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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2014年02月17日
今日は、朝から山梨県に送る予定の荷物が発送もできないということで、どうしようかという話。午後から、富士吉田の産元さんから今織っている布の確認の電話をいただいて、話をお聞きすると。高速道路、国道が不通で、食べ物はヘリコプタで、届いているということ。

まだ、3日程度はかかりそうというお話で、今織っている布、織りあがるころに、回復に向かうくらいだろうか。ものが動かず、仕事もどうしようもないというお話をされていました。富士吉田も、徐福伝説があり、雪深いことが織物の産地として残ってきた理由の一つではなかろうかと私は思ったりします。
2014年02月16日
今日はクロネコ出荷が4時までということで、電話貰って。3時頃にとりあえず第一弾の出荷に行くと関東方面が受け付け中止という、また、再開は未定という、今までないほどの状況。雪で配送がうまくいっていないようで、この後納期が迫ってきている数件の出荷も不透明で心配。 出荷が出来ない程度なのでまだまだ幸せな場所にいる。雪の中の配達というのも気の毒な話で、雪の中の運転が云々というよりも雪で商品が濡れないように気をつけるだけでもドライバーにとっては何倍も神経を使うだろう。 受付を中止にする理由というのは配達がみえないからということだろう。通常クロネコでは日時指定が厳格で、配達が見えないと日時指定をする発送を受けることができない。今日はメール便において、通常便は発送できるけど、メール便速達だと配達日を指定しないといけないので受付が出来ないという。 今はどうかしれないけど、クロネコというのは民間で郵便局は官であった。配達している人の雰囲気というのも相当違うのを感じることが多かった。クロネコのほうはプロという感じで、郵便局のほうは素人がやっているような感じがしていたものだ。今の状況で、郵便局なら受け付けてもらえるだろうがいつ届くかが不安だったりする。窓口まで、配達状況など伝わらないのが郵便局の流れだと思う。 今の状況において、キャパ的にぎりぎりで運営をしているクロネコがパンクしてしまって、郵便局だとそこまで日ごろ無理をしていないので大丈夫ということもありえるだろうと思う。1個の荷物に遅れが生じ届かないとそれを確認して届けてほしい要望に応える作業というのは、たぶん、普通の配達の3倍くらいの負担だと思う。それが雪崩れのように押し寄せて関東方面の発送受付中止(再開未定)なのだろう。
2014年02月15日
日本も各地雪が多いですが、アメリカも雪が大変というのは、先日ナイアガラフォールが凍ったのを知って、今日はニューヨークのお客様が1mほど雪が積もっているとかで雪どけが大変だということをメールいただいて、私のところの20cmほどの積雪というのは、雪が積もったうちには入らないのだろうと思ったり。

今日は、夜、急いでもらった加工が上がって来て、リネンの光沢のある素材。リネンではこういう光沢のあるものは少ないのですが、一昨年、昨年と糸がよくないので、綺麗に仕上げないといけないので、糸もとくに慎重に選んで作りました。仕上がりを見るとネップがところどころに見えるも、それほどきつくなく、昔作ったものとそこそこ近い感じで光沢感もある。

一方、完璧を求めるならこのネップや毛玉は許せないところ。これをクリアする方法というのも頭の中にあるが、それが本当の昔のものづくり、なぜ、昔のリネン糸が丸いのかを考えたりするとその答えも見える。作り手がそこまでこだわってもお客さんがそれを求めるのかという問題もあろうかと。

お客さんというのは、最終消費者を指すこともあるし、途中の問屋さんや、また、ブランドさんを指すこともある。アイリッシュリネンが消えていったのも、作り手や最終消費者に決定権がなかったからではないのかと思ったりする。良いものというのは無理やり残さないとならないのだが、それはお客様にしても無理やり買わないといけないということ。

