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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2018年05月14日
私が高校のときに一番興味を惹かれた画家がピカソ。ピカソのキュービズムの世界に惹かれたのではなくて、ピカソの描いたアルルカンに扮するポールという絵に惹かれた。子供のポールをなぜピカソがキュービズムで描かず写実的だったのか。なぜ、キュービズムの絵が気持ち悪いのか。

キュービズムは、写実だけでは描けない人間の内側を描く技法。美しく見えても人というのは複雑なんだよというのをキャンバスに表していると思う。ポールは内面がどろどろしていないからそのまま描かれたのだろうと思う。まあ、子供にモデルになってと頼んでぐちゃぐちゃに描いちゃったら子供に泣かれるだろうからという要素もあるだろうけど。

モデルがすごいとかじゃなく、ピカソの人生観がキュービズムの原点で、モデルの内面というのはピカソがそのモデルを見て感じるところ、人は美しくを目指すけどもその一方内面が美しくなくなって内面まで見えてしまう画家だったのだろう。これは個に対する問題だけではなく、ピカソが社会に対して感じていたことだろうと思うのだ。

絣というのも織る手間が布に表れるからよいのだろう。横絣織物がなぜ世の中に少ないのかというと手間が掛かるからというところ、それが良くてもつくるのに思いを絶するような時間と手間が掛かる。なぜ、林与が横絣にこだわったのかというとそういう織物の価値の原点を見つめなおしたいから。織物に手間を掛けると言う作り手自身が織物に価値を感じるだけでなく覚悟がなければできない世界。ほかとは違う布の力を感じるのもそういう人の作業が詰まっているから、自分が眺めていても苦労はあったが面白い布に思える。そして語るのは一本の糸を切らないように何度も巻き返し最後に柄を合わせて織り上げる作業の話。

そんな苦労をのせるだけの価値があると思うのが、与一じいさんの近江上布のものづくりのセンス。色柄において、今見てもモダンに思え高級感のある色柄は世界のいろんなテキスタイルを見てきたデザイナーの皆さんでも今までみたなかで一番すごいと驚いてくださる方が多い林与の近江上布の世界。一着分の生地に何十時間もの時間を掛ける甲斐があるのもそこで、売れなくてもつくり上げるだけでも良い、すごい布の世界を再現したい。
2018年05月13日
シトシトと雨が降って梅雨に入ったのだろうか?肌寒い毎日。春の陽気は消えて肌寒い5月というのは例年のこと。6月になって暖かくなるのを待とう。

今日は、またガジェットを手に入れた。広幅絣の作業に使う糸繰り作業に使うためのパーツ。買ったパーツを加工して作業で使えるように考える。今日も最初はまったく無理で無駄な買い物になったと思ったが、30分、1時間、工場の中のほかのパーツと組み合わせて糸を巻く木管をセットするとかなりのスピードで綺麗に糸が巻ける状態になり、糸を繰る途中で糸が切れると糸の連続性がなくなるので、糸が切れないように巻ける可能性が高まった。

横絣織物は着尺の狭い幅でも手間が掛かり、横絣の着物生地は上布と呼ばれることが多い。それを広い幅で再現するとなるとより高度な技術が必要となるため絶対に今の時代には無理だと思っていたが、技法や機材の考案や改良は、普段の作業中にいろいろ考えてこつこつと時間を見つけたときに一気に作って試してみて実際に作業をしてみた。途中で問題なく最後まで工程を成し遂げて出来上がったものが案外うまく出来上がりご覧いただいても、欲しいといってくださる方が多いレベルのものであるのは幸運。

伝統工芸の手の掛かる世界と同じような技法で手間も掛かり、幅も3倍以上広くなりすべての工程がより難しくなるけど、人の力でそれを解決できないかと思うのが林与的な考え方。昔の人の5人分くらいの力で動けたら、1つの織物を一晩で生み出すことも可能になるのではないのか。型紙も洋型紙を彫るのだが、この前は手が死にそうになったけど、型紙のカットと準備に30分、コンピュータで図案をデザインして1時間、彫るのに2時間で、トータル4時間で型紙が彫り上がった。非常に速いスピードで実際に使える型紙のような道具も生まれてくる。

最終的な目標は広幅絣の着分を毎日1着分づつ作れるようなスピードになること。自分一人が、どれだけ時間を使っても作れないだろうと思っていたものをご飯を食べるように作る。布の力を感じることができる布が次々と生まれるようなことが私の目標で遠いことではないと思えている。2年前にスタートしたときは、ライフワークでなんとか近江上布アーカイブを広幅で完成できるようになれるかと思ったがこのプロジェクト案外早いペースで現実のものになりそう。捺染に関してプロの道具が中古で手に入ったことが道具つくりや作業の効率化に結びついたような偶然も幸いした。探していたものが目の前にあってそれを譲ってもらうことができた感じ。
2018年05月12日
車検前にタイヤを交換しておこうと近くのガソリンスタンドでタイヤ交換。交換を待っていると親戚のおじさんも車の何かを交換かで来ておられ、久しぶりに出会って話。今75歳になられたということ。でも、外見は、50代くらいか、今も農業をされているので健康的で年に見えない。

昔は、私の会社で働いていてもらったのだが、どうしても織る仕事は、男の場合?は、50過ぎると糸が見えなくなるので厳しくなるものである。林与のように本麻の100番手の縦黒とかは糸切れするので、それを織るというのは至難の技。縦が白だとかなり楽になるのだが、縦が黒だとすごく難しい。1日10mくらいのペースが良いところ。

