for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

木管

2011年01月26日

倉庫の話の続きですが、糸を巻く木管がたくさん残してあります。今はプラスチック管に巻いて出荷されることが多くなりレトロな感じを髣髴させるのですが、今も昔の木管を大事にダンボールに詰めてあります。

木管に残る残糸を片付けるのを、小学校1年生頃にしたのを覚えています。最初は楽しいのですがすぐに飽きました。色柄のものを整経するときには、柄の本数分の木管が必要になってくるのですがそれを片付けるのがまた一苦労です。木管に残ったわずかな糸ですが、十グラムほどでももったいないので固めて何かの時に使えるように残しておくのです。たとえば、チェック柄のスジ使いにするとか…

木管というのは再利用が利くのです。一方、プラスチック管や紙管は使い捨てのものとして扱われます。だんだんと、木管が使われなくなったのを思うと、エコではない時代だなあとつくづく感じます。再生しないと使えないというのが果たしてベストなのかというところです。

一方で、昔の糸というのは一つ一つ紙に丁寧に巻かれていたのです。今はビニール袋に包まれています。紙というのは、これも使い捨てにせずに、重ねておいて、整経のときの糸の段差をなくすために使う紙にしたりします。一度だけでなく何度も使います。糸を巻いていた紙を、段ボール箱いっぱいに詰めて残しておくこともあり、それが何かの時に役に立つのです。機を載せかえるときに、糸を束ねるときに使ったりしたものです。

今の時代というのは、優良な会社ほど、逆にそういうのが許されない時代ではないでしょうか。手仕事の世界のヒトというのは、モノをつくる苦労を知っているので、モノを大事にするものです。今の時代でも、糸を包んである薄いビニール袋などは、一つ一つ重ねて何かの時に使えるのではないかと、なるべく捨てないようにして残しています。

たぶん、新しいものを買っても何百枚で100円の世界でしょうが、自分自身がそれを大事にすることでそのビニール袋一枚に価値が生まれるのと同時に、仕事の価値も生まれてくるのだと思います。コストや効率を重視すると自分で作ることの意味さえもがなくなるので、自分自身にしかできないスタイルを守ることが大事だとは常に考えています。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内