途中の業として、動いている皆さんが無理やり買うことができないと難しいだろうと思う。私自身も無理やり良い材料を買ったり、無理やりベストな選択をすることでモノづくりがまだ残せるのだと思っている。林与の工場にしても無理やり残しているから産地で麻を織り続けていられるだけのこと。私が織物に入ってわずか15年あまりで産地の機屋さんの廃業をたくさん見た。実際に織機をもって職人を抱えて自社で完全に生産されているところが廃業されるケースが多い。リスクを自分の中に丸抱えしてしまうからだろう。
2014年02月14日
今日も雪。親切なことにクロネコヤマトのセンターから電話があって、今日の持ち込みは雪のため午後4時までということ。滋賀県全域に雪が降り名神が動かなくなっているようで、関東方面の荷物が2日から3日遅れるという話。

これだけ雪が降ると滋賀県の北部ではチェーンが必要にもなってくるだろう。事故がひとつあれば何十キロの渋滞になるのが高速道路。渋滞から抜け出すまでに何時間も掛かると、前方不注意での追突事故やガス欠なども起こってそれがまた渋滞を引き伸ばし、事故を誘発する原因になる。高速道路は早く無料化して、出入り口を増やす方向に動くべきであろうといえる。ETCも死亡事故を増やしてしまっている部分もあり、早く無料化して開放するべきだろう。

今日の発送で発送担当のものと話をしていて手違いに気がついて、2月のプレゼントのゴールデンアイリッシュリネン糸を入れ忘れている出荷が何件かある手違いに気がつきました。申し訳ございません。エックスパックにて1週間以内にはお届けしますのでよろしくお願いいたします。
2014年02月13日
2月は、節分の頃雪が降って厳しい寒さが再来かと思えば、そのあと春を思わせるような穏やかな日が続き、また、今朝は起きるとコンコンと雪が降り積もっている。まさに三寒四温な2月で、普通なのだが毎日が変化に富んでいる。

学校帰りの道歩く子供は雪道を我慢強い、自分自身も含め大人のほうが贅沢になりすぎて、車を運転し暖房で温まりながらもまだ満足できない。年配のお年寄りが家の入り口の雪を道路に搔き出す。昔なら家の前で事故が起きないように道の雪を道端や自分の空き地にどけたものだが、年配の方でも一世代前とは考え方にしてもまったく反対のことも多い。
2014年02月12日
ここ数日、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座で、販売いただく、キッチンクロスを織っています。この企画に関しては、一枚一枚、私自身が織らせていただいているのですが、この仕事に集中したいと思いながらも他にいろんなことが発生をしてきて、他のものを助けるために、ちょっと目を離すとまた最初からやり直しみたいなことも多く。林与の会社でも難しい仕事を誰でもこなせるようにならないとと思うのです。

私自身にとって、織物の会社なので織る仕事というのは基本的なことなので別に特別な仕事でもなく正しく織れて当たり前のことなのですが、高齢化した産地にとっては織る仕事自体が難しくなってしまっているところがあります。産地に織物を織れる人が何人残っているのかというあたり、織物の染色や加工業の世界ではたくさん若い方がおられても、織物の現場には若い人が少ないのです。

産地でも、いろいろな方面から高齢になられてもできる方の話は伝わってきて、自分自身が一人で織機を守って、高度な織物を織り続けておられるのを聞いて、そういう方にはいつまでも長く仕事をしてもらいたいものだなあと思うのです。機を織っておられることが既得権益でもなんでもなく、毎日の鍛錬みたいな厳しさあろうから、産地でもその方のうわさが私にも伝わってくるのだろうと思います。私は、その方とは直接的な面識がないのですが、産地に残る本物の職人さんなので、いつまでも織り続けてもらいたいなあと願っております。
2014年02月09日
出荷

今日、夜、クロネコヤマトに出荷に行くと、雪の影響で名神が止まっているとのことで、ドライバーが一般道を使って関東方面に向かわないといけないので、昨日の荷物もまだ東京に届いていないという話で、東日本大震災のときのような物流の状況。

私自身としては非常に困った状況なのだが、一年に一度二度こういう経験をするのも当たり前のことといえば当たり前のことなのかも知れないなあと、よくよく考えると思う。ベストを尽くしていてもすべてが予定通りに回ることなんてないものだ。

