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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2013年12月30日
今日は夕方に大工センターに織りにくい織物の問題を解決するために道具の手配、加工してセットすればたぶん改善されるであろうと思う。難しいようならまた別の根本的な解決方法を考える。

また、別件で綿麻の整経。委託的な仕事で糸を支給してもらったのですが、毛羽がひどくて整経の筬に糸が詰まる状態。糊が付けに関して問題を感じるものの、助けながら織るということでの解決方法を選ぶ。すべてにおいて昔とは違って上手な人が減って一筋縄ではいかない問題が潜む。

織物は整経のときに糸の違和感に気がつくことで全損の問題など防ぐことが出来る。以前も、糊のついていない糸を、糊がついていないと感じ至急先に確認したところ、糊は付いてますといわれて整経して織り始めて糊が付いてないでした、といわれて、ほんと困ったことがあった。他でも糊をつけずに仕上げてきて触って糊が付いていないのに気がついて尋ねると、「分かった、糊付いてないよ」みたいな、正直ながら、いい加減な話もある。

そういう委託仕事での責任のなすりあいみたいなものには、嫌気がさしているので、自分自身が仕事を受けたときには自分のできるベストで助けようとは思うが、いろいろな点で、委託的に仕事を出されるところも仕事を理解しておられずに準備されていたりして、そのしわ寄せをかぶってしまって、その問題の解決に会社の仕事がとまってしまうこともある。
2013年12月29日
こぎん刺し作家の角舘徳子氏から「津軽の伝統XDESIGN展」のお知らせが届きました。青森県の津軽塗の木田明子氏、花田昌子氏、北畠江理子氏、津軽塗の増川泰治氏、打刃物の吉澤剛氏、こぎん刺の角舘徳子氏、黒田美里氏、あけび蔓細工の西東幾子氏、デザインの古川智穂氏という伝統的な技術をお持ちの若手の9人の作家さんたちの展示会です。

2013年12月27日(金)から2014年1月6日(月)までの11:00-20:00(最終日は18:00)、場所は渋谷ヒカリエ8F 住所は渋谷2-21-1です。林与も1月8日には東京に行くのですが、今回タイミング会わず残念です。
2013年12月28日
後染の案件で、自分で染めることになったことがあります。私自身が染めるというのが決して悪いこともなく、基本に忠実にしかも安全に染めるので、うまくいくのではなかろうかと思っています。

織物というのが通常2ヶ月程度時間をかけるのに比べると染める作業は数時間で終わる仕事なので織物をしている人間が染をするというのも知識と環境さえ揃えば問題はありません。昔は、家の中で染めやっていた林与なので馴染みのない世界でもありません。

ある専門家の方に会社で染をするよりも他の会社で染めたほうがよいとのアドバイスを受け、染めの見本を作ってもらいましたが、いざ本番となるとその専門家の方も引退をされて、本番は自分で染めることに、やはりやりたいことがあったら自分でやったほうが良いと言う結論ではなかろうかと思ったりもします。

自分自身が行動力のあることが大事で他人任せだと思うようにいかなくなることが多いもので、問題に当たったときに解決する力も大事です。
2013年12月27日
展示会でも、一人で対応しているので、ほとんど自分のブースに居るのですが、最近は、麻関連の皆さんだけでなく、天然繊維の織物の機屋の皆さんが、毎回何件か弊社ブースにご挨拶に来てくださいます。仕事のお取引云々のことではなくて、誰かから林与のことを聞かれたりして、話を聞こうときてくださるのです。

来て下さるのも、お若い方もたまに居られますが、ほとんどが60歳から70歳のベテランの機屋さん、私自身よりも経験も長く落ち着いた感じの方が多いのです。そのほとんどが企画機屋と呼ばれる企画力を持った機屋さん、熟された感じの中に強いものを持っておられ、仕事にも自身で精通されていて、お話していても仕事のことを散策されるでなく、がんばっているだけの話をしていてもそれを本当に喜んで聞いて下さるのです。