住んでいる集落も高齢化した、私が小学校の頃と風景も顔ぶれもほとんど変わらないイメージがある。次の世代がいないのだ。それでも、そろそろ私くらいの世代が物事を動かし始めているが人数が少なすぎて、集中しているのは農業関連くらいか、繊維関係でも縫製関係で2つ集落の中に商売やっておられるところがある。

林与も昔と比べると小さくなりすぎているけども、実際に仕事で作業する前向きさでは1番だよくらいの気持ちでないと取り巻く環境が年々衰退していく中、海外では一つの工場でも若い世代があふれて何千倍の勢いでものが生まれてくる。普通のもの以上のものを作らないとなかなか通用しないのだが、普通のものをつくるのも難しくなっているのが今の日本の現場。

どうやって海外との違いを生んでゆくのか、特別の世界を維持して行くにはどうすればよいのか、産地の過去のものづくり伝統工芸に並ぶまたは超えた何か新しいものをどうやって作って行けばよいのか。海外の展示会などに出展する機会も得て、規模の小さな林与のような会社でもオンリーワンのようなものがなければと思う。

何でもできますは良いしそういう能力が基本として必要なのだがそれは値段だけの世界で憧れるような世界ではない。自分自身が作り上げてそれなりに良いなあと思えるような要素がいきなければと思うのが、コンパネ買ってカットしてもらうの一つでも、単純作業なのだが、人によって、カットは素人の私が見ていてカットするのそのやり方で正しいサイズにカットできるの大丈夫なのと思う人が多いこと。上手な人に頼めばどんなものでもコンパネで簡単に作れそうな気がするが、下手な人だとカットしてもらうこと自体心配になる。海外レベルの品質、値段も海外レベルに近いが、それが日本の標準になっている典型だろう。

ものづくりするときに、精度みたいなものがそれぞれあって、私自身の精度は定規で計るときもコンマミリ以下をいつも目指しているけど、普通の人は目分量だったりすることも多い。長年の経験でやっている人ほど定規も使わないことが多いので再現性が人の感覚でが限界だったりする。伝統工芸というのは一般に人の感覚が定規となる世界なので目分量で作業を進めて行くのである。作品的な要素が強いので再現性や左右対称がズレても完全な円でなくても、それはそれで揺らぎがある味の世界。

でもその世界は日本だけじゃなく、アジアのレベルの低いとされる小学校行く前の子供が遊びで作っているものづくりも、定規も使わずに子供がすごく正しい仕事をすごいスピードでこなしているので一番安いものづくりに通じる。違いが分からない私が分かっていないのかもしれないが、その違いがラベリングがあるかないかだけの違いなら本当に本物偽物が紙一重の世界である。違いがあるとすればその世界を支える考え方に違いがあって結果として高級なものづくりになっていなければ駄目だろうと思う。現地の子供たちの何倍も仕事に対しての厳しい感覚がなければ日本の高いものづくりの世界は目指せないのではないだろうか。
2018年05月11日
プレミアムテキスタイルジャパンから戻り、次は、ふくい南青山291で5月17日から19日に開催のテキスタイルマルシェの準備。テキスタイルマルシェは一般の皆様向けに生地を直接販売するイベント。今回は、林与のブースでは、生地を販売するだけでなく、上島佳代子さんにもお手伝いいただいて小物作りのワークショップ(1000円?までくらい)もいくつか開催予定です。興味あられましたら予約不要ですのでご参加ください。

今日は、他に子供向けの小さなおもちゃの織機を何台か持ち込む予定で、こちらは興味があられる方が無料で触って体験してもらえます。私も始めて今日立ち上げてみてをしたのですが、子供向けのおもちゃながらなかなか手ごわい。1台立ち上げてみましたが、ツワモノです。会場で体験したい方は何台かありますのでチャレンジしてみてください。手織り用の手機も持ち込む予定です。こちらも無料で体験ください。

そのほか、会場ではカルトナージュの先生によるカルトナージュのワークショップも行われます。出展企業は7社で、プリント素材、シルク素材、麻素材、レース系素材、特殊素材、帽子などの出展が予定されています。開催時間は、5月17日は15:00から19:00、5月18日は11:00から19:00、5月19日は11:00から16:00までと変則になっておりますので、ご注意ください。
2018年05月10日
昨日の夜は、1年ぶりにお会いできた成田さんと首藤さんとご夕食。食べ物もおいしく、進めていただくままにビールを飲ませていただき、飲みすぎた感もある。林与のスタッフの斎藤のご両親ともお会いできお話もできた。ホテルではぐっすりと眠り、朝起きて、そばが食べたい気分。東京国際フォーラム近くの銀座のホテルが手ごろな値段だったので、銀座だったが、そば屋さんがあるのかと思って外にでると歩いて30秒のところに、24時間の吉そばという手軽なうどんそばのお店があった。

今日も一日元気にというか、気合入れてというか、朝から大盛りのそばといなり寿司2個。そのあと、パンケーキのお店に行きたいとスタッフの子がいうので、billsというパンケーキのお店で食後のコーヒーを飲む。アメリカのバーっぽい隠れ家的な優雅なスペース。10時に開場入りして2日目スタート。2日目も夕方5時過ぎまでお客様が続いてくださって、十分に広幅絣プロジェクトの説明などはさせていただけ、多くの方が期待くださっているのを感じることができた。