雪というのはルーレットで逆の目がでるようなものだ。普通なら逆の目が出てもうまくいくように誰かが働いていてくれるだけのこと。それがうまく働かないケースもあっても当たり前のことなのかもしれない。ドライバーも荷物を届けようと雪のしわ寄せを受けても普通以上に働いていて苦情も多くいわれるだろうけど逃げ出しているわけではない。

クロネコは別としても、今の日本の産業にしても、明日の朝に届くような、ジャストインタイムな生産を守るためには、ドライバーたちが夜中物を運んで、明け方までコンビニの駐車場で仮眠を取りながら荷物を届けているから成り立っているだけのこと。なにも工場が届く荷物にあわせてジャストインタイムで動かしているわけではない。24時間のコンビニが駐車場兼ホテル代わりとなるような役目を果たす。それがコンビニの提供するサービスの一つとなることでコンビニも固定客を確保し回る形。

勝ち組といわれるコンビニですらも過当競争の中で、経営努力。私自身、地場産業的なものにいるけども、コンビニや運送会社などのサービス業の人のほうががんばっているように思えてしまうことも多い。
2014年02月08日
2月に入って寒い日が戻ってきました。節分の頃に雪が降るというのは、10年位前まで毎年経験をしていたので、それが戻ってきたのは懐かしいなあです。自動車で外を動いていても、車の数が少なく、昔の冬の雰囲気です。

今日は、午後、彦根の四番町スクエアのボックスギャラリーに行きました。雪で足元が悪いので観光の人も少なく、春のサクラの頃にならないと夢京橋のあたりもにぎやかにはならないだろうと、春を待つ状態に思えました。

会社に戻って、仕事もいろいろな案件の納期に追われている中、親戚のおじいさんが亡くなられたということで、母親がお葬式の手伝いに、私は会社の仕事を守ります。昔は、親戚一同が織物の仕事を手伝って村では一番にぎやかな家だったといえますが、でも、それは遠い昔の話。

今の時代に、寒さを我慢して織物の仕事に励める人というのがどれほどいるだろうかと考えると、普通の企業形態になり、昔出来たことも出来なくなって最終的には消えていく流れになるのが普通なのだろうなあと思えます。でも、麻織物にここまでどっぷりと浸かるというのも他ではできない経験だろうと思います。
2014年02月07日
今日は久しぶりに納豆。なぜなら、長い間、納豆を食べていなくて、お店でたまたま見かけたから。納豆をみると、一番最初に納豆を食べた高校のときのことを思い出す。それまでみたことはあったけど食べたことはなかった。当時、これのどこがおいしいのだろうかとおもいながらも、京都では同級生たちが普通に納豆を食べているのをみて、食べられないといけないものと思い、そのうち慣れた。

今日食べた納豆は、甘いダシがついていておいしすぎるので納豆らしくない。大手の食品メーカーが作っただけにとことん納豆臭さを消してあるようだ。食べやすいが、納豆らしくない。

こういうのって麻の世界でもあって、麻の良さというのは綿とは違う良さがあるのだけども、綿ライクな麻を求められる方というのが非常に多く。本麻よりも綿麻、リネン100%よりもコットンリネンの風合いをソフトでよいと感じられる方が多い。

リネンに関しても、同じリネン100%でも、昔のリネン糸と今のリネン糸を使って、同じ規格の素材をつくって風合いの比較をしてみたことがある。昔のリネン糸を使ったものは、ふっくらと柔らかい感じがする。一方で今のリネンというのはざらつき感がある。昔のリネンというのは、特別な加工を施さなくても生機を水通しするだけでも、わーっと思うような非常によい風合いに仕上がる。甘いダシなど必要なかったのだ。
2014年02月06日
今回の出荷はアメリカとイギリス。朝、地元のクロネコに行くと窓口の方がかなり苦戦される。地元では、ほとんど扱いがないのでどのように対応してよいのか分からないということ。朝、地元のクロネコに行く前に、送り状の記入方法などを念入りにUPSに聞いておいたので、記入は問題なく済んで、クロネコの方が端末を使って出荷登録をする作業に苦戦。

