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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2012年09月30日
昨日の夜は夜中まで仕事をしていてお腹がすいてココイチのカレーを食べに行きました。通常は10辛なのですが今回は中途半端ですが4辛です。ココイチは半年振りくらいでしょうか、体の中から温まる感じで、水が美味しい。

今日は、台風の風が朝から強く、テレビを見ないので台風が近づいているのに気がつかず、風が強いので台風なのだろうかと思っていましたが、本格的に風の強い台風でした。海外から糸が届くのですが台風の影響で船が遅れているようです。

午後から出機さんに行って織って貰らったサンプルを取りに行きました。一つカードの穴をあけ間違えたようで、ヒガエがうまく出ずにそれを直してから、2枚織ってもらいました。クロネコの締切ぎりぎりでした。他にも、キッチンクロス関係などを縫製して出荷しました。

9月も終わり、この9月は暑かったですね。ビンテージアイリッシュリネンのハンカチの販売を始めます。今回は限定の15枚となります。無地のオフ生成タイプです。
2012年09月29日
機械というのは同じように見えても、糸が違うと同じタイプの機械でもこちらの台ではうまく織れるけども、あちらの台ではうまく織れないということがありがちです。同じものを織り続ける工場さんだと調整が少なくて済むので、織るということにそれほど力が必要はないだろうと思います。

糸の太さが違うと糸道にあるテンサーの加減やレピアのピッキングのタイミング、レピアの糸のつまみ具合や開放などが異なってくるのです。麻織物というのは糸の伸縮性が少ないので特にそのあたりがシビアだと思います。織物工場さんでも同じ織物を織られているところですとロット差くらいの問題で済むのでよいのでしょうが、糸番手が変わると機械の調整が必要になってくるというのは織物をするうえではとても大事な要素です。

シャトル織機で織った織物とレピア織機で織った織物とを相対的に比べるとシャトル織機で織った織物のほうがふっくらとしているといわれるのですが、すべてがそうとも限らないので、それは、織りの部分だけでなく、加工などの方法とも絡んで大きく関わってきます。染めにしても同じ黒でも染料によって風合いが異なってくるのです。
2012年09月28日
今日は、朝からコラボしがで開催されました英文契約書講座に参加してまいりました。50人を超える方が参加しておられ個人の皆さんも含めまして海外に自社製品を輸出して行こうと考えられている方は多いようです。

ジェトロの貿易アドバイザーをされている方が先生で、最後にもいわれていたのですが、細かいことは見よう見まねでやってみてうまく行けばそれでよい、実際はやってうまく行けばそれが結論だといわれていました。契約書に書かれた内容がそれほど厳密であるのかというと許容範囲もあってよいもので、あんまり考えすぎていると身動きが取れなくなるのも実際だと思います。腹を括るか括らないかだと何度もいっておられるあたり、大手の商社で実務をこなされてきて実際の話が聞けてよかったです。国内と違うのは、海外の場合には出荷に関するドキュメントが増えることが違いだといっておられたのも現実的なお話で、輸出というのはものを作るだけでなく、決済に関する取り決めなども含めものを流していく力も同時に必要になってくるものです。

仕事というものは契約を超えたところで動いているのが普通ですので、契約に縛られるようなものづくりというのは安全なありきたりのものばかりで、あまりよいものが提案できなかったりです。人が何かに共感しそこでものづくりが進んでいくと新たなチャンスというのも関わった全員に生まれてくるものですが、チームの中でガチガチにリスク回避的なテイキングな人が関わるとそこがボトルネックになってしまいバランスが崩れることで物事が難しくなります。レベルの高いものづくりの絡む仕事をするときに外も中もですが、途中もトラブルが当たり前なので人と人との関係が大事で、それに携わる人の力というものが一番大事だなあと思います。

今日は実質的な月末で、10月には中国が国慶節に入るということもあって中国向輸出だけでなく連絡までもがストップしてしまいます。1週間のことですが実際には船を決めるなんかの業務的には3週間ほどの到着の違いになってしまいますので、今日中に連絡を取って片付けておかないとならないことがたくさんありました。

インターテキスタイル上海の最初の日の夜にセレモニーとレセプションに招待をいただいて重なってしまいました。両方とも特別なイベントなので両方に関わっておられる方というのも居らる両方に出席させていただくような形も可能ではないかと、週明けにでも調整ができればと思います。