日本の機織の現場では後継者の問題が付きまとっています。年配の経営者自らが機を動かしておられる話を聞いて立派だなあと思うのです。年を取ると技術はあっても面倒くささが出てしまうタイプの人がほとんどで、残念な話ですが、後継者がいても仕事が面倒くさい職人たちに食われてしまうというのがほとんどのケースだろうと思います。

いくら技術を持っていても自分自身が売れるものの形にしないと誰もお金を払ってくれないというところがなかなか理解の難しいところだろうと思います。売れるものの形にするというのは、サンプルを作って、しかも本生産も対応するようなことができないと仕事する最初の土俵にすらも上がれない。

長年の国の政策の煽りを受けて、海外大規模な生産基盤に勝てるような力が小さな機屋にも求められているのも事実。そのときに協力をいただくのが、糸商さんであったり、染色工場であったり、加工工場であったり、どこかの協力、それは単に仕事するだけでなく新しいものを作るために持ち出しして新しいものをつくらないとならないのだけど、それが難しくなると売れるところまでもっていく、新商品開発の製造基盤というものもないことになる。

嘆いても仕方なく、これは国内の製造業全般にいえることで、大手メーカーの家電や自動車製品ですらも流れる規模は非常に小さくなってしまっていることを考えると、物をつくる以上は、海外企業に負けないような物を生産して流す基盤の整備からが必要だろうと思える。
2013年12月26日
会社の経営者というと、資金繰り表をつくったり、試算表をつくったり、金融面のことも仕事をする上での要素の一つ。今日は、会社の中の経理を遅ればせながらもコンピュータ化しようと公認会計士の先生と滋賀県のアドバイザーの方にお越しいただいてアドバイスいただく。

今日は、届いたばかりの会計ソフトのインストールと基本的な使い方の説明を受ける。実際には仕分けの入力作業。現実的には、仕分け入力作業が正しく出来るかできないかがポイントになってくる。仕分入力以外に仕入れの管理と売り上げの管理が大事で、管理簿という形で、こちらはソフト以外の見える形で管理していくのが良さそうだ。

基本的に、今までは税理士の先生に任せていた試算表と決算書を自分の力でつくり上げるようになることがこの一年の目標である。減価償却などの処理も会計ソフトに入力すると自動的に減価償却が行われるという便利さ。織物の会社というのは機械設備などが多いので、そこも正しく処理していく必要がある。どこまで簡略化できるかも、モノづくりに時間を割くために必要な要素で、今まで税理士の先生にまかせていたことを、滋賀県のアドバイザーの制度を使って、自分自身でできるようになりたいという目標。
2013年12月25日
今日は小幅織物のシャトル耳の調整、一台の織機の耳が汚いので調整をする。テンプルがキツ過ぎるので片側の糸がゆるい。私が整経の巻き取りなども確認をしたビームなので、ビームには問題なし織の問題。テンプルを緩くして、シャトルの糸調子が弱いのでそれを強くする。これでかなり耳が綺麗になる。10分ほどの簡単な調整だが、こういうのを調整ができるのとできないのとでは、織り上がった織物の綺麗さが相当変わってくる。正しく織れば正しく織れるという話。

整経が駄目で綺麗に織れないこともある。山の角度を間違って巻いたり、巻き取る場所が悪かったり、巻き取り幅が正しくなかったり、作業するものが正しく仕事をしないと、大きな失敗に終わる。織物工場の作業の中で織るという工程は一番単純な作業の部類に入るのも事実で、一番素人の人が担当をするところだったりもする。織機の微妙な調整をして綺麗に織れるようにしたり、企画を理解して糸の準備をしたり記録をつけたり、反物を検反して修理したりの作業のほうが高度な仕事で織りながら他の仕事をするのが一人前の仕事。整経も、巻くだけなら素人でも出来るが、糸量の計算や、糸の管理や在庫糸の管理となると少し高度な仕事になる。

