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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2022年02月25日
先日1台の放置してあった台をようやく立ち上げることが出来て、6台が綺麗に動く形に。1台でも一番追われている仕事がうまく進まないときには、動かせる台も全部止めてしまうので、仕事というのは怖い。7台目も立ち上げ中だがそちらは試作なので検証が必要なのでこれもまた他の台を全部止めて慎重な作業が必要。

6台目の立ち上げの時も着れた糸をすべて直して機替えして機を繋ぎ変えるだけで数日の作業。整経も含むと1週間掛かり。織り始めても左耳の糸が切れ易く、切れた糸が経糸切れを起こして耳の部分がうまく織れず崩れ最初の10mほど織ったものはそれが頻繁に起きてしまっていて使えない。原因が何なのか、アゼ棒を入れてみたり、コマにしたりと試す。織っても数メートルで大きな傷、加工に出すと加工工場が迷惑するので、本格的な対策が必要で、そこで1日ロスして耳糸切れの問題を解消。

ようやく今朝から6台がスムーズに織れるようになって、一人で6台を動かす。気持ちよく6台が何事もなかったように動く、シャトル5台と1台はレピア。糸を巻いたりもしながらもまだ余裕があるので、7台目の立ち上げ作業をぼちぼちと。織るだけの仕事というのは本当は織物の織の中では一番の単純な作業で、織れるまでの準備作業や織機の調整などが大変な部分。一台一台の織機で、問題のない布をどれだけ綺麗にたくさんおるか、織ってもキズが多ければ仕事としてはゼロでもなく、マイナスでやらないほうがましというのもこの仕事の厳しさ。後でなるべく修理する必要が無いように織る。

今日は久しぶりに6台が綺麗に動いて、それでも、林与の中にある織機は30台くらいはあるのでほんの一部。それぞれの織機の機の規格が異なっているシャトル織機の場合に、個体差が激しいのでこの台は、厚織専用とか決めて割り当ててあるものもある。同じものをずーっと織り続ける仕事だと大量に生産もできるけども、いろいろなものを織らないといけないとその準備作業の時間が織るよりも掛かる場合も多い、準備作業は並行してはできず、ほかの織機も動かせる場合には動かすが、その仕事が急ぎの場合には動かせない。
2022年02月23日
私がまだ織物に向いているのは視力的なこと、眼鏡を掛けずに糸が通せたりする。同じ年代の人たちが難しくなっているあたりのことを20代の人と同じ以上に普通にできるからまだ仕事をスムーズに動かせる。視力が落ちた時には織物を作ることは難しくなるだろう、今は1本の糸を筬に通すのも10秒もかからないけども、いずれ何度通しても正しく通せないときが来るだろう。糸もいろいろと持っているので今のうちに難しそうな織物は織っておこうと思う。

麻の細番手の高度な織物というのは将来作るのは難しくなるだろう。温暖化が進めばフラックスにとっては天候不順ということで育ちにくくなるだろう。2006年かはヨーロッパが長雨で最悪の年があって、そのあと、2008年ころに1年だけ、フラックスの作柄がむちゃくちゃ良い年があった、あれからもう14年にもなるが、あのとき以上には良いなあと思う年はない。そういう年は、糸も素晴らしく価格も少し安く、麻機屋にとっては最高の年。

今は、他産地でもリネンはいろんなところで織られるようになった、綿の産地もウールの産地もレーヨンの産地もリネンを織るというのが普通になって来た。特に横糸にリネンを織るのは良く効く話。まだ、縦横リネンを織ることに関しては林与は強みがあると思う。あとラミーに関しても、細番手を織るのが難しくはなってきているが、なんとか残していきたいとは思っている。

麻織物には繊細さと根気強さと、体力も必要だったりで、なかなか大変だなあと思う。それほど高度な計算ではないけども四則演算使って、糸量を計算したり、分割する糸のカウントを計算したりできないと駄目だし、寒さ暑さにも耐えられないと駄目だし、誰がこういう仕事を進んでやりたいと思うのかというとなかなか難しいだろうなあと思う。

私も、高校の体育の授業で、宝が池1.5kmを1週したら、1番でゴールしたけど、私は脈拍が1分218回とかで、他の人たちは1分130回もないのにびっくりした。他の人って私よりも体の性能がよいんだなあと。脈拍が高すぎて、1番だったのに評価が低かった。脈拍の一番低い人が、評価が高いという競技だったようである。普通の人の2倍くらいまでマックスの脈拍が上がるというのも不思議な体質で、長生きはできないだろう。
2022年02月21日
この週末は一日中工場でエンドレスな作業。外は雪。夜7時からは30分ほど集落の体育委員の引継ぎ。一昨年、昨年と運動会はコロナの営業でなかったので実質体育委員は活動なし、私は2年の任期を終えて再度体育委員。話を聞いていると集落での行事で若年層の数が危機状態で、コロナでこの2年神輿担ぎなどもなかったそう。若い世代に負担が大きく続いて来た行事などもこのコロナで空白の数年ができることで見直しにつながる可能性は出てくるだろう。

今のコロナの情勢だと今年来年も行事は微妙な状況だろう。ワクチンも効かないウィルスがブースト接種を必要とし、オミクロンで弱毒化したものの死者数は過去最高レベルの勢いで、大阪では手が回らなくなり始めているようである。東京は検査の4割が感染者ということ。もう日本中に広まってしまっているような状況。

オミクロンは感染力は高いが重症化率は低いと言われつつも過去最高の死者数。ここで、BA.2が国内でも市内感染の広まりが警戒されているが、感染力もオミクロンよりも高く、重症化率はデルタ株より高いと言われていて、非常に警戒は必要な状況である。コロナの流れもあまり良い方向には進んでいないような気もして、日常の最優先での対応はまだ続くだろう。

滋賀県も彦根の工場で大規模なクラスターが起こったそうで、田舎だからといって感染は避けられそうにもない状況になってきている。林与の場合は一人で出来る作業がいっぱいあるので、作業レベルではそれほどコロナの影響は少ないのだけど。高級アパレル業界というのは、行事もないし、外出の機会も少ないし、リモートで会社にも行かないし、旅行もできない、ましてや海外旅行もいかない。背広やジャケットやシャツがあまり必要ではない状況で、レジャー向けのおしゃれ需要も少ないまま低迷はまだ続くであろう。

東京や大阪が心配なのは、オリンピックでたくさん作られたホテルなど、オリンピックも終わって普通だと需要が落ちてうんうんの話どころか、コロナでオリンピック需要も崩れて観光立国構想も崩れ、ホテルなどは悲惨な状況。コロナ前は大阪でもゲストハウスなどが大ブームだったのに、コロナで大変困っておられるような状況。なんの問題もないホテルやゲストハウスが廃業とかもったいなさすぎるような話ではある。東京大坂はインフルエンザのような状況で市中にコロナが存在をし始めている。まだ日本はましな方だが、世界中でもうコロナは普通のことになりはじめていて防ぎようのない状態。
2022年02月19日
アメリカザリガニを放出してはいけないような流れのようだ。もう、50年以上前からアメリカザリガニは田舎の水路にも普通にいて、日本ザリガニと共存をしていたが、もう近所の水路ではアメリカザリガニになってしまったようだ。まだ、アメリカザリガニがいるだけでもマシかなあと思ったりもする。近くの川はジャンボタニシにやられてしまっていて悲惨な状況である。カワニナやミナミヌマエビなんかも水路にはいるけども、ミナミヌマエビにしても外来種だと言われていて子供のころには見なかったものが、水路で結構繁殖していて、まだいるだけマシかなあと思う。