会計年度末で、セミナーのお昼の休憩の時間も振込みなんかも含めて今日はてんこ盛りな一日でした。会社に戻ってから、織機の調整や作業の進捗含めて動いて、インターテキスタイル上海までのあと3週間ほどで解決しないとならない問題も多いです。
2012年09月27日
毎日が追われすぎてしまっていて、散髪に行くのも2ヶ月ぶりで行きました。写真の提出が必要で、最近写真を撮ったことがないので提出期限のぎりぎりで写真を撮ります。ファッション業界の人が見るメディア向けの写真なのであんまり格好の悪いのも駄目だろうと髪の毛を切りに行きました。会社にもどって、デジカメで写真を数枚とって、一番若そうに見えたのをデータサイズを小さくしてメール提出しました。

もう10月も近いというのに日中は暑さを感じるくらいで、今年は平均気温も高い年になるのだろうなあと思います。シャツ一枚でも暑いくらいというのは、逆に大丈夫?なのか。体の調子が悪いのかと思って、温度計を見ると工場の中は夜でもまだまだ28度。

夜中、工場の機械を直していて不思議だなあと思うのです。なぜ、ねじが壊れるほどまで強く締めてあるのか、ねじの調節にしても加減が非常に大事で、一回のことでねじ山がつぶれてしまうと、その後の仕事が毎回毎回大変になります。ねじ一つの締め方にしても人それぞれだったりします。
2012年09月25日
今朝は大阪からお客様、9月も最終の週に入って、今年は、どこもが早めに注文をいれてくださっており、ものづくりや書類のことなどが追われてしまっていて、やらないといけないことだらけです。

10月4日に大阪でせんば適塾さんと大阪府が開催されるイベントがあります。大阪のりそな銀行本店の地下ホールで展示商談会です。小篠ゆま氏、森俊彦氏の講演もありますので、繊維に興味のあられる皆様はぜひご参加ください。詳細は、http://senbatj.com/event_cat/seni_20121005.html

商談会や展示会というのもその場所で話が決まるということはほとんどなく、出会いやPRの場として活用をさせていただいております。今、扱っているものばかりではなく、昔の近江上布の見本切などを持ち込みまして、もう忘れ去られかけている日本の春夏の服飾文化の歴史的な側面も見ていただこうかと思います。

近江上布プリント柄もインターテキスタイル上海を発表の場にと考えていたのですが、こちらで先にお披露目になります。数千種類の柄のうちに出来上がったのは今は二つですが、会場でみなさんの意見をいただきながら次にどの柄を展開していくか考えていきたいと思います。絣調にプリントしてあり、普通のプリントとは違う味が出ています。

何百種類かの見本切を持ち込みますので、昔京都大阪の呉服問屋さんが扱っていた麻布の贅沢なイメージというものをご覧いただけるかと思います。草木をモチーフにした世界で、日本的な木の文化に通じるところがあり、麻織物が植物繊維であるだけでなく、林与の近江上布柄が草木を柄にすることにこだわったのも面白い部分です。私がそれらを眺めるときに感じるのは夏の夜の花火のような儚さです。手触りなども今の麻生地とは違ってしっかりとしていますのでそういうのも実感していただけるものと思います。

時代というものは移り変わるもので評価されるものというものも変わり、絶対的な価値観というものはないのが商業ファッションの世界で、絶対的に評価されるものではなく、絶対的な価値観というものは案外小さな個体自身がそれぞれに守り続けていかねばならないものだなあと思うところです。
2012年09月24日
職人さんが消えていく背景というのは分業体制であったが故だと思います。分業化が進むと生産性は上がるもののそれは産業としては末期に近いものです。どこか一箇所が途絶えるとそれまでのものづくりが途絶えてしまう。

ボリュームが少なくなるときに分業化が進みすぎていると人を減らすことができないし、人を減らしたら同じものが作れなくなるということが起こりえます。自動車や電器のようにアセンブルだとまだ海外生産でも代替が利くものです。

職人を名乗るもの自身がどこまでものづくりにこだわるかですが、日本が海外にものづくりで負けてしまうのも単に価格の問題だけではなく、気質面でも職人らしさというものがなくなってしまっているがためだと思います。