たとえば、今日の問題、こんにゃくの糊を付けた織物が糸が滑って作業がうまく行かない。作業しているものが苦戦せいているので、林与先生登場。まず、糸を結ぼうとすると糸が壊れる。出てくる糸が張って重い。光沢感があっていい感じに見える糸なのだが糊加減がきついというのが分かる。糊付けに問題を感じる。こんにゃく糊加工糸というのは作り方に大きく分けて、タイプAとタイプBの二通りあるが、この糸はタイプBだろうと思う。タイプAの糸だと糸にしなやかさがあって、一般の糸に近いしなやかさを持つ糸に仕上がる。タイプBは扱いにくさがどうしても残ってしまう。これはこんにゃく糊だけでなく、PVAやビス加工糸などの一本糊加工にも共通していえること。糊が強すぎて糸の弾力性が無くなると、糸が切れて切れて織れない事もあるので、糊付けは加減が大事。

今日は他にもレピア織機のドビーのピックファインダーの操作する棒の付け根のピンが消耗して落ちたので、交換。ピックファインダーを操作する場所が少しずれているとピックファインダーが無理をする。織機が無理をしていても自分は悪くないと機械を壊すのを楽しみにするタイプの織手もいるが、そういう人というのは上手になることはなく、次々と織機を自慢げに壊していくタイプなので仕事には向かない。何十年持つ機械が、数日で壊れるのも、作業する人の上手下手の差。

気の毒な話なのだが、加減というものを厳しく教えられたことのないタイプの人というのは、なかなかなにが良いのか正しいのか分からないもので、作業をしても駄目、駄目といわれるが、一向に、良い加減の状態というのをつかむことが難しい。スイッチのオンとオフはわかっても、作業する人の中にないといけない微妙な調整というものの加減が出来ない。これは育った環境というものが大きく影響をしてしまうので、綺麗な織物ができる文化というものは、厳しい文化そのものの存在が必要。機械がどうこうじゃなくて、人の中に微妙な加減をコントロールできる力が必要。

私自身、作業に携わる時間というのは全体の時間からすると短いが、医者がオペをするような感じ。現場の職人たちが解決できない問題を解決するのが私の仕事であることが多いが、織機の問題というよりも、人の中の加減の問題であることが多いので、これは人の心理面の問題を解決しないと直らない問題。仕事暦40年とか50年とかの熟練工の人でも仕事が何であるのかということを理解してもらう必要があったりする。少し難しい仕事をしないとならないときには、簡単な仕事を適当に長くやってきた経験が正しく仕事をする邪魔をすることのほうが多いものだ。
2013年12月24日
ノウハウというものは、原材料よりも大事であったりするもの。ノウハウの中には、製造の現場では、使う薬剤や道具、技法、手順など。一つ違うと、違う仕上がりになる。また、出来ない壁を乗り越えるにもノウハウは必要。

大手の商社の海外の社長をされていた方の話で、ノウハウは後輩にも教えないといわれていた。それは商社の世界では人というものは一つの会社にとどまらないもので、後輩といえどもライバルという意味があろうかと思う。

自分自身で仕事を切り開いてきた人にとってはノウハウというものは大事なのだが、ある工場の社長はノウハウを同業者に教えていることを自慢げに語られていて大丈夫なのか?と思っていたところ、結局、同じようなものだけでなく、そのノウハウを吸収し、さらにプラスアルファを加え、上のものを同業者の方が作られる結果になる。

ノウハウの蓄積と機密性の重要性というものの大事さを改めて実感した出来事である。何十年も掛けて蓄積したものが、他に盗まれ真似されることは多いが、自分自身でノウハウを同業者が真似をできるように漏らすというのもあまり聞かない話だが実際にあった話。