昔は普通にいたドジョウやタニシなんかは絶滅状態で、まだめだかは水路にちらほらいる感じ。鮎にしてもモロコにしても養殖したのを放流しているようだし、もう在来種といわれるものが普通に生きてゆけるような環境を取り戻すことは難しいであろう。外来種のせいとかではないような気もする。ウンカとか昔は害虫としてたくさんいたけども、ウンカもいなくなり、赤とんぼもほとんどみることがなくなった。その影響で鳥とかもカラス以外はめったに見ない。コウモリが飛んでいるというのを最近知ってコウモリはそこらじゅうを夕刻には飛んでいるようである。

アメリカザリガニくらい、小学生につかませてあげたいものだと思うけど、そういうなのも禁止というのも、子供たちも楽しみすらなくなってきて、もう、今の子供たちというのはミミズを餌に魚釣りとかは経験もしないので、ミミズを手で触るとかは絶対無理だろう。火も使わなくなって、虫もペットショップで買うということになってくる。

ザリガニにしても養殖すれば食べられるのだろうけど、自然界にいるものというのは寄生虫の問題を抱えていて今は魚にしても近くの水路の自然界の動物を取って食べるのは非常に危険である。生食用というのは、一度マイナス40度に凍らせて寄生虫を殺しているから生食ができるという理由だったり。ジャンボタニシにしても食べることに挑戦している人たちがいるけども、その手間というのがすごくって、素手で触ってはいけないとか、危険物扱いである。

木々に囲まれたおしゃれなレストランとかも、その木々というのは自然の木ではなくて植樹されたものだったりが普通で、人間はもはや人間に都合の良い人造の自然を愛するだけになって、本当の自然の中で生きてゆくのは耐性もなく難しいだろう。昔はあまり見なかったタヌキやキツネが結構うろうろとしていたりは、野良犬が少なくなったせいだろうか。もう燕も家には来なくなって久しい。燕がくると巣立ち前くらいに蛇が燕を狙ってきたりするので、どこの家ももう燕を迎え入れることはしなくなったことも影響しているだろう。古い家にいるとしたらネズミくらいかなあ。

法律ができても、子供がアメリカザリガニを取って川に戻すことくらいは許すべきだろうと思う。そういうのにも目くじらを立て始めると、一切、自然界に子供たちは関わりたくなくなってくる。たまに、集落の中で網をもった子供たちがいるとまだ素朴に川で何か捕まえようとしていることをうれしく思う。がんばれよと応援をしたくなる。

日本の国鳥はトキなのである。トキの学名は、Nipponia nippon、もう日本の固有種は絶滅してしまったけども、自然環境が人間の都合で自然に見える人造的な自然では、野生動物は生きて行けないという現実がある。人々というのは砂漠のオアシスを求めているのが普通なんだろうと思う。カリフォルニアに住んでみて、ゴキブリすらもいないのがびっくりで、外の水はスプリンクラーで供給して管理された綺麗な緑はいっぱいで、ポップコーンも1週間ほっておいてもまったく湿らずに食べることができる。そういうのが南カリフォルニアの環境で、そういうのに憧れて、結局地球温暖化が砂漠化を促し、いやだいやだと言いながらも、理想的な砂漠環境を全世界中がエンジョイし始めてはいる。

今も日本の製造業に求められているのが、設備投資してより生産性を上げるとかで、たとえば世界中の多くの人が使うヒット商品のアイフォーンとかでもアップルという1社が供給している。他のスマフォも似たようなもので、大手数社が寡占状態。アメリカザリガニよりもたくさん新しく作られるスマフォのほうが自然環境を破壊していないだろうか。
2022年02月18日
また、寒くなって雪が積もった。15cmくらいだからそれほどでもないけども今年は雪の当たり年である。今日は、整経をいくつか準備して織機を動かしながら繋ぐ準備、この週末も作業の予定はてんこ盛り、でも、坦々と正しく前に進めていけばそれほど大変でもない。納期もいろいろで追われているけども、失敗なく順番にこなしているときというのは楽しい気分である。

辛い時というのはいくら織機を調整してもうまく織れない時で布に問題が見えてしまうとき。正しい原因にたどり着かないと織機の正しい部分に調整を掛けてしまうと収拾がつかなくなり織機がガタガタになる。正しい原因にたどり着くことが一番大事で、その問題の箇所だけに調整を掛けてあげることが大事。調子よく織れていた織機が突然織れなくなることもあったりして、それは気温や湿度の問題だったりすることもある。

織機というのはベストの調整ならどんな糸でも織れるというわけでもなく、糸に合わせて調整を掛けてあげる必要がある。太い糸には太い糸用の調整、細い糸には細い糸用の調整、強い糸には強い糸用の調整、弱い糸には弱い糸用の調整。昔は、普通のアパレル向けの密度のものばっかりだったので、それほど調整が必要ではなかったけども、今は織れるいっぱいの高密度のものや、ガーゼの薄いものまで同じ織機で織るので、織機も気の毒ではある。
2022年02月17日
今日は朝から会社の謄本を取りに行ったりして、支援金の申請手続きを地元の商工会が認定機関になっているので、必要なデータなどを集めて確認してもらいながら申請をしてもらう。概要は分かっていてもなんか説明だけでも100ページほどある中小企業パージョン、どの説明が自分に当てはまるのか、また、どの書類が必要なのかということをピンポイントで分かっていないとウェブ申請なので書類不備で通らない。

多くの企業を対象の支援金なのに、よくもこれだけ難しい申請手続きになってしまっているのだなあと、スキャナもあって、コンピュータが得意な林与でも、本当に正しいのかどうかが分からない部分の多い申請手続き、該当企業にしてもこの申請のややこしさ乗り越えられずに申請しないということもあるだろう。ウェブ申請するにしても、スマフォで証拠書類の写真撮っても良いとあるけど、スマフォで決算書とか証拠書類の写真撮って確認するほうが大変だろう。

こういうときにあってよかったA3カラー複合機、3年前に3万円で手に入れた複合機が本当に調子よく、この3年スキャナとしてどれほど活躍したか。名古屋まで引き取りに行って会社に戻って来て会社の階段をどう運び上げるかが一番の難関だったのが思い出される。コロナで、リモートとか、ペーパーレスとかで、郵送するでなく、スキャナーでPDF化してメールに添付して送るみたいのが必要なことが多くなってきた。手に入れたA3複合機はスキャンするとPDFデータ保存になるのでこれは本当に便利である。リースしていた複合機は白黒でコピーとファックスで堅牢な感じで好きではあった。やっぱりA3のカラーレーザー複合機というのはそれなりにあると便利である。普通だと維持費が高いのだけど、リサイクルインクは何回か交換して数千枚は印刷したがそれでも維持費が3年で3万円くらいしか掛かっていない、維持することが負担にならないのが一番のメリット。

