for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記
リネン日記
リネン日記:3680
«前のページ 1 ... | 150 | 151 | 152 | 153 | 154 | 155 | 156 | 157 | 158 | 159 | 160 | ... 184 次のページ»
2011年04月21日
先日加工に出した分で、今日どうしても上がって来てほしい反物があって、なんとかそれを上げていただきました。夕方にはロイヤルラミーの糸が黒に染まってきたのですが、特殊加工糸なのでつるつるのピカピカで硬い感じです。和装向けなら良い感じに仕上がるのではないかと期待しています。小幅の本麻織物がこれでうまくできればよいなあと思っています。

反物を夕方、加工工場に取りに行くとカートの上に10反ほどの反物が用意されていて、大急ぎで持ち帰りました。そのうち、急ぎは1反ちょっとだけなので、品番などを書き直して佐川急便に持ち込みました。

原油が高騰した辺りから、ここ数年は、どこの運送会社さんも集荷の時間が早くなり、加工から反物が上がってくるのは通常夕方ですので、急ぎのものを出荷するためには、佐川急便の営業所まで持ち込むことが増えてしまいました。

会社に戻ってから、今日は来春向けの企画の見本作りの依頼があって、糸の在庫などを確認しました。ファンド事業で製作する洋服の見積もり依頼なども行い、もうすぐリネンの細番手の糸が届くので染めて織り始めるのを楽しみにしています。昨年は壁にぶつかってしまったので、その壁を乗り越えられるかも今年の課題です。
2011年04月20日
リネンって味があるなあと感じることがあるのです。リネンを触ったときの感触的な味なのです。今日はそこそこお天気が良かったので、地下水を使って生機のリネンクロスを干してみました。たっぷりの水でしっかり洗って脱水して干してみるとまだ最初の1回目なので、ゴワゴワ感が少しあるのですが、そういうときには、乾いてからでも良いので、左右に引っ張りながらパンパンと布を伸ばしてあげてください。すると不思議なことに、布が伸びて非常にナチュラルな感じの肌触りの良い布に変わります。

ノーアイロンで大丈夫なのです。洗いこんでいくたびにゴワゴワ感は少なくなり風合いが良くなるのを実感いただけるのではないかと思います。それが何も足さない引かないような状態で生まれる布だけによいのではないかと思うのは林与の自己満足でしょうか。使われる方が布の良い状態を引き出すような一工夫で布が素敵になるというのもリネンマジックではないかと思います。

林与のリネンのキバタでストールをおつくりの場合でも同じようなリネンマジックが存在します。洗い上げた後、脱水して、干すときに、お二人で両端をもって、ストールをパタパタパタと延ばしながら空中で煽ってあげてから干してあげるのです。それだけで、リネンの詰まりが少なくなり、より良い風合いのストールに仕上がります。これまた、何も足さない引かないで作り上げるのもよいのではないかと思います。

化学的に樹脂などを使って縮まないようにする方法や風合いを保つ方法もあるのですが、リネンにもいろいろな御用途がありますので、ハンドメイドなものに関しましては、ナチュラルに仕上げるのもリネンそのものを味わっていただく上ではよろしいのではないかと思います。
2011年04月19日
今日は、大きな雷が鳴り、そのあと解けかけの雹(ヒョウ)が雨のように降ってきました。上空が非常に寒いのが分かります。農業だとお天気が大事ですが、林与の一部布つくりにとっても、お天気は非常に大事なのです。

アンティークリネンの秘密に迫ろうかと調査を開始しました。洗うと柔らかな布には何かの秘密があるはずです。なぜ、皺にならないのかという問題も不思議です。現代のリネン糸がしっかりとしているのに、太番手のアンティークリネンがくたっと柔らかいのはなぜなんでしょうか。いろいろな可能性が考えられると思います。シャンブルなのか、加工方法が違うのか、保存液の違いなのかなどなど。日本にいてはいろいろと文献などをネットで調べて情報を得るしかないのですが、今年、ヨーロッパに行く機会があれば現地で尋ねてみようと思います。フラックスが咲いているころがよいなあと思います。

日本で、リネンとラミーのが両方麻として表示されるのはなぜかというと、検査機関が厳密にその成分を分析することができないからです。何ミクロンという幅の長い繊維に関しても、リネンとラミーは非常に似ていて見分けがつかないのです。それが糸となるとその形状の違いは明らかです。同じ紡績糸でも、ラミーは長い毛足が飛び出ています。リネンの場合は短いです。程度問題ではありますが、つやがあるのがラミー糸で、つやがないのがリネン糸です。

織物で見ても、ラミーはすらっとしていてスラブ感がなるく、リネンは、マットな感じでぼこっとフシがあるというのが特徴です。毛玉っぽい問題がみえるのがラミーで、フシっぽい問題がみえるのがリネンです。