ノウハウを教えることが産業の発達に繋がるかというと、同じものが安くどこでも出来るようになり、結局、成り立たなくなるきっかけになることのほうが多い。大手企業の技術が海外に流出しやすいのも、会社が生産先を海外の安価な業者に変えたり、辞めた社員が同じものを海外で生産してぶつけてきたり。
2013年12月23日
車庫の糸の箱にビニールシートが被せてあってそのうえに、母親が石を置いてビニールシートが飛ばないようにしてある状態で、夜、暗がりの中を糸の箱探し。一個の石をどけてビニールシートをまくった途端、足に激痛。もう一個、箱の角に5kほどの石が乗っていた。それが落ちて左足の親指の爪の上を直撃。

それまで眠かったのに、眠気がなくなって代わりに左足が熱い。外見は大したことないが、たぶん、明日は紫になるのだろうか。痛みは我慢できるが歩きにくいのは仕事するのに厳しい。仕事をしているといろんな難にぶつかることもあるもので、それは仕事をしている証でもあろうかと思う。
2013年12月22日
今朝、雨に混じって雪がちらつきました。初雪というのも記憶では40回ほどしかないのに、それほど感動がないというのは、すぶくなってしまっているということでしょう。今回の初雪は、曖昧な初雪なので、初雪としてはカウントしないことにして、次の雪を初雪としたいところです。

地球温暖化現象は着実なものだと思います。特に、水温が上がるという現象を食い止めないと大気の温暖化も進むのは当たり前だろうと思います。寒いのを我慢するのも、基本的なエコで、私自身は、基本着込むことで解決しています。工場の中は寒いですが、服に貼り付けるタイプのカイロを両肩の部分に貼り付けると手の寒さも和らぎます。

カイロも使い捨てなのがもったいないですが、今のカイロは10数時間持つのでコストパフォーマンスは非常によく、移動の多い私にとってはどこにいてもいい感じで、肩が詰まるような肩こりも治まる気がしています。
2013年12月20日
今日は、ある機関からのお話で、東京で麻の布を探しておられる捺染工場さんがあるとか、お名前を聞いてもしやとおもったら、以前、型染関連でネットで調べているときにたどり着いたこともあった、林与が近江上布とは違うけれども昔ながらの素敵なことを続けておられるなあと思っていた捺染工場さんでした。

残ったというのは普通に残れることはまずないので、残そうとされて残してこられたという意思の形ではないかと思うのです。日本国内では流れが着物の世界に戻ることはまずなかろうで、海外のほうが日本のガチな世界のものづくりに高い評価があるもの。

たらればですが、林与も近江上布を作り続けていたら、世界でも一番凝った織物の一つを量産できるという神掛かった力を自負できたでしょうが、今、同じような工程でつくったとして、職人集団を抱える支える必要があることを考えると1反注文が入っても作るかどうか迷うだけのことだろうと思います。

もともと神とか鬼とかいう存在も病気を治せるとかもあろうかと思いますが、よい布を作れるとか、強い刀を作れるとか、農業の知恵とか、人の能力を超えたところから来ているものだろうといえるのです。電気の発明で、産業革命が起こって、当たり前に神が作り上げたようなものが溢れるようになって、人の中に神や鬼というような存在を感じることがなくなってしまった。

たとえば近江上布のハギレ、あれは、神や鬼でなければ作れないものであるのを感じられる感じられないで、私からすると布を見る目というもののあるなしが分かるものです。まずは、柄に目を留められて和調な色柄の豊富さに驚かれますが、そのすべてが横絣であることを語るに、日本の織物の力をPRするのにはよかろうと思います。
2013年12月18日
今日は午後から専門家と相談。専門分野のギャップなどあってその案件は自己解決ということで、進んでいく方向に。実際に仕事を一つ一つこなしている人のほうが、専門家の先生以上の知識ということはよくあるもので、類似の実務をされている方からのアドバイスや類似の実例を探すというのが一番よいのかもしれないなあと思うのです。