パーソナルなインクジェットプリンタも写真などには向いていて、レーザープリンタというのは写真には向いておらず、ビジネス文書などに向いているというのは文字などのくっきりさなどからしても思うところ。レーザープリンタは、長期保存しても色あせしないのと、水にも強いのが利点。本来は、自分一人が使っているよりも地域のみんなが使えこういう利点を共有できるような運用のほうが良いんだろうと思う。コンビニに行けば、カラーコピーも30円払えばできるから、そういうのを活用する方法もあるけど、それとの違いは用紙を自由に選んだりできることと、何回もサイズを変更したり色味を調整したりできることだろうと思う。こういうのをおもちゃのように使えるといろんなクリエーションが広がるし、実使用にも耐えるような印刷物が出来る。
2022年02月17日
ドラッグストアーで、たまにしかいかないので、いろんなものを大人買いするとアルバイトの店員さんだとやはり打ち間違え等あったりして、そういう時には、自分が得しているときでも、これなあもう一回確認してみ、と突っ込む。けっこうレジの仕事にしても間違いというのは多いもので、お客さんでも気が付かないことが多いだろうけど、6個かったのに5個しか通っていないとか、割引商品の値段を打ち間違えているとか、1個、2個買う場合に比べて、いろんなものを10個以上買う場合には、アルバイトの店員さんだと打ち間違え等も多い。

商売している人間なので自分自身も急いでいると間違え等あることもあるので、打ち間違えも当然あるだろう、でもそれで私が得するということは駄目なこと、かならず間違いと思ったときには確認してと伝える。アルバイトの人ならそういうの指摘されても迷惑なだけかもしれないけども、そういうのを指摘するお客さんがいるだけで、その方自身が正しく仕事できていないのにも気が付くだろうし打ち間違えの処理なども正しくできるようになる。

1年ほど前に、60サイズ用に作った箱の大きさが外の3辺58.5cmの段ボール箱があって、それをクロネコに持ち込むと、80サイズということで処理された。スタッフの女の子に間違いだから、もう一度測らせて60サイズに訂正してもらってと再度お店に入って測り直してもらうがやっぱり80サイズだということで帰って来た、しかたないので、私が行って正しく測り直すと60cmに収まっている。仕事で毎日やってる人もそんなもので、人間なんだから間違いはあるだろうけども、間違いをしてきしてもまだ正しく測れないのは意図的なものがあるだろうと思う。そういうのはクロネコにとっても、林与の従業員の教育にとっても仕事として良くないので仕事なんだから正しいが大事。その営業所は、受付が測りもせずに80サイズと書いてしまう人もいるから、そういう場合も60ですから測ってくださいと指摘する。

林与の仕事のときは、足りないことがないように少し多い目にカットしたりするようには心掛けていて、検反機は反物を引っ張りながら計測してゆくんで、その出た数値を長さとして書いて問題はないのだけども、ぴったりだとどうしても布を放反すれば足りないとなるケースもあって、すこし気持ちで長めにカットしておけば通常よりは反物が縮んで足りない場合があったとしてもすごく足りないということはない。

仕事するときにすごく難しい問題が、反物がショートが許されるのかオーバーが許されるのかのあたり、想定として最後ちょうどくらいに仕上がる量を投入すれば何か問題があればショートしてしまう、ショートが駄目なら多い目に材料を投入するしかない。織の失敗だけでなく、加工ロスなんかもあったりして、10反とかの仕事なら1反駄目とかも普通にあったりするので、ロスの想定は本当に難しい。上がっただけ納めてくれみたいな仕事だと安心して効率よく材料も使えるけども、ぴったりを想定しているブランドさんとかに対しては、キズがあった場合キズ引きはしますが、そこをうまく避けた場合に、用尺が足りるようなロス計算をしておられるのかどうかという問題があって、中にはロス計算をしておられないアパレルさんもあって、そういうアパレルさんが一番困ったりする。

無地とチェック柄があるときに、慣れたアパレルさんなら、無地は要尺2mなら余裕みて2.2m用意しましょうとか、チェック柄だったら柄合わせするなら、2.4mなら余裕見て2.6m必要とか考えてくださる。それでようやく1反のキズ5か所とかのロスを吸収できることになる。そういう想定があるともめごとも少なく、そういう想定がないなら、チェック柄のほうが生地が足りないとかいう話になったりもする。上がって来た洋服が少ないから、同じ長さの生地を注文したのに、投入した生地が実際足りないで損したみたいな話を言われたりすることもある。柄合わせすると柄が大きければ大きいほど用尺は必要になってきますよ、みたいな説明をアパレルの方にすることもある。コスト重視で柄合わせしなければ同じ用尺でもかまわないだろうけど、チェック柄なんかは柄合わせしたほうが手間はかかるが洋服として違和感は少ない。

数量の縛りが緩く、柔軟に対応してもらえるアパレルさんなら仕事は無駄も少なくなるけども、柔軟な対応が無ければ無駄の分を吸収しないといけないことになってくる。糸にしても問題はいろいろと抱えていることも多く、特にリネン糸のフシとかは整経や織るときに目立ったものは取ってたりするのが当り前で、問題のある材料というのも許容して手を加えながら織物になっていて、それを鬼の首をとったように騒いでも仕方のない話にもなる。

綺麗な糸ほどフシは目だったりして綺麗な糸がなかなか通用しなくなったのが2000年ころで、特に先染めでは使いにくくなってしまって、そのあたりから韓国や中国の糸にシフトしたりもした。フシがそこそこあるのが普通の糸のほうが、フシがあるのが目立たないから問題が少ないのである。本末転倒的なところもあるけども、綺麗な糸ほど問題は目立ちやすいというパラドックス。特にアパレル向けは基準が厳しいのでフシ糸の問題ではリネンにしてもラミーにしても良い糸を使えば使うほど苦しんだ時があった。

高い材料をあえてお客さんのために使っていてもそのあたりをお客さんが理解してもらえないと結局問題の目立ちにくい糸のほうが良いという話になってくる。そういう流れもあって均一な良い糸というのはどんどんと使われなくなり必要がなくなってきたように思う。均一な綺麗な布の1m四方に数か所フシが目立つはよくあること。それが許容できないのが今の基準、逆にフシだらけの糸のほうが安定していてフシは目立ちにくい。

マッハという機械でフシを取り除くことも可能だけども結び目ができるので一長一短。麻の世界では、遠い昔の高級な紡績糸というのは紡績前の原料レベルで下から光を当てて、ピンセットで、異原子やフシを取り除いていたから均一できれいな糸が存在したが今はそこまでして糸をつくるようなことはどこも行っていない遠い昔の話。
2022年02月16日
5年10年というのは仕事をしている間にいつのまにか過ぎてしまい、5年10年前のことでもこの前みたいな感覚が普通だったり。今、5年先のことを考えると今の延長を貫いてゆくような形しかないだろうと思う。5年10年あとにできることが増えているのかというとできることは逆に減ってしまって、繊維の世界では今やっていることもできなくなっているだろう。