今日は、夕方にモンドさんの濱中社長がお立ち寄りくださいました。以前、リネン糸のことで情報があれば教えていただきたいということで頼んでおりましたところ、海外のリネン関連の糸のブックレットを拝見できました。生成やオフ白ベースなものが多いので、意匠糸として使うためには、手に入れてからの一工夫が必要かと思いました。

面白いなあと思ったのが2つありましたので、早速、使ってみようかなあと動き始めています。タイミング的には、来春のプレゼンテーションになって、再来年向けの商品企画ということになりそうです。
2011年04月18日
今日は、本縫いミシンにつける三巻き用のラッパが届きました。アイロンを使って、折り目をつけて、目と手で確認しながら縫製するほうがより正確に縫えたりするのですが、ラッパを使うと若干弓なりになったりはするのですが、それは、織物の裁断が、糸目をベースに裁断しているので仕方のないことかとも思います。

ミシンメーカーさんにお送りした生地見本も返却いただいたのですが、ラッパを使ってテスト的に縫ったものを見て、まずまずの感じではありますので、ラッパだけでなく、縫製する生地にどこまでなれるかが大事だと思います。

無地のものだと比較的ゆがみが目立たないので良いのですが、単純な三巻でも柄物などの場合に、柄がゆがんでしまうことまで意識すると手でやるほうがより正確に縫えそうな感じではあります。とりあえず数日使ってみてラッパでよりきれいにできるようになるのかみることが必要です。

ハンカチなど布を正確に裁断するときに、生地目に沿って正確に裁断する方法があります。糸を一本抜いて、それに沿って裁断するのです。しかしながら生地自体にもゆがみというものは存在しますので、布が碁盤の目のように正確に縦横で形成されているとお考えだとがっかりされるかも知れません。

生地というのは一面を同様に仕上げようとしてもどうしても、真ん中というのは引っ張り出す力が働くのが小さいので引っ張り出しが足りなかったりすることがあります。一方で、端のほうほどキバタの状態では中に入りやすい傾向があります。

品質検査で、生地のど真ん中で検査を取ると良い値が出たりするのですが、ワッシャーを掛けて縮ませた生地など端のほうでは、数値が悪くなるのです。検査機関にしましてもそこまで考えて検査をされているケースはないのではないかと思います。同じ、生地でも、数値が検査ごとにばらばらであったりすることがあり、天然繊維の生地というものは生き物であるということを常に感じると同時に、反頭や反末での見本生地で検査を取った場合の数値の信頼性の低さを経験しています。

リネンはそもそも高級品だった時代には、ドライクリーニングが前提だったものなので、家庭洗濯されるばあい、襟元のしっかりしたリネンシャツなどを買われるときには生地が詰まっていくことを想定して大き目のサイズを選ばれるほうが良いと思います。実際には、メンズの市販されている綿のワイシャツなんかでも、3回ほど着ると襟元が何センチが小さくなってしまっているものがほとんど、一度でも洗うと首が窮屈だなあというのがほとんどですが、そんなものだと気がついていないことお多いのです。
2011年04月17日
以前、リネンテスターについて触れました。近くの電子部品工場さんに行きまして、生地の組織を見たいので、拡大鏡を借りたことがあるのです。その電子部品工場さんは、顕微鏡や拡大鏡を使って半田付けをされている、日本でも特殊な技術を持っておられる工場さんです。

そこで、いろいろな機械で試させていただいたこともあって、生地を見るのに道具としてなにが適切なのかというある程度の判断ができました。会社にも400倍くらいの理科で使うようなものをよくした感じの顕微鏡があるのですが、裏から光を当てるタイプでそれだと暗すぎて駄目なのです。手ぶれなく作業ができるような道具が必要で、思い切ってルーペタイプの顕微鏡を改良して作業用の台を作りました。

なぜか、既成の顕微鏡を使っていたときは、左右上下が反転して酔うような感覚があったのですが、自分で作ったこの台だとそれがすくなくて手で微妙な深度を調節できるので、ものの立体感を感じることが可能で、自分の目さえよければミクロン単位のものまで確認できそうな感じです。

先日アップさせていただきました本麻手もみのチェックですが、すでに数件ご注文をいただきましてありがとうございます。残念ながら、難があったがために残った反物ではありますものの、近江上布の流れを汲む林与の先染めの本麻らしい良さを感じていただけるかと思います。
2011年04月16日
生地屋さんから細番手で密度が高めのものがほしいということでご依頼を受けておりました。昨年、こつこつと着手したリネン100番手の高密度タイプは、今年はさらに1割アップくらいを目指してできないかと考え直しています。これは売るのを目的とするものではなく、極限に挑戦するためのものです。リネンをとことん織ってみるというのが面白いのではないかと思ったりします。細番手のリネンというのは打ち切れを起こすので、強く織る力だけではよい反物はできないのです。