2012年09月23日
今日はひんやりとした夜で月光が綺麗です。月光の光はアイリッシュリネンの光沢と似ているなあと思います。

最近は、空気が澄んでいるので、山がはっきりと見えることが多く、それだけでうれしくなります。秋らしい涼しさの中で快適に仕事が出来るありがたさというものは、暑い夏を乗り越えただけにより集中して仕事ができそうです。

仕事のほうが10月末までの仕事がほとんど埋まってしまって、今は11月の仕事の調整に入っています。12月から1月末仕事の計画も目処が立ち始め、今年はどこもが早めに進行をしてくださっているようです。

11月くらいに織ろうとおもうと今から糸の準備などを始めておかないとなりません。この休みが明けると20色くらいの染を進めようと思います。
2012年09月22日
食べ物の安全を考えるときに、腐らない食べ物が安全かというと、食べても下痢を起こす原因になったりします。インスタントラーメンやファーストフードを食べると体調を崩す方が多いかと思いますが、何に問題があるのかは分析しないと分からないと思いますが、インスタントラーメンやファーストフードの食べ物というのは体調を崩す原因になることが多いものです。腐っているわけではないのですが、体が吸収をしにくいほどの処理がされているのだと思います。

食品なんかは通常1日で駄目になってしまうものですが、1日経って食べる人もいたりするかもしれませんので、持ち帰りを想定して食べ物を提供する場合などは1週間くらい後で食べても安全なくらいのものでないと大量に販売する場合には仕方がないのかもしれません。

オーガニックな概念と関連した部分で、ウールなんかも昔のウールは1年で虫が食べてしまいましたが、今のウール糸というのは何年でも保存が出来ます。虫が食べないものほどオーガニックとは別の概念で、私も心配をして、自社が使っているリネンの生機を草の上に何年か放って置く実験をしました。上の部分は丈夫なままですが、数ヶ月で石をのせて土と触れる部分はしっかりと駄目になり土に返るような形です。
2012年09月21日
今日もまた新たな問題で、糸切れを感知するフォークがうまく糸切れを感知しないのです。機械的に糸切れを感知するシステムというのは糸が太かったりすると力加減が足らずに感知しにくくなることも多いのです。動いているのは同じ感じで動いていても糸切れしたときに、うまく引っかからないと織機は止まりません。

このフォークの仕組みも本当にうまく出来ているものだなあと思います。フォークを微妙に曲げることで止まったり止まらなかったりすることができるので、逆にいろいろな糸を感知できるのです。レピアに関しては糸切れはフォークでの感知ではなく、横糸をテンサーが糸の振動を感じて、振動がないと横糸が切れたということで織機が止まります。

糸を持っていくときと最後糸を離す前の2回チェックすることで糸切れがあるなしを調べるのです。これは電気的なメカニズムを使っていますので、すぐに止めることができるので高速で動く織機には適しているといえます。

また、止まるときも、シャトルとレピアとでは異なります。シャトルのほうは、ブレーキは付いていても自然に止まる感じですが、レピアのほうは強制的に機械に電気ブレーキを掛ける機構が付いていてすべりがほとんどないのです。

シャトル織機というのは遊びがたくさんあります。レピア織機には遊びがありません。遊びが多いと、この部品長持ちするのかなあと思えるのですが、機械的に動いていても長持ちするのは部品一つの素材も長持ちするような材料を使っているからです。壊れないように遊びがあるのも設計されたときから考えられたことで、ソウコウの目玉の大きさなんかも遊びのうちの一つです。
2012年09月20日
今日は昨日注文したリネンの糸が届きました。リネン43番手、リネン25番手の定番の生成が売切れてしまっていてすみません。今日届いた糸を使って生産をしますので、2ヶ月ほどで出来上がるかと思います。お時間くださいませ。

もう、9月も後半に入っていますが、滋賀県は異常に熱い気がします。本当なら9月に入ると第一週くらいで、夜露が降りるような感じになるものですが、大気中の水分が少ないのでしょう。夜、工場で作業をしていても蒸し暑い毎日です。京都はもっと暑いのです。沖縄や九州よりも、近畿が暑いというもの少しおかしな話ですが、秋は秋らしく、冬は冬らしくあってほしいなあと思います。

