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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

クラッチ

2012年03月20日

シャトル織機のクラッチについている皮のベルトが薄くなってしまったような感じで、ハンドルを運転に入れてもしっかりとクラッチがかみ合わないので、織機が動かないという問題が発生です。実際に、問題点を探してみますと、機械側のクラッチの留めてあるボルトが緩んでいたようで、クラッチと動力側の車の間が広くなって噛み合うのが甘くなっていたようです。締めなおしてあげて直りました。

シャトル織機というのは、振動も大きく、締めてあるボルトが緩むというのは日常茶飯事なことですので、ときどき、メンテナンスが必要です。シャトル織機の場合、常にモーターが回っていて、クラッチが噛み合うことで動力が伝わることになります。レピアの場合は、スイッチを動かすことでモーターに電源が入るので、構造上異なります。

今日は、麻組合から、4月21日から5月3日の間、近江上布伝統産業会館「麻々の店」で行われます「湖国の布」の催しの案内が届きました。会期中、近江の観光をされる機会などございましたらお立ち寄りくださいませ。詳細は、http://www.asamama.com/kaikan/ivent/ivent.html にございますのでご確認いただけたらと思います。

午前中には、染工場に糸を投入して急ぎの分を事務所で専務さんにお願いしました。帰ろうとおもったら社長が声を後ろのほうから掛けてくださり、私が休みの日に働いていることをがんばってるなあ、みたいな感じでいってくださいます。だいたい、休みの日に行くと社長が居られて機械の修理など仕事しておられる感じで会社を守っておられる感じがいたします。

午後には染糸が届いてそれをチーズ巻屋さんにもって行きました。チーズ巻屋さんも、おばちゃんが元気に出迎えてくださり、私の母親が元気にしているのか心配くださっています。何十年か昔は女工さんを何人か使っておられたのですが、今はおじさんが70歳を過ぎても仕事を続けておられ、いつ頼んでも仕事があることをありがたく思ってくださり、いつも支えて応援してもらっている気持ちになります。

何十年も一筋にされてきたので、チーズに巻き上げる仕事の腕は一流で、仕事が早く、きれいです。林与の場合、糸をまとめて染めることが多いので、時には何十年も糸を保管していることがあるのですが、10年たった糸のほうが今の糸以上にきれいに見えるのは、そういう職人さんたちの手がしっかりと掛かっているからだと思います。50年ほど昔の着物のころの麻糸のほうが一つ一つ紙に巻かれたりして今も紙を解くと中から昔のまま出てくるのは、作っている人たちが自分たちでその価値を吹き込んで行ったのだと思えます。

仕事を始めたころ、紡績工場から送られてくる箱のなかの糸がひとつひとつ紙に巻いてあることや、糸の端を結んであることが無駄に思えていたのですが、今、現場も人を減らす一方でそういうことをする人がいなくなってみて、材料の価値が落ちただけでなく、仕事の価値自体も落ちてしまい、最終的には、出来上がるものの価値が落ちてしまう結果につながったのだと思います。

しっかりとした仕事がなかなかできない時代になっているので、昔の人の完璧な作業で残されたものをみると本当に少しの量のものを大事に仕事をしていたことがわかります。これって、機械で自動化して綺麗に見せるのとはまったく違う世界で、たとえば手績みの糸が新聞紙に巻かれていても、何十グラムを一つ一つ新聞にくるんで箱にしっかりと詰めて宝物のように大事にしているのが伝わってくるのです。


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