結局、朝の出荷に間に合わず、自分でまた滋賀主管まで高速道路に乗ってお昼出発のトラックに荷物を載せてもらうことに。最初の1回目というのはこんなもんだろうと思いながら、たぶん、クロネコの人よりも私のほうがこのサービスがどういうものなのかよく理解ができたと思う。

この途中で、興味深いことに気がついた。アメリカ向けの繊維製品に関してはテキスタイルビザというものが以前は必要だったということらしい。これは知らなかった。これって、すごく、非関税障壁になっていただろうといえる。戦後の貿易摩擦の最初のものが繊維製品だったのが最近まで続いていたということだろうか。それとも、90年代の自動車オレンジの影響が続いていたのか。今は、アメリカも自由に繊維が輸出できるようになった。

一方、イギリスはアメリカからの綿や合成繊維に、リネン産業は侵食されてしまって、織物産業は日本と同じく窮地に置かれた状態に近くなってしまっているけど、寛容であるように思えるのは日英同盟の名残なのだろうか。

国境を越えて物が動くというのは、売り手と買い手の合意だけでなく、政治的な問題も絡んで、国同士の力関係のようなものが見えてきてしまいます。怖いのは、そういう力関係で、作り上げた商品がうまく届かないことがある可能性。そういう危なさがある状態では自由貿易や自由競争なんていうものもまだまだ理想論でしかないのかもしれないなあと思えます。
2014年02月05日
この10日ほどUPSで海外に出荷に関して苦戦中。近場では大阪にしか営業所がなく、クロネコが提携をしているそうなのだが、滋賀県ではラベルを手にいれることすら難しい。夜、滋賀主管に出向いて出荷しようとして、1時間以上掛けてようやく着払いラベルにたどり着いた。が、出荷は登録している地元のセンターから出ないと出来ないということ。

UPSやクロネコの本部の説明との食い違い、また、事前に滋賀主管にも問い合わせたときにも簡単そうなことをいっておられたが、地元に戻らないと出荷できないという話が真相のようだ。地元にはUPSの送り状も置いていない。朝を待って地元で出荷する方法をとる。
2014年02月03日
節分の行事の鬼を払う行事が中国由来であろうといわれておりますが、福は内の福というのは徐福の福なのかもという妄想解釈はいかがでしょうか。かつて、渡来人たちは鬼とされました。東京の青島などもかつては鬼島といわれ徐福伝説が残っております。また、瀬戸内海の女木島の紀元前100年とされる人造の大洞窟も鬼が島だとされています。

日本を制した日本人化した徐福の子孫たちが、渡来人同士の縄張り争いの掛け声的な意味も含んで、鬼は外福は内という形だと、一族の繁栄を意味するような掛け声ということになり、神社などに関しても昔からなぜあれほど立派なものが造られることができたのか、また、造るからには儀式的なものにしても相当確立されたものが持ち込まれていたと考えられます。
2014年02月02日
今、アイリッシュリネンハンカチの卸販売に向けてハンカチの箱を含むパッケージを検討しております。今年のバレンタインに間に合わなかったのは残念ですが、プレゼント用あるいは、保存用に大事にしてもらえるようなパッケージにしたいと考えております。

同時に、林与のストールやキッチンクロス用のパッケージも検討をしております。店舗販売に向けて、この春には動きたいと考えております。
2014年02月01日
2月の特別企画としまして、3000円以上お買い上げの皆様にアンドリュース社の80番手のゴールデンアイリッシュリネンの木管巻き300mを1本プレゼントいたします。この糸というのは、80番手なので細番手といえば細番手ですが、それ以上に色が特色で、アイリッシュリネンの銘柄の中でも特に有名だったアイリッシュリネンを象徴する色を持つ糸なのです。

兄のほうのトーマスアンドリュースJrは、タイタニックの設計者です。タイタニックといえば豪華絢爛な贅沢をちりばめた客船ということで、弟の目指したアイリッシュリネン糸もまさに亜麻色のゴールドであったことを考えると、糸の世界で最高に豪華に見えるものを目指していたのではなかろうかと思います。