私自身は変わらないで作業をし続ける方向で産地の織物文化を残したいなあと思う。それは普通に思えるけども、本当に難しいことになってしまっていて、それなのに、サステイナブルとかいってても新しいもので置き換えてサステイナブルではどうしようもない。続いていることを儲からないからといって駄目なことのようにとらえることは大きなものを見失ってしまって、後になってそういうのを失ってから復活しようみたいなことが、たとえば近江上布の歴史の中にもあった。

林与の近江上布の染料のことなども資料には残っていて、昭和に復興した絵絣の近江上布がどうやって作られていたのかなども伺いしれる。与一爺さんが京都の染料メーカーとやり取りしながら、堅牢な染を研究して色の深い絵絣の近江上布を作り上げた。60年以上前の織物が今つくった織物以上にしっかりとしていて60年前のものだとはまったく思えないだろう。

5年10年後というのも何代にもわたってやっている仕事ならなるべくは変わらないほうが良いのである。それほどに地道な作業を積み重ねてなりたつような本質的な仕事だから、続けてゆくためには基本の部分は変わらないほうが良いのである。話をしていても繊維の世界に向いている人と向いていない人というのは歴然としていて、向いている人というのは同じようなことを考えていて実践もされている。

林与も先代から私に変わったときに180度の方向転換したことがいくつかある。問屋さんや糸商さんだけを窓口に商売していた先代、私自身はそういうお付き合いも残しながら直接メーカーやブランドと話をして自分自身のモノづくりとしてPRして行く形を取った。優雅に見える商売スタイルよりも、地道な仕事スタイルのほうが大事だとは仕事を始めた日から思っていたので、優雅な話にあこがれて仕事している人たちというのは覚悟がないのでなかなか難しい。

昨日の夜からは書類のこと普通の経営者ならそれが仕事なのだろうけども、私自身は一番大事なのは作業の部分だと思っていたりするので、そういう作業に使える時間は数時間は限られている。今の状況というものを数字に落とし込んで、それをもとに1年後、2年後、3年後、4年後の数字を予測してゆく。繊維業界において、このコロナ禍で数字を落とさなかったのはなかなか大変だったのではあるけども、コロナが日常化してきた今後、繊維業界全般が回復に向かうのかは微妙なところではある。

本質的なお金を使った素材よりも、ロゴが付いているだけで十分見たいな企画が増えてくるだろう。高級ブランドがコンビニや100円ショップのアイテムにならんでも不思議じゃない時代に突入はしていて、コンビニや100円ショップの店頭こそが一番華やかな舞台みたいなイメージが若い世代を中心にあったりもして馬鹿にされがちだった世界がいつのまにか流通も牛耳ってしまっている。

昔ながらのタバコ屋やお酒屋ですら店の前にタバコや酒の自動販売機を置いて手抜こうとしたのに、コンビニでは自動販売機なども置かずに対面販売で、人間が自動販売機のように会計を器用にこなす。まあ、タバコの自販機やお酒の自販機の規制も裏では、巨大資本が牛耳るコンビニに有利なような動きがあったんだろうけどもと思う。

なんか、そういうありきたりな流れに飲まれずに昔ながらの駄菓子屋がのこるとか、スーパーが残るとかあったほうがよいだろうと思うけども、田舎ですらもが東京と変わらないような商売ばかりになってしまうのは、田舎が追従することが生き残れる道的な国策の一つなんだろうと思う。田舎の食堂すらももはや経営者が変わると継承は難しいので、田舎も全国的なフランチャイズばっかりになってしまう。

コンビニやフランチャイズが多くの人々の生活を満たすもよしだろうけど、昔ながらの何かが残っているというのも大事なことだろうと思えるところ。それは普通とは違う、特別の価値。
2022年02月15日
将棋で、19歳の藤井聡太氏が5冠となった。将棋の世界というのは年齢とか経験とかじゃなく実力主義だなあと思う。歴史と文化があるのに、ITの世界のような常に進化している怖さがあったりする。将棋自体がプログラミングと似ているのであろうと思える。プロ棋士全員の中で下から2番目の若さで、周りも将棋界の宝のように称えているあたりも将棋界というのはドロドロとしていないなあと思う。

将棋界というのも一つタイトルを取るにしても、差し勝負ではなくって、下に位置づけられたものほどいくつもの壁を乗り越えていかないといけない。竜王戦なんかは一番下から竜王になろうとすると途中何人もなぎ倒していかないと駄目で、下のグループから昇級する形で少しづつシードされていく形。実力的なグループ訳があってその中で上位に入らないと上には上がれない。対等な勝負というよりも、若い者にとっては不利な勝負環境を乗り越えていかないと取れないタイトルなので、年配の経験者とくらべても、鬼のような強さを持っていないと竜王には若くしてなれない。

もうすぐ順位戦もA級昇級で、名人になる可能性も高くなってきた。残るタイトルにしても2年3年の内に取ることになるだろう。近い将来に8冠が見えている。8冠を取ったときに、その一つでも他の棋士が奪回するというのは本当に難しいことだろうと思う。永世8冠も多分可能な実力の差。他の棋士たちがタイトルを取ることが出来ず食べていくことが難しくなってしまいそうではある。

すべての盤上の可能性を支配しているということが、経験のあるプロ棋士たちと比べてもこれほどの差になってしまう。学歴なんかにこだわる余地もなく、中卒のほうが一番すごいというあたりも将棋の怖さで有ったりする。最初のころによくメディアに出てきた母親もプロになってからは完全にメディアからは姿を消して、ものごとをわきまえておられるご家庭だなあと感じる。
2022年02月14日
2月も半ば、2月末納期のものの織を進めないといけない。1月末くらいから仕事が本格的に生産期状態になってフル稼働的な動きで生産をこなして行く、仕事のペースが一気に早くなって1週間ごとくらいに一つの仕事の案件の織が終わっていくようなイメージ。一つ一つの仕事が完璧に近いと問題も少なくて仕事は簡単なのだけども、問題が起こってくるのは問題のある仕事からということが多い。

織物の仕事にしても大事なのは織よりも整経が上手にできているのかできていないのかというあたりで、整経をする人というのは優秀な人をいつも選んでやってもらっていた。計算も必要だし、糸の管理も必要だし、織での失敗は数メートルのロスで済むが、整経においては失敗が全滅につながることが多いので、意味を分かって仕事している人でないと整経の仕事を組み立てて進めてゆくのは難しい。

林与の場合は、整経機を持っているので中で整経作業をするから、糸の問題などもそれなりに対応して整経をすることが多い。外の整経屋さんに出して整形したら、糸の問題で整経ができないということになっているケースも多いであろう。整経時に糸のコンディションを微妙に管理できないと整経で失敗してしまうこともありうる。例えば、同じ番手の同じ銘柄の同じロットの糸でも、白い糸そのままと、その糸を染めて使う場合では、整経の設定を変えないといけないこともある。色が異なると違う糸であるくらいに思っておかないといけないくらいに、糸質は変わってきてしまうのである。