出来ればそれが仕事ということ、仕事というのはだれが教えてくれるでなしで、実際に動いて自分の身を立てるということが仕事なのだろうと思います。自分がやろうとするときに解決方法を外に求めるのも賛否両論で、よくいわれるのが、外の人に任せるべきだということですが、そうすると出来ても同じようなものしか出来なかったり、失敗の元になることも多いものです。また、売れたとしても他に依存した技術というのは自社で囲い込むことは難しいものです。

技術の一例で、紡績というのは、数トン単位で行うもので、そういう新しい糸の見本が回ってきてもうかつに手を出し、注文が入っても、糸がもう手に入らないという事態よくあるケースです。今の時代は中に取り込むことが大事で、自分のできる範囲で仕事を増やしていくことが大事。他の人の技術に頼るとその会社が駄目だと自分の計画そのものが成り立たなくなり、約束した仕事ができないという、仕事がない以上に大変な状態になることもあったりで、すべて最初からやり直すような危ない状態も予想されます。

頭で考えているのと実際にやってみるのとでは、同じ仕事だと思っていてもまったく違うもので、出来ないと駄目と言うのが最終的な判断だろうと思います。実際にできれば頭で硬く考える必要もないもので、作業手順を頭で考えているうちは素人だったりもします。
2013年12月17日
今日は昼ごはん久しぶりの食べ放題。することが多く、一日1食で時間を節約のため。肉がメインの食べ放題でしたが、炊き込みご飯とスタミナスープが一番おいしいなあと思えた。だれも手をつけない組み合わせだろう。相変わらず、食べ放題のお寿司というのは、みんながたくさん食べないように無理とおいしく作っていないのだろうと思えるほどにおいしくない。

70歳くらいの女性の店員が働いておられるけど、その人が一番動きがよく、気が利いていて、受付もテーブル案内も、片付け物もやっているし、主力で一番声が大きい。年を取ってから周囲に気を配るというのはなかなか難しいもので、お客さん相手でもタメ口なんかも多いものだが、そういうそぶりが一切ないのがすごいなあと思えた。若い人が多い職場で非常に目立ってしまっているけど一番きびきびとしていてすばらしい。

日本の仕事の現場が必要としている人というのは、クリエイティブな人でなくて、こういう地道な人なんじゃあないかと思う。
2013年12月14日
機械でも手でもできる作業というものがあるのですが、それを機械でやっても手でやっても結果としてのものには極端に大きな違いはないのです。たとえば、経糸繋ぎの作業。私の場合は本数が多ければ機械でやろうと思うでしょうし、本数が少なければ手ですることを考えます。その両方ができるのは、自分自身が両方の能力をもっているからで、機械でやると機械を使う能力が必要ですし、手で繋ぐと手で繋ぐ能力が必要です。

一般的に、手で繋ぐ作業というのは誰がやっても出来るようになるものなのですが、タイイングマシンで繋ぐ作業というのは、作業のやり方を知っているだけでは駄目でより作業の正確さを求められるもので、機械でやるほうが技術が必要というケースです。

シャトルで織る、レピアで織る、という選択にしても、風合いや用途に応じて微妙な違いはあるものの、その両方の作業ができるのとできないのとでは選択の幅というものに違いがあります。何十年も昔の人が使ってきた織機を現代人が使えないというのも面白いところで、誰でも使える織機の出現によって技術が落ちるという典型だろうと思います。

糸なんかにしても、糸商さん経由で買うのと自分で買うのとでは、作業が異なるもので、糸商さんから買うと便利ですが、情報などが曖昧だと逆に問題も多いときもあります。自分で買う分には問題が起きても自分での責任で自分で解決に動けますが、糸商さん経由だと問題が起きたときは、糸商さんが糸の問題に対しての責任を取れる能力というものが必要です。