夜、8時前に、久しぶりに近くのショッピングモールに行きましたが、2階の洋服売り場は秋らしい装いに様変わりしていました。その隣に閉店セールをやっているファッション衣料のお店があって、どちらもお客さんというのはまばらでした。
2012年09月19日
糸の入っている箱というのは大事です。そこにその糸のロットが書いてあって、その糸をたどることが出来るからです。一番困るのは糸の管理のできないタイプの人で、そういう人の仕事というのは使うことの限られてしまうゴミが増えるばかりなのです。

仕事のできる人というのは書いていなくてもロット管理が上手なのですが、仕事の出来ない人が書いていないと全員の仕事を駄目にしてしまいますので、ロット管理の出来ない人が仕事に入るときにはその人のためにロット管理できる人を監督的に割り振る手間が増えます。

量産の時代の人ほどロット管理ができずに品質が落ちてトラブルに見舞われて消えていくというケースが多いようです。原糸のロット、染のロット、糊付のロットなど、同じ色に見えるほど微妙な色の違いが命取りになります。

原糸を管理するときには元箱にいれて、糸のロットが違う場合には別々の箱に入れて管理するのが適当です。案外それができない人が多いもので、大きなトラブルを避けるために、ロットの判断があいまいになった10kgや20kgの糸を正しい糸として使えなくなることも多いのです。

作業している人には糸の価値が見えないことが多く、織りあがった布の価値もみえていないことも多いものです。その価値の見えている人の作る布と見えていない人の作る布とでは品質に大きな差が生まれてきます。

糸の入っていた箱にしても、再利用ができるので壊さないで再利用を考えるべきですが、今の時代というのは品質管理の為に使い捨ての時代になってしまっていることも逆に多いものです。糸の箱も使い捨てるようないい加減なものではなく、しっかりとした材料で作ってもらっていると再利用を考えるうえではありがたいのですが、今の時代は使い捨てを前提とした梱包の時代です。

リサイクルといいますが、今の時代のリサイクルは、ゴミとして捨てているのに等しく、利用するために一から溶かして使うようなことは、セカンドベストで本当の意味での省資源化ではありません。ダンボールにしても何十年も使えるものなので、使い捨てるダンボールよりも、何十年も使えるダンボールを使ったほうが何倍も省資源につながります。
2012年09月18日
今日は、糸量の計算や織機の調整を行いました。夕方には糸が染まりあがってきて喜んでいたのですが、受注が同時に入ってきて、少し足りないことが判明し、急遽再度染めを追加することになりました。

ストール関連の見本つくりもかなりの数に上るので、10月中頃までの仕事が埋まってしまっています。10月後半はインターテキスタイル上海を予定していますので、実質、これから受ける仕事というのは11月からの仕事になる感じです。

全体的なイメージとしまして、今年は仕事の進行が早いようでありがたいところです。ぎりぎりだと出来ないことのほうが多くなるのです。特に、シャトルで織るものなどは生産自体が簡単ではありませんので生産途中でも納期が読めなくなることが多いものです。

これからの時代、シャトル織機があってもシャトル織機を使える人がいるのかというと、織るだけはできたとしてもその調整やメンテナンスはさらに難しくなってくるといえます。どこまで生産性のない背景で生産性を上げられるかは、技量そのものなのですが、織るだけでなく、織キズの手直し、ヒマが空いたときの目直し、耳糸切りなど、トータルでできないと織る技量というものは上がりません。機械の調整だけでなく、織る人の調整が必要な場合も多いものです。
2012年09月17日
今日は午前中、出機さんにビームを一本持って行きました。台風の影響で風が強く、小雨交じりでシートをかぶせて軽トラの後ろに積んでいきました。もう、田んぼは刈り取りも終えられたそうで、ちょうど織物の生産時期に入ります。今年は、熱かったので米は豊作だったそうです。

午後はm倉庫に籠もって出荷の準備をしておりました。検反機で検反をしておりますと急いで仕事をしているつもりではありますがすぐに時間が経ってしまいます。検反の作業にしても簡単そうに見えて糸の処理などの修正作業を伴いますので単純作業では細かい仕事で、あまり仕事をしていないようでも時間の経つのが早く思えるのかもしれません。

織物の仕事というのは目が良くないとなかなか難しいものだなあと思うことが多いものです。キズを見つけるだけでなく、そのキズを直さないとならないので、一本一本の糸のアップアンドダウンが見える人でないと仕事は難しいのです。私も織物の仕事をしていて見えなくなったら終わりだなあと思うことが多いものです。

