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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

一回勝負

2021年05月12日

インターンの女の子が、手織りの研修を終えて楽しかったといっていた。手織りだと失敗したと思ったら戻ってやり直せるのが安心だと。一方で、林与の仕事は一回勝負のことが多いのでプレッシャーがあると。

今日も、スタッフがまだまだ慣れない整経作業で本生産の整経。部分整経でひとバンドごとに整経順番にやってゆくのだが、その次のバンドを始めるときの目合わせがまだまだ慣れていないのでうまく行きにくい。

私も最初の時に目合わせが広く間が開いたり重なってしまったり、機械的に送りを送る方法をやりたくって仕方なかったが、機械的に送りをつける方法のほうも案外広く間が開いたり重なったりするので、自分の目を信じての目合わせの方法でやっている。

整経作業というのは目合わせの失敗で、隙間ができたり重なったりして、巻き取りに苦戦するようなら織るものもうまく織れなくなってしまうので、人間の作業の精度が高さが大事で、整経を失敗すると交通事故の物損事故くらいのダメージで何十万円から100万円とかの失敗につながる。

整経を外に出している企業が、整経をしてもらえるところがなくなってきてといわれるのもそれも分かる気がする。たぶん、普通の織物作業の感覚だと10回に3回は失敗に終わるだろう。サンプルなどの時は、糸を割ったり残った糸を片付けるで、織物を織る以上に整経作業のほうが手間と費用が掛かる。

先染めの色柄は簡単にシュミレーションできても、実際の織物が同じように簡単には作れないのはそのあたり。また、整経の一回の失敗で全部の作業がパアになるも普通。昔と違って今は一回の材料を正しく準備して一回で上手に使えないと、失敗したから他の仕事で挽回するというのも難しい。一回勝負で何でも正しくこなしていく力がないと食べていくんが難しい繊維の現場。同じ繊維業界でも日本の繊維業界の現場は昔と今ではまったく違う業界になってしまっている。


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