと、自分で売らないで他のプロに任せたらというアドバイスもあったけども、おっしゃるような販路は普段から持っているけども、自分で売るのが一番動きやすいからというあたりの理解がないと。

現行のリネン150番手の糸ですら、世界の紡績工場で紡績できる工場は2社で、その紡績工場にも在庫が100kgとかがあるかないかの世界。それを手に入れることはなかなか難しいのだが、まあ、それができるとして、果たしてその糸が織れるのかの話。普通の麻織物を織っている工場だと無理な話なのである。しかもそれを先染めでやるとなると何倍も難しくなる。そしてそれなりの密度。

自分の中で一番難しそうなところを超えてやるから新事業なのであるけども、海外の展示会でも普通は70番手、80番手どまり。それを150番手と一気に世界最細番手で先染めでしかも自分なりに密度を混める織るに挑戦してやったからよかったんじゃないかと思う。

自分の中でも一生にそう何回も挑戦のできることでもないけども、そういうのを麻織物やっているならやっておきたかったから、やれて本当によかった。たまたま、環境もそろっていたからできたことで、何か要素が欠けていたら出来上がらなかったこと。

カシミアの糸は1kg数万出せば手に入るけども、リネン150番手の糸は1kg数万出しても手に入れることは難しいし織ることはさらに難しい。じゃあ、本来は、いったい何に使う糸なのかというと、ハンカチ用の生地とかを手織りするために使う糸なのである。

麻織物の世界にいて、そういうことも自分自身経験ができたことは幸せの一つで、審査員の先生がみても何を喜んでいるのかという世界だろうけども、そういう世界に挑戦するとか、そういうのをやって喜べるということが普通にはないだろうから。そして織って、番手自慢しいているだけではダメで、その織った布がそれなりに素敵に見えないと駄目だろうとは思っている。それなりに素敵な上等な布に見えるようにするのも大事な要素。


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