麻の先染めにしても昔以上に難しくなりすぎてきているんじゃあないかと思う。白い糸をそのまま織って後染めくらいが一番予想外の問題が起こりにくい無難な企画に終わる。今、加工工場さんの後染めものというのはすごく混んでいるようで、コロナ禍が落ち着いたというよりも、コロナ禍で、中国など海外でやっていた仕事が予定なども組みにくくまたコストも国産なみに上昇して難しくなって国内生産に戻り始めているという状況もあるのだろうと思う。

安価に海外生産を行ってきたあたりの素材が国内生産に戻り始めているという要素があって、海外での物価上昇が輸入価格の上昇を伴い、国内生産にシフトしつつ、国内の全体的な物価も上昇させているような供給側の背景があるように思う。繊維以外でも、原油関連や食品関連での物価上昇が行われている。円安が背景にはあるだろうし、世界的なコンテナ不足問題、輸送コストの増大など、海外輸送費なんてタダみたいなものだったのに、それが重さに比例して空輸コスト位に掛かるようになってしまうと、安かった基本的なゾーンのものほど物価上昇は著しい。

リネン糸の価格も上昇しているけども、ここ数年で2倍くらいに上昇したのは、太番手で、イメージ、太い糸も細い糸も値段そんなに変わらんやんみたいな、不思議な状況になりつつある。太い糸を主体に使っておられた資材系のところは悲鳴を上げておられるだろうと思う。太番手の糸というのは使う重さも多いので成り立つんだろうかと思うくらいに太い糸は高くなった。リネンだけでなく、綿も、シルクも太番手の価格上昇は顕著である。
2022年02月13日
あさりが取れなくなった問題をどう解決するのかで、30年以上続いたのが、今回の国の産地基準。一番長く育った場所が産地という基準。産地を二つ股くこと自体が産地の定義自体をあやふやにしかねないのだけども、結局、海外産の輸入アサリを1週間とか短ければ3日とか、それ以外にも熊本県に入りもせずに業者が福岡経由で輸入アサリが熊本産と名乗り全国の8割のシェアを占めてしまっていたという、日本の国産あさりの30年に渡る偽装問題。

アサリというのは、消費者の中にはやっぱり国産のものというか安全なものを選びたいという心理があって価格だけではなく、輸入物か国産ものなのかを大事に考えて輸入物が半分の値段でも2倍の国産ものを選択する消費者が多いのが食べ物の世界。アサリ食べると分かるけども身だけを食べていても口の中で砂っぽいもんのがとかもジャリっと来ることもある。消費者からすれば熊本産の謳いに海外産2倍の対価を払ったのだから国産でないと困るのだけども、それが単なる輸入アサリに2倍の対価を払い続けさせられていたような、日本の産地問題。

繊維関係でも、例えば、綿麻というと、5%でも10%でも入っていれば綿麻なので安く作れるならそういうのが欲しいと言われる問屋さんも多く、林与の場合には使っている綿糸にしても、コーマーの細番手で麻糸と同じくらいの値段のするものだから、綿麻といっても安いわけでもなかったりする。ものづくりに敢えてお金を掛ける意味というのも、それは自分自身が作っているからの話で、アサリ業者のように取れないアサリを取ることを放棄して安直な方法に逃げてしまうと謳いだけが独り歩きしてありえない世界だけども希少な国産のアサリを謳えば売れて売れて仕方ない話、仕入れて売るだけで7割8割の粗利の世界。

繊維の世界でも、生きてゆくのに困っている問屋さんの方々もおられ、安く仕入れて高く売れるものが良いものというような定義で商売に携わっておられる方のほうが多かったりもする。私自身は例えばエシカルなことを考えるときに、本当のプロの究極の世界としては最近もそうだけども、良いものを求められている最終の消費者のためにできる限りの自分の良いものを作っているという意地みたいなものは通そうとするけども、それがやっていない人からするとありえないブラックな世界に思われたりもする。

でも、日本の職人と呼ばれる人が週に40時間働いて海外の素人レベルの人たちが家族を支え生きるために本気で働いたときに残れるのかというと全然無理な話で、それが日本の大手SPAが海外生産をする大きな理由。楽をして儲けたいという日本の風潮でやってる感だけでSDGs叫びながらも週40時間だと海外の人々を食い物にして日本の繊維の大企業が吸い上げているだけの話で、やっておられる方も知っているので名前出して申し訳ないけど、無印さんでも自分たちがありえない良いことをやっている謳いがいざ問題が起こると、単に仕入れただけの話で責任はサプライヤーの問題になるのが一番アカン話。素材の厳しさすら分からない人たちが手を出すと、日本の昔からの化かしてなんぼの世界につながってしまって、日本の大手SPAの犠牲者が正直に昔からやっている地場産業を引き継いでいる所だったりもする。

私自身は滋賀県の田舎の小さな織物工場の身分だけども、日本の大手のどこもがもっている後ろめたいような現実の世界を指摘はしているような立場。日本のアベノマスク問題にしても、わらえすぎるほどに、海外からの輸入商社に利益誘導で、国内のまともな業者を排除するのが日本の政治の世界。まともに働いていていろんな問題も知って正しく解決しながら責任背負って生きているものを、騙した連中ほど何百億の日本の政治そのもの。滋賀県出身の大手の総合商社さんも滋賀県企業ならそのあたり営利主義ばかりでなく、近江商人の本質に戻らないと、金儲けばかりでは近江商人を名乗ってほしくもない今の近江出身の日本の総合商社の世界。もうちょっとモラルを持って近江出身企業を名乗るならありきたりの欲に飲まれて汚さないように三方良しの初代のの気概に戻っていただかないと、日本の繊維の世界のものづくりを仕切りながら、地道にまともなのを食いつぶすだけのになってしまう感がある。

国民が苦しむコロナの危機に、1で仕入れたものを10に化かして、責任も国も取らずに何十億円も儲けながら右から左で国民の税金任せでぼろもうけして売るのは死の商人な話。日本の大手の繊維業界も国民の不幸こそが莫大な利益だったりで本当に腐ったなあと本当に思う。一番サステイナブルの反対にいるような企業がサステイナブルを謳ったりと本当に厳しい日本の政治と大手商社が国民を食いつぶすような世界。
2022年02月12日
特注で作った段ボール箱が弱すぎて、梱包も完了した箱にいっぱい詰めた段ボール箱を運送会社に持ちこもうとしたら、破れてしまいそうな大失態で量を半分以下に減らして詰め直し、4個口から11個口に詰め直して再度出荷の準備でお届けが完了。ほんと新しいことというのはいろいろあってうまく行かないけどもいろいろと勉強になって次はもうちょっと高さを低く作ろうと思う。

耳までリネンのキッチンクロス、耳までリネンの耳に泣かされるような話で、耳が切れて織りなおしたりそこで織機の調整を加えたり、耳までリネンにすると織るのに2倍3倍の手間が掛かってしまう。難度が高すぎて私が織っていても綺麗に織るためには織機を熟知している必要がある。糸の投入量からロス率を計算すると3割以上程度になってしまってる。