糸が見えるか見えないかというのは視力の問題のほかに集中力の問題が大きいと思います。あきらめずに見ていると案外、頭がイメージを作り出して見えていなくても見えているように正しく糸を通せるようになるものです。
2012年09月16日
ボーダーとストライプの柄とではどちらが織物として価値があるのかというと、ストライプです。ストライプの柄は縦糸を作って繋いで織って初めてできるのですが、ボーダーは無地の縦が機械に掛かっていれば、色数は限られるもののほとんど自由な柄イメージが比較的簡単に出来ます。

私自身は麻布に関しては、布は縦は縦として使うべきで、縦横使いはあまりよいとは考えません。といいますのも、通常の麻布の織物加工においては、生機というのは横に15%ほど縮む想定です。縦方向に関しては縮みはほとんどありません。あったとしても数パーセントです。

人が洋服を着るときに、横方向にストレッチ性があることは非常に大事です。横方向にストレッチ性がないと着ていて苦しいのです。縦方向のストレッチ性は有るとそれがすぐに戻らないとぽこんと膝や肘の部分が飛び出たりします。これが、高密度織物などでよく問題になるところです。縦方向のストレッチ性はないくらいで大丈夫なのです。

なぜ、高密度織物では縦にストレッチ性が出てしまうかというと、縦が織った状態ではアップアンドダウンしきることがないので、織物加工でさらに縮む傾向にあります。高密度織物では、横の加工時の収縮というものは少なく、幅広く仕上がる傾向にあります。横方向のストレッチ性は少なめです。

横糸密度を上げると、織物の幅は機上でも、狭くなっていきます。それは、織り密度が少ないと縦糸が横糸に掛ける負荷は少ないからです。横糸の密度が上がるほど、織物が窮屈になり、横糸も織った状態でアップアンドダウンして対応をしようとします。そのため、織り幅が狭くなってくるのです。

このことは、柔らかい糸を使うほど幅は狭くなります。たとえば、横にリネンを使うよりもウールを使えば、折りあがりの幅が狭くなってくるのです。また、同じ密度でも、太い柔らかい目の双糸を横糸に使えば、より窮屈になりますので幅は狭くなります。

堅く考えると以上のようなことですが、ファッション性を重視するときには、細かな布本来の品質的なものはほとんど考える必要はないかと思います。デニムなんかでも高密度に織り上げたものは、生地が斜行するのが当たり前のことですので、ジーンズが左右対称でないのが良いジーンズみたいなこともありえます。
2012年09月15日
昨晩は後染生地が加工工場から上がってきました。輸出のものだったので3回連絡をしていたのですが先染の産地であるが故か、なかなか後染の短いものというのは逆に時間が掛かってしまうようです。厚手のリネン100%の素材で、染工場さんにしても今までこれほど厚いものは染めたことがないといわれるほどのものでリネン100番手とは対に位置する特別なものです。

林与にとって後染めの素材というのは本当に珍しいのですが、この織物は1回1回の手作業部分が大きすぎて先染でやるのは非常に困難な織物です。糸を割ると糸の結び目ができるのでよろしくなく、縦つなぎのときも、糸を機械で結ぶことが出来るのかというとすべて手作業で結んでいきます。繋いだ糸を送る作業にしても結び目を織筬のところを超えさせるだけで大変です。織機が違うタイプだときっと楽なのでしょうが、自分の会社の環境というものは限られているので、自分でものをつくるということはそういうことなのです。

1mで700g近くある織物というのはほんと重いです。注意していないと織機も壊れるほどで実際に1度壊れてしまったのですが、糸が切れるということはほぼないもので、三本の矢ではありませんが、麻糸が鉄の鋳物の機械部品をへし折ってしまうという世界です。麻布のコレクションをつくるためみたいなための布つくりになり、同じ1mでも、通常の5倍6倍の糸を使いさらに織ることも容易ではありません。無理とそうなるところのものづくりに持っていったので、仕方がないといえば仕方ないのですが、1mあたりの目付けが15倍くらいの範疇で織物の超薄い織物から超厚い織物までが形になります。
2012年09月14日
同じ色で種類の違う糸をチェック柄の織物にすると、ややこしいことになりがちです。切れない糸だったら良いのですが、縦糸が切れたときに切れた糸がどちらの糸か分からなくなり、交錯してしまう可能性が高いのです。リネンの場合、生成の糸とオフ白の糸をチェックにすることも良くありますが、1本の糸を見るときにそれが白なのか生成なのかを見分けるのは、生成の色味が薄い場合には非常に困難です。

