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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

コロナ前の話

2023年02月15日

コロナ前の11月の大阪の展示会で、京都の晒加工で有名な織物加工工場さんが加工業をやめられた話をお聞きして、1m100円程度の加工賃を10円値上げしてほしいというのが受け入れられなかったということで加工業の廃業を決められたそう。コロナ前ながら消費税増税ならびに人手不足による人件費高騰などあって繊維業界にはすでに不況感が漂っていた時のこと。その方が1年以内に京都の加工工場の半分くらいが廃業になるというような予想をおっしゃっておられたが、それほどにコロナ前に京都の加工業界は悪化していたようである。

そして年が明けて2月3月にコロナが世界的に恐怖感を増し、5月には日本でも営業自粛などが行われた。そして早4年、その間も国内のアパレル業界や着物業界はコロナの影響を受けて大きく落ち込んで、特にイベントや外出、海外旅行などの市場が消えたせいで、高級ゾーンほど壊滅状態に。

業界の形態も変わり、展示会受注方式から、新しくモノを作るではなく、従来のの在庫品を活用するようなエコ、エシカル、サステイナブルな流れに移行してきた。林与においてもアパレル向けの比率は非常に小さくなり、キッチンクロスや雑貨、資材系の織物の生産を中心に、それなりに忙しくは仕事を回しては来れた。

店頭自体を自粛閉鎖状態にされていたところもあったりで、善意業界は一般的には雇用調整などの給付金を受けて休業状態にされているところも多かった。林与も昭和の先代のころは夏場というのは仕事がないような状況もあったりだけども、私の代に変わってからは年中やらないといけない仕事で手いっぱいの状況が続いては来た。だが、仕事内容は、新しいことを手掛けることが多いので、新しいことを当たり前にこなして答えを出していけないとならず、作業する人の能力の高さみたいなものが必要となり、今の現場は、昭和の時代のように分業でだれでもができるような作業ではなくなってしまった。

不思議なのだが、何十年の経験者ができないことが多くなり、初めての学生のアルバイトの人のほうがこなせることが多いというのも、仕事内容の高度化についていけるかいけないかというあたりの問題で、慣れで考えずにできる作業ではなく、確認確認ばかりで、学校の勉強の確認作業と似たようなところが多くなり、それに付いてゆけないとなかなか仕事が難しく、失敗が許されないという、昔の人にはついていくのが難しいような作業になってしまった感がある。何倍もの正確さで、何倍ものスピードで仕事をこなして行けないと、成り立たない今の繊維の仕事。


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