また、糸の色だけでなく、糸の均一性においても究極的で、フシがほとんどみられません。今の時代のリネン糸と比べると神業としか言いようがないのです。フシがあるリネンというのは、番手以上に織るときに糸をたくさん使い、また、ボコボコと表面がしてしまいますが、均一なリネン糸を織り上げると、しなやかで光沢感のあるシルクのような生地に仕上がります。これは、フラックス原料の毛足の長いことも影響をしていると思います。

この糸も林与に残るだけで、たぶん、世界に200kgほどしか残存していないのではないでしょうか。カシミヤの何万倍もの希少性であるだけでなく、もう、生産することはできないのです。この春には、このリネンを使ってストールを織ってみようと思います。
2014年01月31日
技術的に無理だと思うところにチャンスがあるということが多いものです。通常の作業を超えて物事を行うときに、それは無理という結論を言うことが当たり前に正しいのだといえますが、それで仕事が生み出せていれば問題なかろうかと思いますが、仕事も少なく苦しいというパターンだと、無理なところを手がけていかないとならないと思います。


無理なことをやってみて最初は駄目でも経験を積めば、無理なところでの経験が増えてそれは、普通に仕事をしている何倍もの仕事経験。技術的に無理なこともあれば、作業手順や作業密度的に無理だと思うこともあろうかと思います。仕事をする上では、後者の作業手順や作業密度を成り立つところまで上げるということが、技術以上に採算の面で大事であることが多いのを感じます。

そのときに大事なのは人という要素。厳しい話ですが、品質や生産性を上げようとするときに、それについてこられる人とこられない人の差というのは大きいものです。地場産業というのは分業体制であることが多いので、外部に仕事を頼むとしても無理をしてもらえるかどうかが鍵となろうかと思います。

また、無理をして仕事をしたからといって欲がでると駄目で、無理しても成果がないのが普通でそのときはただ働きどころか持ち出しを覚悟していないと。せっかくの無理も成り立ちません。成功したときにようやく成果があってこそ仕事として成り立つという考え方が基本だろうと思います。
2014年01月29日
もう1月も終わり、外は雨。雨の中に暖かさを感じる。桜が咲く前夜のような力づよい温もり。もう止まらない感じ。止まるとか止まらないとかどうでもよいのだけど、春になろうとするのが止まらない感じ。

工場の中では1月末の納期に向けての複数の仕事の詰め、そのうちの一つ、レピア織機がキューキューと機械が壊れる前のような異音を出す。どこがおかしいのか、数週間前に修理してもらった箇所の留め金具がなくなってしまったのか、付け忘れたのかで、留めピンについたギアがぐらぐらで、ギアの頭が鋼鉄の部品を削ってしまっている。重症。

納期が大事なのに、時間が掛かりそうな問題で、これを解決するためには、他の仕事を遅らせてこれに集中しないといけない。織機を載せ換えることも考えるが、それをやると、また調子出しからはじめないとならない。時間のことを考えると絶望感に陥る。考えた末に、その周辺の部品全体を取り替えることにする。そんなことやったことなかったが、これが案外スムーズ1時間ほどで交換できた。だが、交換後、また別の問題が発生。

レピア織機が動いていて突然13枚目のソウコウ枠が外れる。部品全体を交換したときにソウコウ枠を固定していた金具の調整を忘れ、ソウコウ枠が大暴れして外れたみたいで、ドビーの歯まで外れてどこかに行ってしまった。ドビーの歯ば、余分にあったので付け直して、結局、2時間くらいのタイムロス。でも、途中であきらめるよりは進み続けたので前には進んでいる。

今、作っているものの生産量は少ないけど、どれもがちょっと無理のある規格に自らしたものが多く、この生地はちょっと面白いなあと珍しいなあと思ってもらえるようなものをベースにしているものが多いので、量産となるとトラブルが付き物。

生地が厚いだけで、レピア織機で困るのは、捨て耳の絡む部分が後退して、糸をうまくピックできなかったりとか、カッターがうまく切れなかったりとか、こういう織物を作っていると、一日に何十回もピッカーやカッターを外して調整したり、ぎりぎりの織物というのは、とにかく織る以外の部分で時間を使う。