でも、上等に見える布なので、キッチンクロスという用途以外にもなかなかない雰囲気を持っていて、手伝っている母親や姉なんかも、ええ布やわ、ええ布やわとばかり言っている。ブランドデザイナーさんの力みたいなものも感じることができるのは色柄の素敵さ。チェックの多色ものなどは本当にかわいい。デザイン力で有名なブランドさんだけに良いなあと思える形に仕上がってうれしい。本腰な多色使いの先染めの仕事であった。

キッチンクロスも見た目以外にも大事な要素があったりするので、そういうあたりも今回は注意して糸や染、加工方法なども私自身のリネンキッチンクロスの経験からベストであろう選択をした。



2022年02月11日
久々に棉生テキスタイルの馬渕さんと京都で3時間ほどお会いした。コロナで外国人観光客向けのお店を閉店されてすごい英断ですねのお話も、お聞きすると什器などの引き上げたものが大変でみたいなお話。私よりも20歳くらい年配の方なのだけども今も現役で本業に集中されていろんな取り組みをされようと思われている。

ライフスタイルが似ているというかずっとその道に励まれているような方で、繊維の世界でも味を生み出せる方は少なくなっては来ているけども、柿渋や染などで味の世界を生み出しておられる方。繊維の世界というのはそういうのが大事で、自分自身でそういうのを育み生んでおられる。職人さんというよりもものづくりでは達人クラスの方。一人で普段からいろんなことを考えてチャンスをつくって実行されておられる。

今はありがたいことに4月5月まで仕事が埋まってしまいそうな感じになってきているのだけども、一度何か一緒にできないかといってくださっておられ一度林与にも来てもらってシャトル織機使って少し先にはなるだろうけどもなにができるのか考えてみようと思う。

お話をお聞きしていても林与と被る様なところも多く、自分の手で生み出して行く行動力的な部分が似ているなあと思う。海外にも目を向けられていて、林与も海外販売も動いてはいるので参考になる話も多いし興味のあることなので聞いていて楽しい。ものごとというのは、失敗することや壁にぶつかることが普通でそれをどうやって乗り越えていくかが仕事みたいなところ。
2022年02月10日
有明海のアサリの問題で、解決方法としては海外アサリの輸入業者として生き残るしかないだろうと言える。国の産地基準の海外産でもそれ以上に育てれば熊本産条件をクリアすればよいんじゃないかといわれているけども、1年も育てれば環境の違いから死んじゃうというような無理がある裏の話があって、熊本産で売るには難しい問題がある。ましてや、純粋な熊本産はもうほとんど取れない状態。

中国産で売ることが恥でもなんでもなくて正しいことで消費者に正しい事実を伝えることになる。中国産で販売し、中国産あさりを有明で1週間畜養しましたとかの説明で良いじゃないかと思う。日本の8割のシェアを誇った熊本経由の輸入アサリ、実態に近づけた説明を付けて、中国産として売ってゆくしかないだろう。今回は大規模すぎて30年分の偽装をどう弁済するのかも最終の販売業者も案が浮かばないだろう。

熊本のアサリ業者というのは相当儲かっていたようで、取れないからしかたなくやったみたいな話だけども、地道な努力とは反対に、熊本産の看板をつかって、輸入物をながしていたという実態はアウトだし、熊本県知事にしてもまだ純粋ものじゃない畜養をみとめている国産規定をなくしてくれとか、もう熊本の偽装の発信源になりそうな勢いの人で、中国産で正直に売るという考えなく熊本産をまだ謳いたがっている。熊本県知事からして、問題の本質が分かっていないんじゃないだろうか。国の基準もあったのに、どんどんと崩れて行って3日とか1週間しか畜養していなかったりで出荷しているのがばれて、また、まったく畜養もしていないものが熊本産となって市場のシェア8割。

私も、たまに回転ずしに行くと最初にアサリの赤出汁を頼む。たっぷりとアサリが入っていて豪華すぎて驚きなくらい。アサリをお店で買ってもそれなりに値段がするはずだ、そこには国産へのこだわりもなく冷凍ものでも構わない、看板のついていないアサリ。それでよいのだ。でも、消費者に価値を感じてもらいたくて看板を付けるなら、それなりに正しい看板でないといけないと思う。本物を取るのも畜養も難しいなら熊本産は駄目、中国産表記をちゃんとして、くまもんのキャラクターのパッケージにして売ればよいんじゃないか。くまもんのキャラクターを県が管理しているなら、その商標権で、熊本の業者を経由する輸入アサリの流通も管理できるだろうし。
2022年02月03日
今日は昼過ぎから織機の調整、昨日から4色杼替えのものを織り始めたのだけどもなかなかその辺りがやはり難しい。シャトルも以前とは幅や重さが若干変わっているのですべて4本とも同じに調整が必要で新しいシャトルを下す。こういう調整のときに焦ると新しいシャトルを挟んでしまって新しいシャトルが壊れてしまうともうそのシャトルは使えなくなる。焦らずに時間を掛けることが大事ではある。

新しく作ったシャトルは少し細めのタイプで、重さが少し重いが、その分丈夫ではある。シャトルに使う木というのは、何十年も乾燥させ寝かせたものらしく、もうシャトルに使う材料の木材すら新しいものを用意するとかはないらしい。たまたまだけど、1年ほど前に20本新しく新調したシャトルを1台に4個づつ下して使う形に。2台だと8本必要。余力のあるときにシャトルなどを作って持っておかないといざというときにすべてのシャトルが同じ条件のベストなコンディションで織ることは難しい。

織物というのは技術だけじゃなく、織物を取り巻く周辺環境にも左右され、部品など他に依存する部分を解決してゆかないと続けてゆくことは難しい。上手な人が使えば部品なども壊れる確率は少ないけども、上手じゃない人がつかうとその何十倍も壊れる確率は高くなって、仕事自体の微妙なバランスを維持して成り立たせてゆくことが難しくなる。キズなどが多いと仕事してもマイナスで終わることも多いのは当たり前で、その辺りもこの仕事の当たり前だけど普通とは違う厳しさがある。

昭和の旧車なんかがブームにはなっているけども、織物業界では織機というとシャトルだけでなく、レピア織機にしても昭和50年代あたりのものが今も全国で動いているとかが普通にありがちな地場産業的機屋。織機の面倒をみることが出来る人がいなくなったら織機があっても終わってしまうような話で、織機を若い人が引き継いだとしてもなかなか難しいだろうなあと思う。

ある地元の工場でもその現場を動かしておられた年配の方が引退されたら、他の若い人が残っていても最後今の縦を織り終わったら現場を閉じるとか、人もいて設備もあるからもったいない話だなあと思うけども、今までやってきたことができるなら続くだろうけども、ゼロからでも織物をつくる力がないと織物工場としては難しい話で仕方のないことだろう。