うれしかったことが今日は6つも7つもあったのだけど、その一つが、滋賀県の工業技術センターの方が織られた本麻の浴衣用の生地を見せてくださったこと。麻が織れないという話をされていて心配をしていたのだが、それがすごく良い感じの織物に仕上がって、まだ、白いままだがこれからインクジェットプリントをのせられるというお話。生地の感触的には、林与の近江上布のアーカイブの生地と似通った感触。あと、若干密度を上げればさらに近づくのではないかと。インクジェットがうまく載れば、素敵な浴衣生地ができあがるんじゃないのかと。3年掛けて滋賀県の3つの素材、綿、麻、絹のインクジェットプリントを施した浴衣をつくられるということで、3つの素材の特性に応じてやはり異なる壁があるようで、麻のバージョンもうまく行ってほしいなあと願うのだ。
2018年05月09日
今日はプレミアムテキスタイルジャパン初日。朝新幹線で9時過ぎに東京入り、遅れることなく会場入りできブースの準備を行う。開場までにブースの準備が終わって、お客様が来られるまで主催やプレスの方とご挨拶とお話。シンプルな展示となりブースに興味を示してもらえるか心配をしていたのだが、ブースが角コマで、すごく人の流れがよく、林与の絣織が多くの方の目に入りやすく、終了間際の夕方6時過ぎまで、お昼も食べる時間もないほど、ブースへのお客様が来て下さり、近江上布柄広幅絣プロジェクトをいろんな皆様に知っていただけました。

手の世界を説明するために作業の工程をみなさまに説明すると20cmほどを織るのにも30分とか1時間掛かるのですが、林与にとって一本一本柄あわせしながら織るのは比較的負担の少ない作業。その裏で、糸を何回も切れないように巻き返す作業があって、20cmの織られる布に4時間くらいの作業時間が詰まっていて、一着の服を作るのに3m織り上げようとするとトータル60時間くらい必要な作業。伝統工芸の世界と近い作業工程で広幅に織り上げ力織機を使う。着物向けとは違うアパレル向けなので、インチ感の打ち込みのギアを設定できる力織機は自由度が高い。さまざまな生地をベースに絣を展開できる可能性がある。

中央に展示した絣柄をみてブースに来てくださるお客様が多かった。布を眺めたお客様が興味をもって布を見に来てくださる。この2年ほど本業の合間に時間を見つけて動いて形にしてきただけに感無量。あやふやな作業が、機材を改良していくことでより完成度が高くなり、柄の再現性も高まったことで3m程度の1着分に安定して対応ができるようになった。まだ、3年目の本麻で広幅絣を織り上げるというプロジェクトがあるので時間もなく本生産想定では動けないが、ひとまず、プロジェクトとして安定した形で1着分の生地がつくれるところまでの技術基盤の確立ができたことが、それができるのかできないのかでプロジェクトが絵に描いた餅に終わるか終わらないかの違いがあるので、ほっとしている。
2018年05月08日
今日はプレミアムテキスタイルジャパンの出発準備。プレミアムテキスタイルジャパンの目玉として展示するために一つ新しい柄を数日かけて作業していて完璧に捺染できて出発までに織り上げられると思い動いていたが、その捺染したものを一番安全だと思った、ベンチで立ち入り禁止にした玄関の前のところで朝一番で乾かしていたのだが、しばらくしたらなんと足跡がついている。

配達の人が玄関に回ってその上を歩いてしまったことで起こった、一瞬でこの数日の作業が消えてしまう話。残された時間は少ないが少しでもやり直すことに、できる限りを尽くそう。

夜出発の予定を明日の朝新幹線で展示会に向かうことに変更。なんとか広い幅で一つの柄を20cmほど織ることができた。ほんとうはやりたかった2mから3m織り上げる予定の10分の1でインパクトは落ちるが、少しでも見て感じてもらえるだけでも成果となるだろう。あと新幹線になったので、手機を車で持ち込む予定も却下。展示イメージ予定からの大きな変更だがお客様が興味を示して見に来てくださるか心配。

すみません、多くの皆様にお待ちいただいているリネンガーゼもプレミアムテキスタイルジャパン前の出荷予定でしたが、展示会の展示のほうに力を使ってしまい。展示会帰ってからの織りになりまして週末のご出荷になります。大変申し訳ございません。
2018年05月07日
昨日、織った布を巻取る巻取ローラーのペーパーが、ボロボロになってしまってたので、補修しようと外してみるがボロボロのボロボロ。新しい、ロールペーパーが見つからないので、どうしようかと。リネンガーゼオフ白を織っている織機で、ご注文を数件いただいているので、あまり長い時間迷っていることはできないので、早速、機料屋さんに電話してみると、樹脂加工していないものが残っているのが一つあるということで安く分けてもらえることに。

一度に何十mとか注文くださる方が多くいてくださり、たぶん、そういう皆さんはストール作家さんなのだろうと思うのだ。このオフ白の特徴は、リネン糸をそのままに織り上げてあるので染まりもよくって好評をいただいています。他の作業もしながら、20m織るのに1日ほど掛かってしまっていますので、ローラーの交換も必要で、ご発送がプレミアムテキスタイルジャパン展出発前にできるかどうか。できるように頑張るしかない状況ですが、なるべく、織り段などのないよい状態の生地をお届けしたいこととの兼ね合いで、ご発送が展示会明けになってしまうかもしれません。

林与も、5月17日から19日のふくい南青山291のテキスタイルマルシェでは、型紙捺染のリネンストールをいくつか見ていただけるようにしたいなあと思っていたり。やることいっぱい過ぎてそれまでに間に合うのかなあ。おかげさまで、生産シーズンのピークは乗り切りましたが、来期のお話などすでに始まりまして、7月末くらいまでのお仕事が埋まり、9月頃から始まる生産期までなんとか閑散期?をしのげそうです。遅れている仕事もあって追いつかなければと。