1反の仕事であるけれども、自分としてもレピアでできるかどうか挑戦したかった仕事。普通ならシャトル織機で高密度なのだけども、いろいろな皆さんから要望があって、シャトルの弱点も克服しつつレピアで高密度の織物に挑戦。できるかできないかわからない仕事を仕事として受けることは緊張する。それはその仕事をこなすためではなくて、これからの将来を考えると自分が持つべきな新しい能力であることも多く、そういう出来るか出来ないかわからない仕事を他人のふんどしでやらせてもらえることに感謝しないといけないと思う。そういうチャンスを与えてもらえることというのは少ないものだ。
2014年01月28日
朝から昨日のシャトル織機の準備の続き、動かすまでに、10数時間は作業が必要というのも予想はできていたことだが時間を見つけるのが難しく、詰め込んでの仕事。

午後からは彦根で、読売テレビの岩田公雄記者の講演会がありました。昭和30年代くらいからの世界的な大事件報道などの流れを聞いて、懐かしいなあと思えることも多く、時代というものは常に安定をしないものだなあと感じました。

政治の話も多かったが、私自身は政治にはほとんど興味ない。政党の争いとか、派閥の争いとか、子供の喧嘩みたいなことをいい年した年寄りがどうしようもない。そんな恥ずかしいレベルのものを日本の歴史と呼ぶには馬鹿すぎる。国家議員として国民の代表として選ばれたなら、集まって脚の引っ張り合いしていないで、自分自身で台頭に一人ひとりが言葉を発するべきだと考える。みんなで渡れば怖くない、みたいなのが多すぎる気がする、国会議員になったものですらも力に弱く、力に縋ろうとする人たちが多すぎるのだ。

その後は、懇親会で、和太鼓の演技、彦根の粋なお店のいろいろな料理で立食パーティで、朝からなんにも食べていない状態だったので、すきっ腹には豪華すぎる味でした。

会社に戻って、夜は、帯の織りの続きと輸出書類の作成など、そのほか、バッグ生地の織りや新規に受けたストライプ生地の生産の案件。あと、アパレル向けの見本の進行などの柄出など。

夜中、帯の織機を動かそうとするが、ヒガエが出来ず杼箱の辺りを根本的に調整しないといけないような状態。部品を位置を正しく取り付けなおしたりしながら1時間くらい掛けて正しく動くようにする。今まで動いていたのが不思議である。ネジも反対から差し込まれていて、しっかりと締められておらず不安定、一見して問題がいろいろなところに見える。

糸のテンションは大丈夫だが、シャトルを叩き出すタイミングも違和感を感じる。何も足りないものはないのだが最適な位置に調整を掛けてあげるだけで織機が正しく動くようになる。他の人が教えてくれるのは大きな基本のところだけで後は仕事をしていく中で見出していくもの。大事なのは手の感覚で、織物を織るときにその感覚があるのかないのかで織機の調整にも大きな差が出てくる。

私自身、織機の調整がすべてみたいなこと偉そうに書いているけど、たとえ、織機の調整ができたところで食べていけるのかという問題も常に感じてはいる。織物屋が織物を織れなければ、誰も仕事をくれないよ、という当たり前の話を働いている人にすることが多いが、仕事ができなくても当たり前に仕事があると思ってしまっているのが働く人の感覚なのかと思うところもある。仕事を探すというか生み出すところから作って納めるところまで完結しないと当たり前に駄目なのだけれども、地場産業というのは分業の中で動いているので、その当たり前のところも難しくなってしまったのだろうと思える。

近くの分野は違うけれども機屋さんが1年ほど前に廃業された。私の同級生のお父さんが社長で、話をしていていろいろと指導をくださったのだが、亡くなられて会社にその仕事を引き継げるほどの強いものがいなかったというのは気の毒な話だろうといえる。設備なども入れられてしっかりとしてみえる会社ほど長持ちしないというのは、設備依存で本来は人の力こそ大事なのだが設備投資で人の力を補ってしまっているというのが理由だろうといえる。