これを解決する方法はいくつかあるのですが、それをやろうとすると結構手間でコストもかかりますので、通常は出たところ勝負的なリスク覚悟で織り上げることになり、結構な確立で失敗をするものなので、という話を昨日の夕方、企画の方にお話していました。

夜には、シャトルで、なぜか原因不明の横糸切れが起こりどうしたものやら。どこかに当たっている気配はなく、糸切れの感じもうち切れのような細い箇所が切れるような感じではなく叩いてきったようなというか切れないはさみで切ったような感じ、再度昼間、明るいときに、しっかりと見て考えてみようと思います。

海外ミッションのお知らせをいただいて参加したいのですが年明けのバタバタ状態を考えると1週間会社を開けることは難しく、近江上布プリント柄を海外に向けて発信していきたいなあと考えているときですので、インターテキスタイル上海始め次のチャンスを狙います。
2012年09月13日
家にも小さな前栽があるのですが、そこに一本のもちの木があります。これの葉刈が厄介で、10メートル以上は高さがあろうかと葉刈の人も、葉刈の本職そのものでないと木に登って葉を摘まんで取る作業は難しいようです。葉刈も本職の人というのは少なくなってきたものです。

昨日夕方、東近江市の甲津町という村に行きました。途中で、道がすごく狭くなって迷い込んだ感じになったのですが、そこには立派な黒松が植えられている家があって、盆栽の松の長巨大版みたいで家を隠してしまっていました。これは、何百年物なのでしょうが、切り落とされることなく残って欲しいなあと感じました。

甲津町からの帰り道、田んぼ田んぼで、9月10日で、もうほとんどの田んぼが稲刈りを終えています。今年の夏は暑くて生育が良かったのでしょう。今年のお米は美味しいだろうと思います。

今日は、午前中に京都のプリント工場からお越しくださり、依頼していた蝶柄が出来上がってまいりました。近江上布の柄がまた一つプリント柄として蘇りました。夕方にはコラボしがから電話をいただいてファンドの説明会で事例の紹介で取り上げていただけるそうです。ファンドの認定をいただいて出来る限りのことを詰め込んで、ビンテージアイリッシュリネンハンカチつくりに終わらずに大きく大きく広げましたので、やりたかったことの多くが実現でき、特別なリネン糸を使っての試織テストなど、たくさん経験を積むことができただけでなく、また、多くの皆さんとの出会いがありました。

当初はファンド事業をいただくこと自体が大きな挑戦で、織れなかったりできあがったものが普通のものだったらどうしようかという気持ちもありましたが、30年以上倉庫に眠り続けた糸を織って出来上がったリネンが自分が見たこともない特別なものであったことは幸運でした。やりたいことがあったから、ファンドを活用させていただいたという形でしたので、やりたいことを実現にもっていくという仕事にとって一番大事な基本のところをファンド事業を通じて学べた気もします。
2012年09月12日
昔の人の完ぺき主義というのに驚くのが、シャトル織機に右左があるのをご存知でしょうか。また、糸を巻く機会にも右と左があるのです。右と左をペアにして、危ないモーター同士を内側にして安全性を高めるとか、縦切れを直すときに後ろに回るのでそのときに通路が必要なのでその通路をより広く取れるようにうまく考えてあるのです。これは、シャトル織機だけのことでなく、チーズワインダーも右と左があって、スペースの有効利用をして会社内の作業性も向上させてあります。

設置した機械の位置が毎回50CM広いと人が糸切れは一日に何十回、何百回と起こるので、それを何十年も作業するときに大きな差が出てくるものです。林与が昔の整経機を使い続けるのも、今の整経機は大きすぎて手が届かなかったり、すべてが鉄で出来ているので、手で微調整で動かすときに違和感があるということです。

昔のシャトル織機のすばらしいのは、鉄の塊のように見えても、手で触る框や杼台などは、木製であること。使い込めば使い込むほど馴染んでくるのが木の良さです。杼台にしても、実は半消耗品であるということを考えてあって、鉄の部品を守るために片方が木で作られているのです。これは機械を守るためだけではなく、作業する人を守るためでもあります。