■追伸■ 昨夜、巻き取りローラーをとりあえず交換完了。プレミアムテキスタイルジャパン出発までにご出荷できそうな流れ。綺麗に織れています。
2018年05月06日
織物の仕事の世界は、守られた世界というより、自分自身が食べて行くために一定水準の仕事をクリアしないといけない競争の世界のうちに入ると思う。仕事をしてその一回の仕事の代金はもらえても。仕事をして布を作ってもその布がうまくお客さんの元で洋服になり、お店で売れなければ、次の年に同じお客さんからの仕事の話は入ってこないだろう。店頭でさまざまな洋服があるなかで、最終の消費者のお客様に受け入れてもらえるかどうかというところ。結局、道のりの長さや他の人の手を経るは別として、自分の作ったものが評価されなければ仕事としては成り立って行かない。

工場の中で仕事していると見えないが、受け入れてもらえるようなものを作らなければならないというプレッシャーは常に感じていないと、受け入れてもらえるようなものも作れなくなる。自分自身が自分のものづくりの基準を上げておかないとお客様の基準に合わせてものをつくることは難しいだろう。普段、ものづくりの基準が低いとお客様の基準が高い場合にそのレベルに上げての生産は難しい。

結局、天然繊維の麻のものづくりで、基準を上げるというのは、作業をする人の作業の高度さ、慣れ、正確さということにつながる。一つの作業でも、張り詰めたものがなければ高度なレベルにまで行かない。慣れというのは必要な要素で結果としてスピードが上がる、作業に我流を持ち込む人は天敵であり歩調を合わせないことに優越感をもったりしていて仕事が見えていない。正確さというのはなければ仕事は簡単なのだが正しいものづくりをするつもりもなければ仕事は最初から受けないほうがよい。

作業を学習するにおいて、最初できない人が上手にできるようになることは少なく。最初からできる人はできるし、最初から出来ない人はいつまでも満足なレベルまで出来ないことがほとんど。素直にやればそれほど難しい作業じゃないからできるのだが、仕事をやらない力がその人の中で働いていると難しい。仕事というのはやるかやらないかだけのことだなあと思うことは多い。やれば仕事として成り立つだろうし、やらなかったら仕事として受けたら大変だし。仕事があって喜べる人は強いし幸せだなあと思う。

今日は工場の中で、広幅絣の横糸を羽根巻きテストしたが作業スピードが上がらないので改良を加える作業。広幅の型紙捺染の精度を上げるための改良も加えた。頭の中で組み立てた広幅絣の作業工程が現実のものとなるためには、100回やって99回成功するような道具の完成度と作業工程の確立が必要で、問題に思ったところは改良を加えて試してみるの繰り返し。

着尺幅の近江上布よりも精度の高い道具が必要となる。織幅130cmほどなので、織工程に負担が掛からないように、捺染の精度を上げることと、機材をできる限りコンパクトにしつつ、1着分の捺染回数を1回か2回で済ますことができればと改良を加えて行く。事務所の3Fに上がると、2年目の試作布。自分で自分が作った布がよい感じに思えるのはすごくうれしいもの。早く、ワンピースに仕上げたいし、この製造工程の改善は、3年目の本麻実現のためのステップでもある。本麻は縦糸に糊がつくのと、毛羽があるので、捺染の問題はできるかぎりクリアして、糊の問題と毛羽の問題に取り組めるよう進めて行きたい。
2018年05月05日
だれもが信じないだろうけども先染ブームが来るのだろうか。私の中の定義では、先染ブームというのは自然に起こりえることはなく、一般の方が目に触れやすいテレビメディアでのチェック柄の露出があるかないかに掛かっていると思う。昔ならチェッカーズ、アムロナミエ、AKBもチェックのスカートなので若干は背負っているか。テレビをほとんどみないので分からんが、そんなに人気のある歌手や俳優、グループがチェック柄を一般にPRしているのだろうか。

無地ライクが飽きられているといえば飽きられている。一つの要素は、東京や京都はバブル気味なところ。先染織物というのは基本後染とくらべると何倍もコストが掛かるので、バブル気味なことがファッションの幅を広げている影響があるのかもしれない。

林与という会社は、着物から甚平生地を経て、レピア織機を導入してアパレル生地生産になったときから、日本の麻の先染織物では一番ほどに強かった会社なので、先染ブームは本領を発揮できるのでベリーウェルカムなのだが、先染というのは基本見本がないとオリジナルは作り上げにくいので、その辺りが難しいところ。サンプルをすれば、本生産と2回でコストが基本2倍近くになる。カウンター見本をベースに、小ロットなら本生産一発勝負が一番よいのではなかろうかと思える。

機屋というのは、見本で仮に本生産と同じお金をいただいても、作業が全部同じなので、見本の生産でも小ロットの本生産でも掛かるコストはほとんど同じで、見本のときはさらに本生産を想定するために迷う部分を解決しないといけなく、機をつくったり作業も規格に落とし込むための試行錯誤がある。今は300mくらいからが経済ロットになりやすい感じではあるが、アパレルの着分などの生産は、3mの生産でも、原材料代、染代、加工代、そして内部の人件費を含むと、10万円を越してしまうことがよくある。外に払う費用5万円、中の費用5万円くらいというのが見本に掛かる費用であることが多い。

機屋で、ものづくりできる機屋というのはそういうコストが使えないとものづくりが続かないので潰れてしまいやすい。逆に見本をまったくつくらない賃機的な機屋さんのほうが1m織って100円、200円の世界でも生き残りやすいのである。このあたりが勘違いされやすくって、デザインすれば機屋が生き残れるというのは先染織物だと難しいところ。無地の布より先染の布が同じ量流れて何倍も高いのが通用すれば成り立つけど。通常は無地の布は多く安定的に流れ、先染めのものは見本倒れまであり仕事して弱って行くということも多い。