来週には、海外からも120番手クラスの糸が届くのですが、それもアパレル向けのプロジェクト用の試作に使おうと考えています。ステップアップして、より細番手の高密度が可能になります。リネンは細ければ細いほど高密度シルクのようなペーパーライクなパフパフした感触を味わえます。表面に張力が働いているような感じで皺にもなりにくいのです。

60年ほど前の手績みのきぬあさの糸を、倉庫から取り出してテスト的に窓辺に1年ほど置きまして変化を見ています。百グラムあるかないかの糸だとは思うのですが、やはり、外気に触れて乾燥という要素が、糸を駄目にしてしまうようです。麻糸というのは外気に触れないで保存することが非常に大事なのです。一方、光という要素は糸を白くというよりも透明に変化させるように思います。オゾン漂白的な要素が働いているのかも知れません。こういうテストが、本当に近江の地は麻織に適しているのかというような疑問に答えをもたらし、麻糸を織るには、糸が商品として最初に出来上がったときの湿気は逃がさないようにしてあげないとならないということだと思います。今の糸の話でも、8年ほど前に購入したリネン糸66番手の箱の外に出ていた糸を織ることがあったのですが、その糸はそのときは織れても、今は、切れて切れて織ることができないという感じです。

手績み糸のようなものは農作物に近いので、お米をモミのまま保存するのと同じような保存を心がけないといけないのかと思います。倉庫で鉄板のケースに入れておくような感じです。細菌だけでなく、虫を寄せ付けないことも大事です。新聞紙で包むというのは、理想的な方法です。新聞紙でくるまれた部分は劣化していませんが、箱の中に入っていても、新聞紙から出てしまったところは糸が駄目になっていました。昔の人の知恵ですね、と簡単に言いたいですが、昔の人というのは科学的にもなぜかというのを解明できていたのではないかと思います。解決方法だけを後の時代のものは活用しているのではないでしょうか。最初私が見たときに、新聞にくるまれた糸をみて、昔の人は再利用に長けていたと感じたのですが、そうではなく、新聞紙がベストな選択だったのだといえます。偶然にも新聞紙にくるまれていることで、いつの時代の糸なのか日付が確認できたのは幸運です。

リネンの糸に関しても、北アイルランドで作られる糸がなぜ細く強く、ゴールドだったのかというアイリッシュリネンの特徴に関してその部分がかなり見えてきました。それが今作れないのも、原料の製造工程の違いや紡績の技術的な問題だけでなく、そういう超付加価値のものを大量に受け入れられるような市場の存在が前提となってきます。ヨーロッパに綿が普及し、合成繊維が普及したことがリネンからのシフトを促したと思います。アイリッシュリネンの問題を考える中で、昔の近江上布に関する謎もいろいろと解けてきたような気がします。
2011年04月15日
今日は、急に追加で生産する反物ができてしまって動き始めました。最初から納期を考えて生産が簡単になることを前提に準備したものなので、そういうものは、非常にスムーズに生産が可能で、週明けには加工出しになります。

朝のうちに、シャトル織機のソウコウ枠に使うソウコウを通すロッド棒が200本届きました。鉄の平たい棒なのですが200本でも非常にコンパクトに包まれていてました。ですが、持つとたぶん片方で30kgくらいはあります。手が抜け落ちそうです。

このロッド棒は新しい機(ハタ)を作るのにつかいます。今までの機がたくさんあるのでそれをバラして使えばよいのですが、せっかく出来上がっている機を壊してしまうのは人間の労働が詰まったものだけにもったいないのです。機をバラしてしまうとその機で織った布というのは作ることが難しくなります。機を残しておくことで特色のある布を守ることができるのです。

お昼頃、近くの住宅内装関連の工場に伺いました。その工場は、被災地で使われる仮設住宅用の備品を製造している下請けの工場で、贅沢なことを言わないでがんばれるだけがんばろうということで、今、忙しく動いておられます。普段は、数人で仕事されている現場に、20人くらいの方が働いておられました。なかには、70歳、80歳の方が何人もおられて、昔その仕事をされていた方に応援を求められて対応されています。
2011年04月14日
今日は暖かな日で、林与のある豊国地域では桜が満開になりました。満開の桜をみると何を感じるのかというと美しさもありますが、それ以上に力強さを感じます。1日違うだけで、その力強さというのは何倍もの違いで、その差を感じることができるのは、まだまだ、自分の中の感性も生きているのだなあと思います。

その桜の木の中で、私が生まれる前からそこに生えている木が何本もあるのです。それらの木というのは、小さな頃から見続けて来た木なので、他の新しい木のほうが美しくても、昔から変わらぬままそこにあり続ける木のほうに思い入れがあります。その木があり続けていることがすごいなあと感じるのです。強いなあ。