技術力だけでは、へんに技術にこだわってしまうので、一般の人から見るとなかなか受け入れがたいものづくりになってしまうことも多い。テイストとか味みたいな感性的なものをいろいろと分からないと、そういうのを生み出していくときには話がかみ合わないだろう。こういうものが作りたいとか、こういうものが欲しいとか、いうのは簡単だけども、それを実行することは多難で、思った通りの結果に結びつくことのほうが普通は奇跡的なこと。
2022年02月02日
ふたを開けてみれば絶対に最初から無理な話が30年以上もみたいな熊本県産の話で、熊本の漁獲量の100倍もの流通量とか、無茶苦茶なことが行われていたのが、熊本産のアサリ。熊本県のアサリ産業というのは黒歴史として消えることになるだろうけども、ほかの貝類、魚類、もっと広げれば、繊維なんかも、国産と謳われるものが本当に国産なのかという同じような問題をいつも抱えている。

林与では、販売先に糸の紡績地などを正しく説明したりするから、リネン業界にありがちなアイリッシュリネン偽装みたいなことはしないし、オーガニックリネン偽装もしない。違うものは違うでごまかさない。麻の業界って世界的に見ても狭いから昔からの業者には共通認識があってそれを超えるものというのは偽装の疑いが高いからすぐに分かる。共通認識から外れることをやると業界ではやりすぎじゃないのかということで私自身も偽装が行き過きすぎてアサ業界がアサリ業界のようにならないように正しい情報発信をしないといけないと思っている。

たとえば、イギリスのアイリッシュリネン100%使用を謳っておられた規模からすると大きく世界的に有名なブランドにしても、アイリッシュリネン糸がまったく手に入らなくなった状況も知らずに、林与さんはアイリッシュリネンはやってられますかみたいな私に質問。普通に流せるアイリッシュリネンなんてもうないから、ありませんという答え。たぶん、そのブランドの方は、北アイルランドで紡績されたアイリッシュリネン糸も使われたことも一度もないだろうと思うけども繊維業界もアサリ問題と同じような問題を抱えがちである。

林与にしても、中国紡績を使用している場合には中国紡績だという説明を業者の人にも正しくするし、それができないと偽装につながってきてしまうのである。中国の紡績工場が嘘をつくこともない、中国の紡績工場の人たちもアイリッシュリネンなんてもうないよと業界の常識をいっているのに、そういう紡績工場で紡績された糸が先進国の業者の手に渡るとアイリッシュリネンに化けて流通する、麻に詳しくない機屋さんや問屋さんや生地商社やブランドほど飛びついてしまって、アサリとおなじような偽装に走ってしまう。なにがどこで作られているのかという産地に関する適切な情報が最終の消費者に伝わる必要があると思う。

お客さんの用途にあった一番合った糸を選ぶ時には、どの糸を使うと一番問題が少ないかで、どこの国の糸とかどの銘柄というよりも、実際に使ってみて品質を検証して問題なく大丈夫かどうかが自分の中での良い糸悪い糸の判断基準。ロットが異なれば同じ銘柄の糸でも、問題だらけのこともある。使っている糸のことなどは業者さんも気にされるし、最終の消費者の方も気にされるので、昔につくったもので分からないときには分からないという返事もするし、なるべく適正な情報を発信する気持ちが大事だと思う。説明で化かそうとするは業者がよくやる手段で、地味に作業して作っていたらそこが一番大変なところで自分の作ったものに対して化かす必要はないだろうと思う。                    

熊本のアサリ業者も全国8割のシェアで、短いと3日とか1週間程度の有明の干潟に中国から輸入したアサリを置いて回収して熊本産として下すことを30年近くやっていて、中国産価格の2倍以上の国産価格で販売していたようで、中国の業者が騙すでなく日本の業者が偽装して化かして売って莫大な利益を手にしていたというのが実態。繊維業界も昔から似たような世界がありがちで一番の謳いが嘘とか他人事ではない話だと思う。アサリと同じ様に食べていけないから世界的に繊維での産地偽装もよくありがちな話。

最終消費者がものを買うときに情報を確認して納得して買って使うのだから商品に関する情報は正しく伝わる必要がある。もちろん小さな誤りなどはまれに起こることもあるだろうけどもそれは正直に訂正すればよい話。このような偽装して全国シェア8割の産地偽装アサリは、業者の金儲けのために組織的な偽装が行われてしまっていて、1回当たりコンテナ単位で何十トンで1g1円程度の上代、上代ベースで5000万円で、卸ベースで2500万円とすれば、1回やれば、1000万円とか1500万とか儲けていたような話にみえ、十分汚くもうけられた感があり同情する余地のある話でもなかろう。
2022年02月01日
熊本でアサリの産地偽装が何十年も続いていたという話。産地の漁協や漁業関係者が偽装してしまっては産地の本物が出回ることもなくなり、偽装ものが普通になったりする。昨日、かっぱ寿司であさりの赤だしを頼んだが産地を調べると中国産とあった。1杯200円であのアサリのボリュームが国産ではないと思っていたけどもちゃんと正しい表記で問題はない。

地元の道の駅でも、地場のやさいが売っていたりするけども、九州のピーマンが売っていたりもすることがあり違和感があるけども、産地偽装よりはましな話で、地場のものでないスーパーで買えるものと同じだと購入者は判断して買う人は買うし買わない人は買わない。道の駅としてもすこし違和感のある恥ずかしい話だろうけども地場の野菜を用意できないこともあるだろう、そういう時には仕方なかったりもする。

もう日本の川も海も痩せてしまって日本の食生活を潤すくらいの魚や貝は取れないということだろう。近くを流れる愛知川もアユは稚魚を上流で放流するらしいし、宇曽川にもモロコも放流するということで、川自体が魚にとって無理な生活環境となってしまっているということであろう。川に魚がいなくなったら、鳥がいなくなることになる。放流して魚を食べる鳥が生きていけるようになっているんだろうかと思う。

米にしても、ふくよかな大地というわけではなく、いわゆる化学肥料と呼ばれる混合肥料をまかないとまともなコメは作れないという農家の正直な話で、嘘をついて自然農法よりも、本当や現実を知るほうが大事だろうと思う。そこまで自然が失われていることにも気が付いてこそ、自然を守ろうという気持ちにもなれる。
2022年01月29日
今日は、レピアの耳を残しておいてほしいという話や、お客様向けに作った本生産での初回のキズの反物が残っていないかという話を電話でもらったりした。本生産をするときには、基本2割から3割のロスをみて糸を準備するので、織ぢ縮みや加工ロスをみても、10%から15%から程度をキズなどのロスとみて多い目に生産する。その中で一番良さそうなところを納品するような形で、どうしても一番悪いところが残る。

一般的にはそれはゴミのようなものなのだけども、林与的には、数十センチでも活用方法はあるので残している。それはSDGsがいわれる以前からの林与のスタイルで、生地というのは使い道というのは料理できる人間にとってはいろいろあるのである。糸なんかもなるべく残糸もロットごとにビニール袋にいれて残してあるので、先染めの織物工場の糸の在庫というのは同じ色でもロットごとにいくつも残っていたりする。でも捨てないのが林与のスタイルで、それを上手に使うことをまずは考える。