無地の生地にくらべると、展開として先染は魅力なのだが、先染織物に対する評価はコストに見合ったまでの評価をいただけていないということはあるだろう。また、チェック柄などは、印象が強いので、いろんなチェック柄を着こなせるようなセレブとか趣味がゴルフとかの世界の方々に通じる気がする。昔は、先染めに留まらず、ジャガードや昼夜、二重ビーム、刺し子、など技術をいろいろと見せることができたが、今は、小ロット生産の費用が外部も人件費の高騰で加速し、通常の無地の定番生地の5倍とかコストが掛かるようになってしまっている。先染ブームが来たとしても利益を期待するような流れでもなく、生産体系からすると先染織物の文化を残して行くという流れであろう。

デザインを見せるにはプリントという技法がそれなりには展開しやすい技法で、先染にまで行くよりプリントという辺りで落ち着くのが、今のデザインの落としどころではないだろうか。売れるベースをプリントの新しい柄で毎年展開して行くという形。林与はプリント工場ではないので、そのあたりあまり得意じゃないけど、上手に展開されているところはデザイン画をそのままプリントで生地の形にして、洋服やインテリア、小物向け素材を提案されたり活用されている。

テキスタイルにおいてもテキスタイルをデザインするという世界は20年前でもいろんなアパレルや問屋さんに残っていたけど、そのデザインされたテキスタイルを生産する現場というのは20前でもすでに見つけることは難しくなっていた。20年たった今、デザインされたテキスタイルを生産するということが、さらに難しくなってしまっていて、アジアの国だと小学生が学校から帰って大人の手伝いでつくっている先染め織物が、日本だと大人がたくさんよっても生産することが難しくなってしまっている。
2018年05月04日
5月9日から10日に東京国際フォーラムで開催されるプレミアムテキスタイルジャパンに向けて、今進行中の広幅絣のプロジェクトをどこまでご覧いただけるか。プレミアムテキスタイルジャパンは基本、プロ向けの展示会の場となっているので、一般の方々がご覧いただける機会は、5月17日から19日に開催のふくい南青山291(東京都 港区南青山5-4-41 グラッセリア青山)でのテキスタイルマルシェ。

プレミアムテキスタイルジャパンも、テキスタイルマルシェも、林与が終日立つ予定をしておりますので、必要な方はプレミアムテキスタイルジャパンはアポイント取っていただけますと、アポイントの方を優先的にお話などさせていただけます。また、プレミアムテキスタイルジャパンの招待状が必要な方は、5月6日夕方までに、ご連絡ください。数十部ですが余分ございます。林与の生地だけではなく、いろんな日本のテキスタイルご覧いただけるチャンスです。

テキスタイルマルシェは、ふくい南青山291の2Fで、17日は、15:00時から19:00まで、18日は、11:00時から19:00まで、19日は、11:00時から16:00まで開催。招待状などは必要ありません。今回は6社が出展、大江(丹後)、松尾捺染(大阪)、カツミ産業(大阪)、アイピーテキスタイル(奈良)、荒井(福井)、林与(滋賀)です。
2018年05月03日
入手した手機の筬を新調した。入手した手機を少し拡張するため、天地、厚み、幅を決めて、オーダーした。その筬を手機に埋め込むために、手機の溝を電動ドリルとノミで広げる。最初は、溝の幅45cmの幅の溝だったのを52cmの幅まで広げて、想定で生機仕上がり48cmの織物を織り上げ、加工後にキングサイズ42cmにまで対応の手機に改造。ソウコウが48cmタイプなので、通し幅50cmあたりが限界だろうと思って。

午後から外での作業、3時間ほどで、全幅52cmの筬もはめ込むことができるようになりうまく行った。よしよし。これから、手機用のシャトル探し、厚み2cmほど、幅3.5cmほど、長さ25cmくらいが良さそう。昔の小さな力織機のシャトルもうまく使えないか考えてみる。こっちの織機は天秤式、もう一台ロクロ式が手に入ったので、そちらは、テキスタイルマルシェ用に荒めの縦を張って、手織り体験に使えないかと。

私自身が強いのは、普段の仕事で織物の整経作業もしているので、手機用の縦糸を整経するのができる環境があること。あと1日もあれば、今回の天秤式の手機の整経も本麻の近江上布を織っていたときの規格で織る前まで用意することができるだろう。

工場の中では、織れた布を巻き取らない織機の問題。布の通し方の問題で巻きとらなかったという結論だったが、その際に、ラチェットをテスト的に交換したために、ラチェットの形状が台ごとに微妙に違い、うまく、巻き上げられずだった感じで、元に戻したら直って、すべて問題は解決。あと、ネットでも販売させていただいているオフ白のストール生地を織っている台が、縦糸が切れていないのに止まる問題。縦糸切れの感知が、縦糸が切れてドロッパーが落ちたのをドロッパーの下がスイングするバーに挟まれて、スイングするバーが綺麗にスイングできないと、運転ハンドルが叩かれ外れる仕組みという、力学的なので、微妙な調整がずれてきての問題か。30分ほどいろいろと調整を加えて調子よく戻って、リネンガーゼも横糸の交換作業する程度で、綺麗に織れている。


2018年05月02日
昨日の捺染台でブレークスルーがあったのがアルミ枠の入手。ちょうど理想的なアルミ枠を組み合わせベースが出来た。それまでは、木でつくろうとかスチールラックを買ったり、土台のイメージが実物に結びつかず。手ごろで丈夫な端材なども手に入らなかったが、入手できたアルミ枠が活用できそうな気がしてまず土台から作り上げると軽くてしっかりしていてよい感じ。これを鉄でやっていたら丈夫だけども、加工するのも持ち運びも移動も難しいものになっていただろう。