夕方は、プレミアムテキスタイルジャパン向けのインデックス素材などを用意しています。トレンドコーナーに展示される用の素材で、林与が今回選んだのは4点です。リネンの先染、リネンの蜂の巣、リネンの細番手素材、リネンのガーゼ。リネン麻織物の産地の林与らしい生地を提出したいと考え、リネン100%で4点です。見た目はどれもが違うように見え、他社さまの素材ともかぶりにくいかなあというものを選びました。
2011年04月13日
そろそろプレミアムテキスタイルジャパンが1ヶ月前と迫ってまいりまして、コマ割のご連絡が届きました。アイリッシュリネンプロジェクトの2年目の企画もより先染らしいものを目指して動いています。乗り越えないといけない壁みたいなものがあって、そこが良いところです。

昨年のジャパンクリエーション2011AW展ではリネン40番手のキッチンクロスをプレゼントさせていただきました。今年は、ブースへのご来場者の皆様には、ビンテージ物ではありませんが、オフ白の100番手クラスのリネンハンカチをプレゼントさせていただこうかと考えております。

リネン120番手クラスの糸の出物が海外で見つかりましたので非常に少量ながら手配もすみました。アパレル素材向細番手プロジェクト用の手配でプレミアムテキスタイルジャパンを一つの発表の場にすることを目標に動いています。また、林与も長年の案件でありましたリネンのインナーアイテム向けの素材提案の形も、ある方との出会いから今回のプレミアムテキスタイルジャパンの場でのお披露目となりそうです。

プレミアムテキスタイルジャパンは、バイヤー様限定でご入場にはご招待状などが必要となります。ご来場をお考えの皆様は当サイトまでご連絡ください。詳細は、プレミアムテキスタイルジャパンのサイトでご確認くださいませ。http://www.ptjapan.com/index2.html

リネン100番手を超える細番手に関しましては、さまざまなトライアルを昨年行いました。昔は、リネン100番手といいますと高嶺の花みたいなイメージだったのですが、今では、中国での紡績技術の発達により手の届くところにまできたような気がします。織るのは難しく、段などもできやすいので、縫製の技術も含めての商品開発になっていくものかと思います。

プレミアムテキスタイルジャパンに向けて動いているのが本麻の小幅織物の世界です。インターテキスタイル上海などでも着物をご提案されましたブースが日本らしく非常に人気ではありました。夏の日本の着物といえば本麻織物、この一年のいろいろな皆様との出会いから感じたのが、林与に昔ながらの小幅織物のご提案を期待くださる声も多く、林与もちょっと昔にもどりましてプレミアムテキスタイルジャパンで日本の麻織物らしい顔も見せて行きたいと考えております。
2011年04月12日
朝一番に、「幻のリネンプロジェクト」に使う機材の件で電話をいただきました。簡単なテストは終わりまして、本数を増やすために機つくりからはじめています。実際にリネンの600番手とか800番手を超えるような織物が織れるかどうかはやってみないと分からないので、とりあえす、失敗をしても、それが経験につながるので前に進みたいと考えています。林与自身も、ビンテージアイリッシュリネン140番手の糸で細番手プロジェクトは形になりましたので、次は、どうせやるなら人類未踏のリネンの細番手の領域に挑戦できないかという気持ちで着手し始めました。影で支えてくださる皆様が多いのに感謝いたしております。

お昼前に加工工場に反物を取りに行きました。仕上げ場のおじさんはいつも私の顔を見るだけで私が取りに来るのが分かっていたかのようにその反物がどこにあるのか教えてくださいます。昔からずっと作業をしておられれる方なのでかなりお年もとられてきたとは思うのですが、すべてにおいて若い人に勝る力をもっておられるのでその現場を守っておられる感じがします。仕事に無駄が見られないのが素敵です。

昼過ぎからは出荷関連とそのほかの事務処理を行いました。4時ころに岡山からミセス・モトコの社長ご夫妻がお越しくださいまして、初めてのお出会いでいろいろとお話をお聞かせいただきました。明日からジェイアール名古屋タカシマヤさんで催し物をされるということで、途中滋賀県を通られる際にお立ち寄りくださいました。ハイミセス向けのブランドさんですのでご興味のあられます皆様はジェイアール名古屋タカシマヤさんに脚をお運びくださいませ。

一番感じたのがものづくりへのこだわりを持っておられることです。昔の布がなくなるということで温度管理のされた倉庫に布を保管しておられ、それを将来に残そうとされているあたりのお話もさすがだなあと思います。素材からしまして昔のものに価値を感じておられるところ、トレンドが終わったものに対しても価値を感じ続けられる目というのはものづくりの側から見る目なのだと思います。ブームのときに作ったものとブームでないときに作ったものとの価値は作る側からするとそれほど変わるわけではないのです。