あれもできるこれもできるではなく、あれもできないこれもできないとなるのも、設備依存になってしまうと量産向けの飽きられやすいものしかできなくなるものである。織物でも手品みたいな技法で織ったものは目立つのだが、凝った物でも一度見れ新鮮さは消えて飽きられてしまうのは、一度手品を見た人が次に同じ手品を見るのかという問題もあろうかといえる。本質的なものこそ大事で、ものに恵まれなかった昔に作ったものほど、人の作るものを超えた世界であるというのを感じるのが織物の世界。

昨年の展示会でも、近江上布を眺められたお客様が興奮気味に、ある一番の特別向けに一点ものとして提案したいというようなお話で、展示していた林与の近江上布を初対面の方に慕っていただくが、それというのは人がすべてのことに我慢できた時代のものづくりで、自分が食べる考える前に他の人を食べさせていくことを考えた時代のものづくりだからこそできあがったようなもの。たかだか、50年昔のことだが、今の自分が最初にとることを考える人ばかりのビジネスライクな流れの中ではその何十分の一の手間でできるものづくりでありながら、さらにそれを面倒がって難しいとか手を抜こうとする。
2014年01月27日
本来、おにぎりというのは海苔をボール上のご飯に貼り付ける必要があるので、海苔はしんなりとしているべきなのだが、コンビニなどのおにぎりで直まきタイプのものというのは少ない。

その理由はというと、たぶん、味を犠牲にしてコスト面優先だからだろう。おにぎりなのに握っていないおにぎりがほとんどだと思う。コンビニという需要の大きな分野において、味を犠牲にしてもコスト優先のほうが売りやすいというあたりどうなのだろうか。

しっかりと握ったおにぎりが一個50円から100円高いとするなら買う人がいるだろうか。たぶん、いないだろう。売れ残るリスクで作ると利益どころか損だろう。他にないものをつくれというのがマーケティングでよく言われるけど、他にない理由が成り立たないから誰もしないだけということも多いものである。おにぎりの世界が、家で作るよりも手を抜いたもので商売が成り立つというのも不思議な話。あるいは、海苔はパリパリのもののほうがおいしいという一般的な判断なのだろうか。それとも、衛生面の問題か、それなら薄いビニール手袋をして作ればよいだろう。

今日は午前中、地元の方と一緒に東京からのアパレルのお客様、2015SS向けの商談。午後からは、着物の4mの帯を織るシャトル織機を動かすための準備。ドビーが入るために、ヒガエカード、ドビー、山、豆シリンダーなどをいろいろと組み合わせて織る。夜中までずーっと掛かって準備、手が痛く、疲れるが、これも昔のシャトル織機を動かすためにする普通の作業。複雑なことで時間が限られているので私が担当。
2014年01月26日
今日は日曜日、昨日上がってきた反物を検反して出荷。そろそろこの春の納品の終盤を迎えており、納期に追われての仕事がほとんどではあるものの。来春に向けては定番のシリーズというものを毎年販売していくような方式に変更するべきではなかろうかと思ったりする。

今は仕事がありすぎて出来ないほどの状態。こういうのをこなしていけるのも地元の染色工場さんや加工工場さんの急ぎのときに無理をしてもらえる協力があるからで、そういう協力に対して応えられるように、仕事の規模を大きくしていかないとならないと思う。

一ヶ月というか、いろいろなことをしすぎて、1年すらもが非常に早く過ぎてゆく、最近は、いろいろな方面から声を掛けていただくことも多くなり、陰ながら見守っているテキスタイルマルシェを企画されているグループの方から、トライアルマルシェという企画に参加のお誘いをいただいた。詳細はまだ未定のようですが、2月後半に展示会ではなく、大阪での即売会ということで参加させていただくことになりそうです。

私も十分に年配になってきて、若い皆さんが活発な動きをされているのを見て、今の時代に仕事に一生懸命取り組む、しかも、繊維という成熟してしまった分野に飛び込んで。成熟した産業にやる気のある人材が飛び込んで、実際に経験を積むというのは本当に良いこと。