運というものはあるもので、3つアルミ枠を使ったが、40個以上アルミ枠があるので、2号、3号を作成することも可能。織機と同じように織り幅に応じてそれぞれ台を用意して、今掛かっている織機の縦でどの台でも絣が織れるようにできれば柔軟な対応が可能。トータル1万円ほどの費用と1日程度の作業でかなり軽量で扱いやすい捺染枠を作り上げることが可能になった。こういう拡張性が大事で、1台だけあってもなかなかいろんなことをするたびに調整では難しい。

もうひとつ頭をひねったのは、近江上布アーカイブの色柄だけでなく、捨てずに残してあったそれらの数千種類の型紙をどう活用するか。その昔の型紙をスキャンして横にうまくリピートすれば広い幅の型紙のデータが作れる。単に昔の生地があっただけでなく、残ってある型紙も型のデータとして再利用で、柄の再現の手軽さは上昇。

フラットベットのインクジェットプリンタがあったらの「タラレバ」しているよりも、自分の環境の中で出来る形を見つけていくのが一番よい。インクジェットよりも、シルクスクリーンよりも型紙捺染でやると、染料が一番糸の中まで浸み込み、また、揺らぎがあるので、力の篭った味のある金太郎飴じゃない布が出来上がると経験から感じている。
2018年05月01日
今日は横絣捺染台を改良、昨日の夕方から取り掛かっていたのだが、程よい部品が手に入らず形にならなかったのだが、今日は朝からコメリに行って、ボルトやナットを入手し、木材をサイズにカットして、くみ上げる。夜10時前にようやく完成。横絣の生産のための準備工程がかなり軽減される予定。

今まで、あーでもない、こーでもないと、いろいろと部品をかき集めて改良のために構想を練ってきたが、満足できるレベルで活用できるものが出来上がって感無量。テキスタイル業界の皆さんからは大きな期待をいただいている広幅絣プロジェクト、私自身の今後のライフワークの一つの柱となるだろうと考えてはいる。

装置は完成しても作るべき最終の目的は布。布の力を感じてもらえるような布を生み出したい。絵画のように人々に語り掛けることのできる布、與一じいさんの近江上布は見た人の心に語り掛ける。今、2年このプロジェクトで、ストールの試作、ワンピース生地の試作。染からはじめたが、工程が相当手間が掛かるので、構想はいろいろ練っても、実際の作業は一発勝負的な部分もあるが、それでもうまく出来上がって、自分自身が面白いなあと思える布が出来上がってきてほっとはしている。

ものがない時代には人がものを生み出していた。自分がなにか作りたければ自分で作るための道具からつくる。一番の基本の道具は、自分の手、体、頭。そこを磨かないことには、今日も他の会社の工場が10年ほど前に廃業の際に譲り受けた50年選手のボール盤を使って、自分の手と頭を使いながら形にしてゆくために穴を開ける。古いボール盤だけど頼りになり、新しいものが欲しいとは思わない。穴を開けたアルミや木材などをボルトとナットで組み合わせて、頭の中にある形に近づけて行く。形だけでなく使用に耐えうる強度も必要で、デザインは理想だけで生まれるのではなく現実的な問題をクリアして行かないと駄目でそこの部分がデザイン以上に難しいところ。頭で考えるだけでは本当にそれがうまく動くのかどうか分からないものである。作ってみて動かしてちゃんと動いて初めて問題がないと分かるのだ。
2018年04月30日
よく議論になるのが、働く目線の問題で、経営者目線と労働者目線ではまったく逆のことが多い。その問題を生めるためには、仕事のことだけでなく、人生観が大きく影響をしているので、1日8時間の仕事の中で考え方を変えるとか、働く8時間だけ考えを変えるとかは難しいだろうなあと経験上思う。

仕事というのは夢(理想)のためとかいうと素敵に聞こえるが、夢(理想)から入るとうまく行かないことが多い。自分が仕事で夢(理想)の部分を追い求めればその人の夢の部分じゃない部分(現実)は他の人が解決しないと行けないし、完結しないことが多い。私自身、自分にとって夢の部分のプロジェクトも立ち上げるけども、そういうプロジェクトは普段の仕事よりも高度なことなので、普段のやれば良いだけの仕事が難しいとか出来ないようじゃあその世界にたどり着くのは難しいんじゃないかと思う。

織機に問題があれば一番に織機の下にもぐるのは自分だと決めていてそれを20年以上続けている。その1回織機の下にもぐるが難しい状態で一生の織物の仕事を終わることがほとんどだろう。工場の中で誰がやるから正しい織物がうまれてくるのであろうが、そういう人がいなくなれば、技術とか設備、そして人がいても織物の工場は残らないだろう。織物工場が続いているのはそういう人がいるから。そういう人が消えたときに織物工場は消えざるおえないのだと思う。

地元でも良いものづくりをされていた座布団工場があったけども、一人の年配の職人さんが辞められた時点で、他のものではできないことが多すぎたのか現場を閉じられてしまった。仕事があっても仕事ができない状況で、仕事を受けると仕事ができないので苦しくなる。繊維産業というのは人を大事にする産業?だったから、働いている人を大事にしたので次の人が居ないということも、戦後のひと世代が終わるとそこで終わりということにつながっているだろう。
2018年04月29日
昔、ある機屋さんが廃業されて、その廃業された機屋さんの織機を持ち出した職人さんが、自分がやっていこうとされたのだがうまく行かなかったケース。その機屋さんも立派で職人が自分でやってゆけるように織機と、糸なども欲しいものは全部あげた。織機を2台移設された、でも、職人さんは使い慣れた織機や糸があっても、ものを作ることは自分の意思では難しい。何十年も経験があって、職場がなくなったときに、織機を持ち出して動くようにはしても、自分で織ってものをつくっていくことは難しいことをあらわす例えの一つ。