「糸はどこの糸ですか」というご質問をいただくことが多いのです。作っているものがどこまでわかっているかというのは微妙なところだと思います。たとえば、アイリッシュリネンにしましてもそうですが、フレンチリネンという言葉にしましても、本当にフランス産なのかというと、フランスに紡績工場があるのかという問題になり、また、大手メーカーさんなどもフレンチリネンを謳いながらも、最近は、フラックス原料は、フランス産あるいはベルギー産という表現に書き換わって来ているのは、販売や企画される側の皆さまにも少しづつリネンに対して正しい知識が浸透し始めてきたのだと感じます。私自身、同じメーカーの糸を使っていても染めの問題やいつもとは違う癖のあることがあったりしますので、グレードが変わったのかなどと問い合わせることもあったりはします。糸に関して言えば、最終的な品質を守るためには糸自体も大事ですが、その糸を販売される人の考え方が同じく大事だと感じます。
2011年04月11日
今日は一転して冬並みの寒空です。昨日、桜を見ておいて本当に良かった。子供のころというのは、桜を見るというものにはなんの興味も示さなかったですが、それは、春になると、モンシロチョウやアゲハチョウ、秋には赤とんぼで、桜というのはとりわけ特別でもなく、普通の光景に近かったのだと思います。

昨日、清水寺で見た桜以上に、私がいいなあと思う桜が、より普通に咲いている桜です。鴨川の川縁に咲く桜なんか、より人の手が掛けられずに凛としています。帰り道、大原の山の中に咲く桜なんかは、同じ木でもある日急にピンクの桜が咲くのには、その桜の木の下に何か秘密があるような気がします。また、自然の中で美しいものというのは儚いというのが美しいものをより美しく感じさせるところだと思います。

昨日散策した京都の御池を下がった通りに昭和レトロな豆腐屋さんがありました。昨日は日曜日だったのでやってられませんでしたが、その豆腐屋さんのたたずまいはそのものが芸術です。他のお店が建築業者さんが日本風に作ろうとするのに、その豆腐屋さんはトタン張りですが、何十年も続く本物であり、錆びたような色味なども歴史の重さを感じるのです。他のお店は、常に新しく見せないとお客様の目を引くことが出来ないのに、このお豆腐屋さんは普通に生活しているその本物なスタイルが素敵です。

こういうところにあるお豆腐屋さんが、スーパーと同じものを扱っているのではなく、京都の文化の一端を担っておられるようなところがあるんだと思います。京都には料亭などたくさんありますが、京都に高級料亭が残り続けるのもこういう昔ながらのお豆腐屋さんがあるからではないかと思うところです。

あいにく私は不在だったのですが、夕方、先日お越しいただきました糸加工工場の社長様が数十年前の本麻糸を持ってきてくださったようで、形にして京都の和装の世界にご提案できないものかと思っております。京都に行きまして春だったのですが、昔風な本麻のものというのは店頭では見かけることがありませんでした。祇園祭でも昔から近江上布だったといいます。京都のお店の店頭などにも近江湖東産麻布の世界が日本の伝統や文化を語る上で残っていて良いのではないかと思います。

夜に、生地屋さん向けの10日納期のものがまだ上がってこないので、加工工場さんに反物を取りに行きました。遅すぎてもう閉まってしまってて、明日出荷できるとよいなあと思います。外はすごくすごく冷たい、雪が降りそうな風で、店頭ではこれからリネン生地などが並ぶことになるのに心配ですが、今年の夏の生活スタイルは、昔の日本の夏になるのではないかと多くの方が予想を立てておられます。涼しげな麻のものを着て夏を過ごすスタイルというのが見直されるかもしれません。
2011年04月10日
今日は、思い切って桜を見に清水寺に行きました。すごく良いお天気の一日で桜もほぼ満開の状態で申し分なかったです。その後、大学のときに時々食べてたシェイキーズのピザを食べて店内では1980年代のディスコソングが流れ続けていて、ここだけは変わってないじゃないかと感じました。

新京極や寺町通のお店をじっくり見て回るというのは、高校大学の時にはしたことがなく、ほとんどのお店が生地を主役とするような商品構成のお店がこんなにもたくさんあり、しかも、それらが若い方を中心に人気であるのは、京都というのは着物の町で、布が集まる町なんだと実感しました。

四条河原町には、コエトイロというアンテナショップさんがあって、以前弊社にもお越しくださって一度見せていただければと思ってて立ち寄らせていただきました。ウールやシルクの着物を中心としたアイテムを扱っておられ、着物のお店というとなかなか敷居が高くて入りずらいかと思うのですがとても入りやすいイメージのお店です。