実際の仕事の難しさも分かるというもので、そういうのは機屋の職人が経験することは少ないので、職人というものはいつも仕事があって目の前の仕事を時間こなしていると食べていけるように錯覚を持ってしまうものだ。若いときに厳しい経験をして現場のモノづくりに向かうことができれば、仕事のある喜びというものも分かるもの。

どこかで書いたかもしれませんが、私も若い頃に仕事にやる気を持って見本を作ろうと仕事が終わってから自分で柄組して整経をして自分で糸を繋いで布を織ったのを、先代が私のやていることをみて、糸がもったいないから止めろということを言われ、それ以来、自分自身で柄組するのを封印し、先代が亡くなったのを機に、社長となり自分自身で自分自身の作りたい生地の企画を再度スタートしました。

アイリッシュリネン、オーガニックリネン、リネン細番手、リネン高密度、シャトル織、ストール、ハンカチ、キッチンクロス、ネット販売、展示会への出展など、自分自身の考えたことを10以上もプロジェクトとして立ち上げ実践して布の形にしてみなさんに見ていただいた。市販のものよりも不出来でもよいが、自分自身が作るのだから違って見えてほしいというのが願いであった。自分で工場と布を織る力をもっているのだから、真似する必要などなく、自分自身で考えて作り上げることが一番大事であるという思い。

売れなくてもいいから、自分の作りたいものをつくり、経験したいことを経験しておこうと、普通の仕事をしながら、プラスアルファで経験できたことが大変だったけど本当によかった。ハングリーな気分でものづくりに没頭できるうちに没頭しておくのが、繊維業界に限らず大事な経験。また、へたくそなものでもお披露目して恥をかくのも大事で、そういう度胸がないと1年なんて何もしない間に終わってしまう。
2014年01月25日
滋賀県米原の伝統文化産業会館にて、2014年2月26日(水)15時から、天池合繊社長の天池源受氏と丸三ハシモト社長の橋本英宗氏の2人の講師をお迎え、ビジネスカフェが催されるそうです。天地さんの「天女の羽衣」の話はお聞きになれた方多いかと思いますが、開発に携わられた社長の話が聞ける絶好の機会です。林与も合成繊維と天然繊維で分野は違いますが、織物の開発での苦労話というのはものの売り買いの話よりも実質的には大事な部分で人のドラマだと思います。

私自身、織物の分野におるわけですが、コンピュータソフトウェアの会社やコンピュータ製造の現場なども経験をしましたが、会社運営というのは、何を作っているかというところではなく、人がどう働いてなにをつくるかで同じ仕事をしていても成り立つ成り立たないのところ決まるのだと思っております。

天池さんにしても、社長であられながらも一番の技術者であられるといえ、ものづくりの面以上に、働く人との人間関係などで苦労された結果が、天女の羽衣であろうかといえます。たぶん、社長の目には、天女の羽衣を見ると、透明感があり軽くて美しい布というものではなく、その開発での日々の思い出がいろいろと浮かんでくるものと思います。

もう一方が、滋賀県の丸三ハシモト株式会社橋本社長。琴の糸を製造されている会社で、日本の技術を海外の楽器向けに輸出することに意欲的で、海外の有名な作家さんとの契約なども結ばれています。琴糸の開発だけではなく、大手楽器メーカーが存在するなか、販路開拓という部分、非常な努力ではなかったかと思うのです。

両氏に共通するのが、従来のものづくりの行き詰まり。自分自身で販路を開拓すべく新しいモノづくりに取り組まれたところだと思うので、林与にしても、従来のものづくりの部分も守り続けてはいるものの、新しい課題を自分自身にぶつけて背伸びの毎日。いつか、背も高くなるのではという思いで、両氏の講演を今後の自身の活動にも参考にさせていただけたらと思っております。

県外の方の聴講が可能なのかは分かりませんが、ぜひ、問い合わせてみてください。(問合せ:滋賀県立文化産業交流会館 TEL 0749-52-5111) 林与は交流会も参加予定ではおりますので徹夜明けでボロボロかもしれませんが、皆さんとの交流も楽しみにしております。
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