織機があったからといってよい布が作れるわけでもなく、布をつくろうとする人がいなければ駄目で、思うだけでなく毎回行動をする人でないと仕事として食べて行くことは難しいだろうと思う。きつい話だけど、職人さんのその後の流れをみていると、その職人さんが織物の世界で食べて行くのはそもそも難しいんじゃないのかと思える。成り立つ成り立たないに関わらず移設までしてほとんど動かしておられないから。移設して毎日動かして成り立たないなら分かる話なのだが…。体が悪いとか他の事情があれば別だろうが。その機屋さんが廃業される要因のひとつもその辺りもあっただろう。

林与も、出機さんに最後頼んだ一番簡単な大きく巻いた平の白い織物が4回立て続けに通し違いや極端な油汚れ。織り賃は早く払ってほしいと要求をされ、支払いはするが、受けた注文が駄目になりお客様に迷惑を掛けるだけでなく、全部、糸から作業した分とか加工代金まで、没になる話。仕事もして一番簡単な仕事で4回立て続け。4回目には、油汚れの問題を心配し確認しに行くと、シャトルの出口に油の大きな黒い塊があるので、私が拭くからと拭こうとすると自分が拭いてから織るといって、結局、ふき取りもせずにそのまま織って油汚れ。普通だと4回の損失で実費200万円の損質、出機さんに支払い義務が生じる話だが、情けは持って問題の解決も手伝い、織り賃も支払うが、その体質は直らない。それを最後に仕事は頼まないことになった。大きな失敗もへっちゃらだと、何十年の経験者でも、初心者とまったく変わらないほどに通用しないのだ。

一番簡単な仕事もできなくなって、機場というのは成り立たなくなって行く。地場産業の傾く理由っていうのはそんな難しいことでもない。目の前に仕事があって仕事があることのありがたみもわからない状況に陥る。平の無地の白という一番簡単な仕事も難しいのだから、複雑なデザイン性のものを、傾く地場産業に求めれば地獄というだけのこと。これは日本社会の全般的な流れで、できないのが普通になってきている。社会の流れのもうひとつが、日本のものづくりに対しての小ロット多品種ニッチェ化。過去を支えるも難しいことで、正しく仕事できる人が正しく仕事して前に進んで行くしかないのである。
2018年04月28日
今日は、お天気がよく、外にいるだけでも気持ちがよい。林与のインスタに林与のワンピース画像をアップするために、近くのお寺に通じる山道でのテスト撮影。小柄なデザイナーが着用してモデルになっているけど、9号から13号くらいまでカバーできるゆったりなフリーサイズ。https://www.instagram.com/p/BiGtmiqHCJV/?taken-by=hayashiyo.weaving.lab

将来は林与のお好きな素材での展開を考えているが、現状は、本麻素材からの販売スタート。1着1着の受注生産で、お客様のサイズに合わせた若干のサイズ調整を加えるためにお時間は1ヶ月程度掛かる感じです。

2018年04月27日
結局、夜3時に寝て、5時起きで、まとめ資料の見直しで、補足資料の補填などして午後に大津に出向いて提出。一年のプロジェクトがひとまず終わるための提出が済みほっとする。あとは、デバッグじゃないけど、担当の方に確認いただいて問題のありそうな箇所を補う作業。一方で、もう3年目のプロジェクトは始まっていて、今年はラミー100%で、よりオリジナルに近い広幅絣織物の試作を目指す。

林与の近江上布アーカイブをご覧になられて、あの硬い感じが良いという方も半数近くはおられ、今年のプロジェクトがそういうご要望には応えられるのではないかと思う。林与というのは産地でも一番に横絣の織物では力をもっていて、戦後、林与の與一爺さんが近江上布絣を復興し、産地に和装の世界で新しいセンスをもたらす一方で、小千谷の業者さんが仕事がなくて困っておられるのを、與一爺さんが一肌脱いで織る仕事を出した。それが、産地だけでなく、小千谷の業者さんの、モダンな絣柄の生産のきっかけになっていたりする部分もある。小千谷縮が今日でも評判がよいのには與一爺さんと同様に、私自身も頑張る人が頑張る覚悟でやっておられるのだからと応援の気持ちでいる。今は仕事では関係がないが、そのときの業者さんから昔の苦労を分かち合った頃を懐かしむようなお手紙をいただいたり。食べても行くのが難しいのを人の心が動かされしょうもないこだわり捨てて仕事頑張ってと仕事をしてもらう。

野麦峠も悪い話に聞こえるが、食べるものもない貧農をほったらかしにする国や行政があって、そういう貧農に3年で家を建てることができるような今でもありえないほどの大判振る舞いと希望を与えたのが、今日の目から超ブラックとされる当時の産業。貧困のままを放置するしかない行政にとってはそういう業者は目の上のたんこぶ。一方で、官製の富岡製糸場は、世界に日本の近代化の美しさを見せるために、恵まれた良家の娘さんだけに好条件で働くチャンスを与え、まともな糸も出来ずに、民間に払い下げというのが、強きを助け弱きを挫く官製のホワイトな世界の現実。貧しいものががんばるを助けるなんて苦しみを分かち合えない人には無理な話。今の国の行政にしても財務省の職員がパワハラで自殺して遺書まで残して自殺の理由も明らかで、電通の自殺者以上の問題なのだが、国の労働に関する闇は深く人間が人が死んでも保身ばかりで心が痛まない。パワハラを苦に自殺に追い込むを国がやってて、国が企業を指導するのもパワハラというだけで、働くものを救おうというよりも行政の保身のために自殺に追い込む悲劇は多い。