その後、アパレル関係もウィンドウショッピングしました。ベネトンさんにも入ったのですが、なんか、私の中でのベネトンさんのカラーリングがナチュラルなカラー展開に変わってしまっていて、昔のビビッドでカラフルなベネトンさんのイメージも、今のナチュラル志向の流れにあわせてあるのかなあと思いました。
2011年04月09日
小さな郵便物をお送りするときに林与織物と書かれた封筒を使用することがございます。3年ほど前まで、社名は株式会社林与織物でした。麻業界の中ではずっと昔から「林与」で通っておりましたが、私が引き継いだときに「林与」にしたいなあと自然に思いました。先代がいるときにはそんなことは考えてもいなかったので、啓示的なものを感じます。

初代の林與次右衛門商店からはじまり、二代目与一のころは林与織物工場、三代目與志郎のときに株式会社林与織物、そして四代目の私のときに株式会社林与という流れになっています。林与というイメージは、二代目ころから定着していたものと思われます。「林与」ロゴは、昔の近江上布の反物の箱にもあしらわれており、昭和20年代の後半、あるいは昭和30年代前半くらいからは使い始めており、戦後復興した近江上布の反物を入れて京都や大阪の問屋さんに送るのに「林与」ロゴの入った箱が使われました。

近江麻布にも用途の違いがございまして、愛知川の川を挟んで、愛知川地区の機屋というのは服地、能登川地区の機屋というのは座布団地というようなイメージです。服地の世界と座布団の世界とでは、業界が異なるかのごとくに分かれていて、服地をするところは服地専門で、座布団をするところは座布団専門という形だったのです。それは、販売先というのが明確に分かれていたことにあるといえます。

着物屋さんとのお付き合いをするのか、座布団屋さんとのお付き合いをするのかで、専門とする分野が明確に異なったのだと思います。両方を手がけることがなぜ難しいのかは、織機の幅にもあったと思います。服地は1尺ほどで、座布団用の織機というのは倍ほど広いのです。林与の場合でも、昭和30年代後半から、和服が売れなくなったからといって、手織りの座布団をつくることは出来なかったのです。

私の想像ですが、地区ごとに明確に生産物が分かれているのは、強い規制があったからというわけではなく、地域というのが血縁関係で成り立っていることも多く、家業の延長として親戚に仕事を世話するような形で成り立っていたことにあるのだと思います。織物にしましても現代よりも高度なものを作っていたので、ノウハウの蓄積は重要で、誰にしか出来ないというような独自の技術や特色が家系ごとにあったのだと考えます。
2011年04月08日
今日は午前中、生地の撮影を進めておりました。4年ほど昔に織った生地を2ヶ月ほど前に加工に出して上がってきたのをようやく撮影に掛かっています。ロット管理をするために、色糸が余ったりするのを上手に使って着分用の生地を作ったりしたものです。

撮影している途中で電話をいただきました、近くの糸加工工場の社長さんですが、洋装に転換する前のころにはお付き合いをいただいていまして、その工場で加工をされた昔の糸があるので、どうでしょうかというお話で、早速午後には、社長さんがお持ちくださいました。弊社の倉庫の一角に本麻の染糸が何十ケースか置いてあってそれがなにだったか不明だったのですが、それがその工場の糸だったということで新たな発見でした。

林与の先代と同じくらい年代の社長さまなので、いろいろと昔のものづくりのことをご存知です。昔の方というのは一人の方がすべてに精通しておられるのが当たり前で、すべてにおいて職人さんを指導されてきたのが伝わってきます。最後までものづくりのスタイルを守っておられるのがすごく素敵だなあと思います。

夕方は、いろいろなものを出荷しまして、夜には彦根で会合がありました。
2011年04月07日
今日は曇り空、朝から数件のお問い合わせがありました。それぞれ案件は異なっていたのですが、麻のものが本格的に動く暖かさになったのを感じます。いろいろと加工から上がってきたものがございますので、またそういうものをアップしようと撮影を始めています。
この前アップした画像が残念ながら暗かったような気がしてがっかりで取り直しを考えています。

林与の場合、リネンのものは寝かせておくことが多いのです。1年ほど寝かせることで風合いが良くなっているケースが多いのです。倉庫に眠っている30年ほど前のアイリッシュリネン生地などは仕上がりがふんわりとしています。糸のせいというだけではないようです。風合いが良いように思うのはすべてシャトル織のものだったりします。

昨日、海外の紡績会社に問い合わせをしましてリネンの細番手があるかどうかを尋ねました。100番手を超える糸というのはたまにしか作ることがないので、紡績会社にとっても本当に希少なのです。しが応援ファンドの細番手プロジェクトでは今年はアパレル向けに120番手クラスの糸を使う予定をしています。今ある糸を調べてくれるということで、良い出物があるのを祈っています。織ってみないと糸の良し悪しは分からないのですが、細ければ細いほどうれしい気分です。そのクラスの糸となってくると手織りに使うリネンなので、紡績会社にとっても、それほどたくさん流れるものではないのです。