アパレルというのは、オリジナル生地などにしても、キズの多いB反、例えば50mに6か所以上欠点のあるたんものなどは引き取らずに作り直してほしいというのが普通。非常にもったいない話なのだけども、そういう基準をもっていたりするのが一般的なアパレル基準だったりして、生地を重ねて上からがっちゃんで裁断してしまうから、キズが多いとロスが多くなるので効率的には使えないから引き取りたくない話。野菜なんかでも出回るのは形の良い一部で半分以上の形の悪いものは振り分けられてお店にはならばず、業務用にレストランや学校給食、道の駅、そのほかは廃棄という形になる。お店に並んだ野菜の内売れ残るものは、レストランに引き取られたりなどなど。

キズの反物もよいところどりすれば使えないことはなく、ちゃんと洋服をつくれるので、本当に腕のある人というのはキズの反物でも使いますと買ってくださったりする。林与の織物の仕事も糸の問題など乗り越えて布ができるので、糸に多少の難があったとしてもそれをなるべくうまく処理して、糸商さんに問題があるからといって返すことはほとんどない。最近はリネンの生成でひと箱のなかの色がロット違いのように色が違う場合などがあって、それだけは生成りとして使うには本当に困る話でそれには苦戦をしているところ。

私がSDGsで思うのは、日本で昔ながらの天然素材の繊維業が衰退してしまってまともに生産も出来なくなっているのにSDGsとか不思議な話だなあと。昔型の繊維業界の多くの人が働くことができたような状況こそ理想形だろう。それとか、検査基準とかアパレル基準とか百貨店基準とか、合成繊維に近い基準を適用する品質の世界が結局天然繊維業界よりも合成繊維の流通を加速させて、今更、ビジネスとしてSDGsに向かうのかという皮肉さ。検査基準や品質を落とせばかなりの天然繊維は市場に流しやすくなるからそれが一番のロスを救うことにつながるだろう。
2022年01月28日
今織っている分が、この1年では一番難度の高いシャトル織の総先染めで横4色の耳までリネン。耳が切れ始めると本当に厄介で、3台目の織機が調整を掛けてはいるけども最初の2台よりも不安定で動くときの音も振動も大きい。たぶんピッカーのバッファベルトがうまく機能していないんだろうなあと思うけども、大掛かりな調整を掛けていると間に合わなくなるので細かな調整だけ掛けながら織り続ける。

リネンをシャトル織機で織ると上下だけ三巻の縫製でキッチンクロスができるので、厚手のキッチンクロスの場合には最厚部が三巻で済むことになる。四辺を三巻処理すると、最厚部が9重になってしまうことになって、縫製もかなり手ごわい話になってくる。ハンカチなんかも4辺を三巻に縫製するのが普通のハンカチのイメージかもしれないけども、昔のリネンのハンカチというのは上下だけ三巻にしたものだった。そういうハンカチを見ると違和感があるかもしれないがそれが本来のハンカチの形の一つ。

スマホの気温見ていると夜、外は1度とか。まだまだ工場の中は寒い。パーカーのフードを被っていると寒さが半減するのは、頭が冷えるからなんだろうと思う。けどもフードを被ると首が自由じゃなくなり肩が凝る感じ。さて、夜は整経と繋ぐのがまっている。

午後からやっぱり3台目の織機の横糸の崩れがひどすぎて、連続してシャトルの管に巻いた糸がシャトルの中で崩れる、これではキズも増えるし糸のロスも多すぎで、原因の究明に一休さん。ステッキのコイルスプリングを強めに調整してステッキが叩かれたあとの戻りをよくしたらまあまあの改善結果となった。なぜ、この織機だけ戻りが弱くなってしまっていたのだろうか。相当スプリングのネジは強く締めて合って、ズレたとは思えず、意図的に緩くしてあったような気がする、そうだとすると他で問題が出てくる可能性もあるので要注意。この調整のあと、寒いので体調を整えるために体を休めて夜から仕事。疲れたら休んで、起きたら働くのモード。
2022年01月27日
麻に詳しい人なら日本の着物の世界の麻織物が、普通のリネン織物よりも何倍も高い世界がだったりするのを知っておられるだろう。昔からの麻織物の業界のものからすれば、リネンは一ドルが360円の時代でもそれほど使うのが難しいこともなかった。手績みの世界を知っている日本や韓国の麻に対する高級思想は世界で一番くらいだったろうと思う。

今でも普通に使っているラミー100番とかはリネン60番手の3倍くらいするし、そこに高級な糊付けをしたりすると、ラミーの細番手織物はリネンよりも糸からしてキロ当たり6倍くらい高い世界になる。高級すぎて一般では見ることもあまりないだろうけども、ラミーにはそういう世界が細々ながらあったりする。原料が高いだけでなく織るのがリネンの何倍も難しい問題があったりして、細番手のラミー織物100%は将来的にはアパレル向けでは消えて行く流れになるのではないかと思う。特に先染めになると整経も相当難し話。

ラミーとリネン限らず、麻の先染めも将来的には生産は難しくなってゆくだろうと思える。例えば、白い糸と黒い糸の収縮差などの問題があって、先染めで大きなチェックを作ったりするとその色の組み合わせは提灯のような生地に仕上がってしまったりと、染料というのは麻そのものの物性を変化させてしまうので、同じロットの糸を使っても、色の違いで収縮差が出てくるとか。同じ程度の濃度の色の組み合わせだと問題は少なかったりと、デザインがそのまま問題なく先染め生地に落とし込めるとは限らないのである。下手をすると物性で引っかかって全滅とかも普通にあるので先染めの世界というのはなかなか難しい。

20年、30年前に普通に作れていたものが、もう今は作るのが難しくなってしまって、もう見かけることもないほど高価になってしまってみたいな。本麻の先染め織物とか。作れる時間があれば時間のある時に作って残しておきたいなあと思う。近江湖東産地の特色といわれた本麻の細番手先染織物の世界は技術としては残っていてもそれを形にして流通させることは本当に難しくなってしまっている。糸の問題などもあって、2000年ころからそういうのを感じてきたけども、あれからさらに20年。そういう織物が日本の麻織物らしいと言えば日本の麻織物らしいのだけども消えゆく世界なんだろうと思う。

将来、温暖化が進んで、エアコンの電気使用制限とかあったりすると、細番手ラミーの涼しさが生きてくるかもしれないけども。空調の効いたオフィスでは、本麻のシャツって肌になじまない。汗をかくような夏らしい環境も少なくなって、ラミーよりもリネンのほうが一般的には好まれる傾向がある。昔から麻織物をやってきた流れを持っていると本当に残念な話である。今、60代以上の年配の方は高級なラミーのものを探してくださったりするけども、それは昔の麻の高級な世界を知っておられるからだろうと思う。高級な着物向けの需要というのは減ってゆくだろうとは思うが消えることはないだろう、地元の麻組合さんでも、本麻の小幅の先染めなど手織りやシャトル織機で織ってられるので探しておられる方は問い合わせしてみられてはどうでしょうか。
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