今日は夕方に帝国繊維の香山さんがお越しくださり、昨日3時間しか寝ておられず眠いのに無理して長旅の合間に、私がいろいろとやりたいことに関して情報が欲しいことがあってその打開策を探るために知恵を貸していただく、ぎりぎりまで追いやっておられる感じで会社規模も違うし形態も違うが物事を成り立たせるというあたりは似たところなんだろうなあと思える。あと20年あとに同じことが私も続けていられるかどうか。
2018年04月26日
今日は助成金の1年の資料提出のためのまとめ作業。今年で6回目なので、使ったお金の証明書類などのまとめのポイントは分かっているので、それを全部そろえて閉じる作業。報告書は完結に実質的な活動内容部分は1枚程度。実際の活動の大事なのはものを買ったとかお金を払ったとかの部分じゃないけど、そういうところが監査の対象なので証拠書類で残す。

補助金でも、食品の新商品開発なら、卵一個買うのも領収書をとって、見積書はどうするの、請求書はどうするの、までちゃんとやっておられる業者さんもあるが、えらいものだなあと思う。私はそこまでは無理だし、正しいことなのだろうけど自分の補助金が絡んでいるから見積書、請求書、振込支払、領収書がないと駄目だとなると、大手チェーンの大工センターでも対応が難しい話になってくる。

補助金を使うからといって、私の場合、贅沢はしない。最低限の費用でやることは同じというのが理想。自分がやりたいことがあってそれに補助金を活用するかどうかというだけの話である。活用するためには補助金を審査する審査員の先生方が私のやりたいことに興味をもって賛同してもらえるかどうかに掛かってくる。私のやりたいことにしても、自分のお金儲けとかそういうレベルじゃなくって、仕事の中で夢のあるようなことをプロジェクト化して実現したいというものごと。まさに、夢のあるものづくりで皆様に共感してもらえるような普段の仕事ではできない自分自身がすごいなあと思えるような本質的なものづくりの実現。

アイリッシュリネンのプロジェクトや近江上布柄広幅絣など、世代を超えて評価されるようなものを作り上げ、それをご覧いただいて日本の繊維業界が他とは違うという切り込みを見ていただけたらなあと、自分自身がこの業界にいてこんなことができたらあったらすごいなあをやらずにおわらせずやってみて形にしてみてもらうまで、計画に落とし込んで実行に挑む。

やるといっても一人二人の力が重要で、集まったからできるというものもあるだろうけど、生産も含むと毎回の生産が超えた世界の連続で、基本一人二人の覚悟を決めたものがその世界を育んで守って行く。技術や技法を教えてもらってマスターとかより、自分自身で作り上げ、実行するためには人の覚悟が必要という要素の大きな世界。時代流れや、需要供給や生産の環境や設備、他を超えた人の力の組み合わせ、皆様からいただける期待など、すべてが掛け合わさってようやく成功となる。

こういう補助金のまとめとは別に、近江上布柄広幅絣プロジェクトも3年目が終わったら自分で3年をまとめて冊子をつくって、私が思う日本の布の力を世界に発信できるようなプロジェクトとして現状に甘んじることなく高い意識をもって仕事には接して行きたいと常に思うのである。
2018年04月25日
麻の世界も、シルクの世界も高級品は絣に織られた。糸から手で績んだり紡いだりした昔の布つくり。プリントと比べると何十倍も手間が掛かる世界で、糸の中まで染料が浸透しているので、裏も表も同じ柄で、着古したらリバーシブルに仕立て直して絣で織られたものは一生ものとして愛される。

近江上布は平織りが基本で、その理由は絣に織るからだろう。京都の西陣織などは染めた横糸をジャガードで浮かせて柄を出す。基本2枚のソウコウ枠を上下させて織るのが近江上布絣の基本に比べ、西陣織はジャガード。対照的である。

上布と呼ばれるものは平織の絣が多い。近江上布の絵がすりは、林与の歴史からすると、初代の與次右衛門じいさんの頃に、赤苧大絣で一等賞をもらっているので、林与はそれなりに絵絣では強かったのだろう。その一等賞をもらったのがどんな柄なのかわからないが、たぶん型染だったのだろう。二代目の與一じいさんは、残した数千点の近江上布アーカイブをみると、60年ほど前のものに思えないほどに、今にも多くのアパレルデザイナーの方々に感動を与えるクオリティ。「外に出すべからず」の言葉を守り?半世紀ほど封印されてきたので、産地でもその世界を知る人は多くない。10年前に先代がなくなったときに、倉庫の押入れの奥から10数箱に分かれて、それぞれの箱にびっしり詰まった見本切。

つくれなくなるものだから、大事にしまってあって、必然なのか偶然なのか失われることなく、私に引き継がれた。昔のものづくりを伝えるために表に出したが、この2年ほど再現の動きにたどり着いた。しかも、アパレル用途を想定して広幅絣に織り上げる。何十年ぶりの大雪に包まれ寒さを堪え2週間ほとんど寝ずに型紙捺染に苦しんだ昨年の正月。仏になりそうなほどに型紙を彫りまくった。

型紙捺染には力があるのは、なんとなくわかる。仏像を彫るように型を彫る。子供のころに版画を彫ったのを思い出す。手が柄を生み出すから、シルクスクリーンとは違う趣になるのだろう。
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