昨年取り組んだリネン100番手高密度、一工夫が必要かなあと感じ別の糸加工のタイプで織りのテストをしようと整経から動き始めました。縦糸の本数が多いので、動かすまでが、一仕事というより百仕事な感じです。普通のリネンにはない、パフパフした風合いが出てくるのが魅力です。きっと、横糸も昨年よりもっとたくさん打ち込めより高密度にできると考えていますが、そう簡単に行くでしょうか。
2011年04月06日
3日連続の良い一日です。一年あっても、これほど良いお天気の日が続くのも珍しい。

今日は、リネンハニカムの台を2台に増やしました。ご注文に対応できる体制が整いそうです。蜂の巣組織というのは、もっと厚いタイプも出来るのですが重くなってしまいますので、織物がそこそこの軽さの範囲に収まるように考えています。

アパレル向けも含めまして、いろんなタイプも増やしていくと面白いかなあと考えていますのでお楽しみにしてください。蜂の巣組織を織るのは普通の織機では織れず、ちょっと工夫が必要なのです。縦に綿の双糸などを使って横にリネンを織るタイプの綿麻のハニカムは構造上作りやすいのですが、リネンを縦にも使うとちょっと織りにくくなります。

ほかに、昨日から生地の収縮のテストを行っています。収縮率のテストというのは、検査機関では50cmくらいに幅落としした生地の上に通常30cm角でポイントをとって洗ってみて、脱水後、平干しして、縦と横が何パーセント縮んだかを見るのです。厳密には、水の温度や洗う時間など決まっているのですが、実際に製品を作ったあとに洗うのと同じような状況で生地を洗ってあげるとより、生地の収縮の問題が見えてきます。

リネンの場合、薄い生地と厚い生地ではどちらのほうが縮むかというと、一概には言えないのです。通常の生地というのは仕上げ工程の最後で幅出しという作業が行われます。その際に、幅を出しすぎれば物性は悪くなります。また、加工時に生地を引っ張った状態で加工すると生地は伸びているので、洗うと縮みやすくなります。

生地を買った後の水通しが必要なのはそんな理由からです。昔はリネンというのはドライクリーニングが当たり前の高級素材だったので、洗濯の問題は見えてこなかったのですが、最近のカジュアルリネンの世界では水洗いすることが想定条件となります。

アパレル向けなどは物性を考えると糸の吟味が非常に大事なのです。同じリネン100%でも、洗えば洗うほど縮むリネンがあったりします。それを突き詰めていくと紡績方法が異なったりと糸の製造工程によって、洋服の物性が変わってくるのです。ハンドメイドされる場合は、よく水洗いをされてお使いになられることを薦められているのはそういう理由からです。

林与の生機のストール生地などは、洗うと経験上2mでおよそ10cm短くなります。幅も60cmが50cmくらいになります。それは生機だからです。林与の定番のソフト仕上げの生地は、水通ししなくても物性を安定させる工夫をしてありますが、念のため水通ししてから使っていただけますとより安心です。
2011年04月05日
今日も本当に良いお天気で、雲ひとつない一日で夕焼け空も何年かぶりの美しさでした。春というより反物を運んだりしていると汗がでるくらいの一日で、今が一番気候が良いときなのかもしれません。もうすぐ桜が咲きそうです。

今日は本麻の反物が加工から上がってきました。最近は本麻のものが非常に難しくなってきているのを感じます。林与では100番手をずっと使用しているのですが、麻機の林与ですらも本麻を織ること自体が難しくなっているのです。他の産地で織られているところでは、もっと太い番手で打ち切れが起こるという問題が生じているようです。中国で高品質のリネン100番手などが紡績されるようになる一方で、国産の本麻織物というのが作ることすらもが難しくなってしまったというのは非常に危惧するところです。

夕方にはDENさんが、林与のリネン100番手のオフ白でつくったブラウスをもってきてくださいました。一年前からお願いしていてようやく出来上がってきました。非常に上品で良い感じです。5月のTEPIAでの展示会で、お披露目しようかと考えています。アパレルリネンで100番手以上のものを提案するのが林与の夢の一つで、これは実現に結びついています。こちらの素材も、サイトにアップしています。布工房DENさんでは、4月9日からスプリングコレクションを開催されます。