シャトル織機に右と左があるときに、人の能力がより高くないと駄目なのです。右利きの人が、右手で筬の上の框を操作し、左手でハンドルを操作というのは良い感じなのですが、反対向きの機械だと、左手で筬の上の框を操作右手でハンドルを操作になり、機械に対して人間が器用に対応しないといけません。また、保守部品にしても、右用部品と左用の部品を別途用意しないとなりませんので、織機にしましてもものづくりが簡単な時代だと良いのですが、今のように、手作業のできる鍛冶屋さんもなくなってしまってしまってはメンテナンス自体が非常に難しいのです。

今日も機械屋さんがシャトルの消耗部品を持ってきてくれました。織物なんていつでも作れると思われていますが、シャトルの部品一つを作ろうとすると何年かに一回のことで、10年20年先に部品がなくなることを考えて、予備を用意しておかねばなりません。また、それをできる職人さんが日本に残っているかどうかが重要な要素になってきます。

織物の歴史を考えるときに、昔は日本中で麻織物が織られていたことを考えると原始的な織機というのは、糸と棒、板を組み合わせれば出来たのです。古代の織物というのは織機というほどのものではなくても織物が出来上がっていたといえます。しかしながら、素朴な道具で織物を作り上げるためには、現代人以上に人の頭と体というものが必要で、古代の人が現代人以上に器用であったことは明白です。
2012年09月11日
ものづくりにおいて人という要素は本当に難しいなあと思います。できることをしなかったりが、機械と違うヒト的な要素で、短期的な意味で長期的な意味で考えるときに、どのように全体を成り立たせるかというのはまったく意味合いが異なってきます。

長期的に考えていくときには人という要素は本質的な部分から大事で、短期的に考えてしまうときには人という要素は消耗品です。今の時代の人材というものの考え方が、テンポラリーなものがほとんどになってしまって、海外の量産の世界と似てしまっています。作業している人が他の誰よりも自分は自信があって、本当に形にできないと、他よりも良いものを作っていっているといっても、プロの世界でも10の内1つか2つが売れるだけの今の時代なので、自分の力を信じているなら他以上に本質を突いたようなものづくりが必要です。

新商品でも、差別化できていて一定の技術やノウハウ以上のものが含まれていれば、5年10年のうちに日の目に会うものが多いですが、作ったからといって新しいものというものは市場にないだけに評価されるまでには時間がかかります。また、一定の水準を超えていなければ似たような安いものに淘汰されてしまいます。
2012年09月10日
今日は朝一番に大阪、朝の早い電車に乗って次のAWサンプルを入れたEMSを一つ出しました。京都中央郵便局の時間外受付は24時間、大阪中央郵便局も24時間なのかとおもっていると違うようで、京都の郵便局はサービスとしては優秀なのだなあと思います。

インターテキスタイルに向けての業界紙の一つ繊維ニュースの取材ということで、こちらの都合の良い時間を指定させていただいてダイセンさんに出向いて取材を受けました。取材とは、いろいろと過去のプルミエールビジョンなどで配られた配布資料などを見せていただいて、前回は林与の素朴なナチュラル仕上げのリネンの生成もしっかりと載せていただいていたりで、エコな流れというのはそういうところからも生まれてくるものと思います。

実際にインターテキスタイルに関する取材は30分ほどで後は、雑談的に最近やっていることのお話、また、繊維ニュースの記者さんからの最近の業界の流行的なものづくりの話をいただいたり、海外の展示会に出展に関する情報など、私が疑問に思っているようなことを教えてもらった感じです。

また、一つ織機について記者の方に質問したところ、そういう分野に力のある人に心辺りがあるということで、調べていただけそうな運びです。自分の会社にないタイプの織機のことなので、こういうときを活用して答えが見つかると新しいものづくりにも役立つ立つというものです。

今回のインターテキスタイル上海もベースとなるものの展示のほか、新しいものは、近江上布プリント柄、リネンのナチュラル仕上シリーズ、同じく、リネンブルー&草木染、そして、リネン150番手のアパレル向けの試作品の発表です。たまの大阪、どこかうろうろすべきなのでしょうが、急いで返らないといけない事情があるためとんぼ返りです。
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