今日は、皆様には、リネン100%ハニカム生機の発売をアナウンスさせていただきました。この素材でストールをつくると春や梅雨時の寒いときに活躍するリネンストールになると思います。簡単な作り方は、フリンジも作らずにタオルのように三つ巻きにしてください。タオルとしても使えます。ナチュラルなままでも、そこそこ柔らかいのでフェイスタオルとしても良いかもです。
2011年04月04日
今日は、午前中発送の後、近くのショッピングセンターに行きました。立体駐車場を上る途中に眺めた景色は、快晴のなかの山々が生すスカイライン、遠くは伊吹さんまでがきれいに見えました。お店の中では端午の節句で、「こいのぼり」の歌が聞こえていました。洋服などは夏真っ盛りな感じです。

午後からは、生地屋さん向けに織り上げたリネンの反物を加工に入れる作業です。1ヶ月の時間をいただいたのですが、手元の在庫の糸を使ってぎりぎりの上がり予定です。

3時ころ隣の豊郷町からのお客様が来られました。豊郷町では、「TBSアニメーション、けいおん」を町おこしに商工会などの若手が中心となって動いておられます。けいおんのキャラクターを印刷したTシャツなどを商店街のお店に1種類づつ置くなど、売って利益をあげることよりもより多くの皆さんに地元の商店に脚を運んでもらおうという企画をやっておられます。田舎であるが故かもしれませんが、隣町の小さな商店で買い物をするということがほとんどありませんので、こういう活動というのは観光客の皆さんを呼び込むだけでなく、町を越えた規模で地場の方をPRできる良い方法だと思います。

滋賀県に脚を運ばれる方はぜひ一度、旧豊郷小学校校舎にお立ち寄りください。今の小学校が新しく建てられますが、果たしてどちらが地震のときに丈夫なのかというと、今の建物のほうがキャシャに見えてしまいます。

お越しいただいたお客様のお家も昔から「絣屋」と呼ばれていたそうで、昔は絣を染めておられたのではなかろうかというお話でした。豊郷というのは、伊藤忠、丸紅の発祥の地で、旧豊郷小学校校舎で学ばれた経験を持たれる方が、このように地場のものをPRくださるというのは古き良き時代の人の繋がりを感じます。

夜は、新しい生地の撮影など行いました。徐々に新しい生地をアップしていく予定です。
2011年04月03日
最近は、リネンのシンプルなものから華やかなものへの流れが目立っています。先染のチェック柄や、光沢感のある加工、ジャガードのような織物など、リネンという天然素材を使いながらも華やかな展開を考えておられるブランドさんなど増えてまいりました。

こちらのネットショップでも、先染のものがかなり人気になってきています。昨年がブームだといわれていてタイムラグがいつもあるのが、無地ライクな流れが長く続きましたので、彩のあるものがそろそろ目を引きそうです。

今日は、春のうららかなお天気でドビーやジャガードの文様を考えています。オリジナルの花柄をデザインしようかなあと色鉛筆を握っています。5月にテピアで行われますプレミアムテキスタイルジャパンも近づいてまいりましたので、その場で発表できる2012向けのリネン織物などを準備に掛かっています。

会社にある私の母親が10年ほど前に買ったジャノメのミシンが、小学校にあるミシンと似ていたのでゲストティチャーの練習のときに便利だなあと思ってて、小学校で使ってるのとおんなじなので、簡単ですがおもちゃみたいなあと思っていたのですが、ミシンの入れ物に18万円の明細書が入ってて、家庭用なのに高すぎると思いました。

今日は、4時から自治会の役員の引継ぎ会があります。終わってから、直会がありまして、それほど飲んではいませんが、日本酒で頭が痛いです。
2011年04月02日
以前、これからどんなリネンをつくりたいですか?という質問をいただきました。そのときは、うまく答えられなかったのですが、林与らしいリネンを作りたいと思います。だと思います。

リネン生成とオフ白の定番ソフト仕上げなんかも、エコテックス規格100に基づく有害物質検査をクリアしたリネン糸を使用しています。糊や糸道油もつけずに、1時間に2m程度の低速のシャトル織機で織り上げています。加工も、麻の産地の何十年も続く実績のある加工を選んでいます。あんまり謳っていませんが、定番のソフト仕上は、ハンドメイドの方に使っていただくために、生地の物性を安定させる工夫をしていますので水通し必要のないような仕上にしてあります。

一つくらいの要素が、糸のロットや加工のロット、織機の違いなどで、多少ぶれたとしても、それでも、市販のものとは違う林与のリネンらしいものにはなると考えています。見て触って感じる部分だけでなく、作るコンセプトや工程へのこだわりという無駄な贅沢をしています。それでかつエコなので、こういうスタイルは、織物の世界のものづくりのモデルとして残して行きたいと考えています。突き詰めていけば、なぜ、林与は麻を織り続けるのかという問題に行き着くかと思います。

«前のページ 1 ... | 150 | 151 | 152 | 153 | 154 | 155 | 156 | 157 | 158 | 159 | 160 | ... 184 次のページ»