モノを売るのも同じこと、自分で売るか誰かに売ってもらうのか。同じものが売れとして結果は同じでも途中は大きく違うものです。両方の選択ができるように能力をもっていることが大事だろうと思うのです。モノを買うときにも売るときにも、自分が一番か買いたいものを簡単に買える力が一番大事、一番売りたいものを簡単に売る力が一番大事。一生懸命モノづくりしてオンリーワンなものを作ったとしても流れていかないものだろうというの感じます。

地場産業ですでに確立された世界というのは、どんどんと似たものが増えてきて、成り立たなくなるのを承知で、そこの部分は顔として守っていくためにも新しいことができないと難しいなあと思うのです。新しいことをするためには、手に抱えている仕事以外の部分で仕事して生み出していくという気持ちが現場にもないと難しいだろうなあと思えます。伝統産業の流れを汲む繊維のような業界においては普通以上に仕事するというのが出来ているところだけが結局は残っていける職人の道なのだろうと思えます。
2013年12月13日
今日は、織機に使う錘を取りに滋賀県の甲賀という場所に、気がついたのですが忍者村の近くでした。錘といっても織機専用ではなく、トラクタのフロントウェイトと呼ばれるもので、ひとつが15kg程度の鉄の錘。結構これがかっこいい形をしていて、しかも、重さがあるので、持ち歩くだけでも運動になりそう。

今日は、ほか捺染工場の社長と電話で検討。現在進行中の案件に関して、どんな方法が一番良いのか。再現する必要性があるから仕事というのは難しいとも思える。再現性が必要なければその場しのぎのものづくりで、感性だけでつくればよい。再現するためには、見本を作るときに本番を想定して規格などを決めていく。

夜は、お世話になっている染色工場の社長宅にて食事。仕事というのが損得じゃないものであるのを感じる機会で、そういうものが集まったときには特別なものが作りやすいもの。仕事で損得勘定でやっていて特別なものを作ろうというのは難しいことだろうといえる。
2013年12月12日
機械でも手でもできる作業というものがあるのですが、それを機械でやっても手でやっても結果としてのものには極端に大きな違いはないのです。たとえば、経糸繋ぎの作業。私の場合は本数が多ければ機械でやろうと思うでしょうし、本数が少なければ手ですることを考えます。その両方ができるのは、自分自身が両方の能力をもっているからで、機械でやると機械を使う能力が必要ですし、手で繋ぐと手で繋ぐ能力が必要です。

一般的に、手で繋ぐ作業というのは誰がやっても出来るようになるものなのですが、タイイングマシンで繋ぐ作業というのは、作業のやり方を知っているだけでは駄目でより作業の正確さを求められるもので、機械でやるほうが技術が必要というケースです。

シャトルで織る、レピアで織る、という選択にしても、風合いや用途に応じて微妙な違いはあるものの、その両方の作業ができるのとできないのとでは選択の幅というものに違いがあります。何十年も昔の人が使ってきた織機を現代人が使えないというのも面白いところで、誰でも使える織機の出現によって技術が落ちるという典型だろうと思います。

糸なんかにしても、糸商さん経由で買うのと自分で買うのとでは、作業が異なるもので、糸商さんから買うと便利ですが、情報などが曖昧だと逆に問題も多いときもあります。自分で買う分には問題が起きても自分での責任で自分で解決に動けますが、糸商さん経由だと問題が起きたときは、糸商さんが糸の問題に対しての責任を取れる能力というものが必要です。

モノを売るのも同じこと、自分で売るか誰かに売ってもらうのか。同じものが売れとして結果は同じでも途中は大きく違うものです。両方の選択ができるように能力をもっていることが大事だろうと思うのです。モノを買うときにも売るときにも、自分が一番か買いたいものを簡単に買える力が一番大事、一番売りたいものを簡単に売る力が一番大事。一生懸命モノづくりしてオンリーワンなものを作ったとしても流れていかないものだろうというの感じます。

地場産業ですでに確立された世界というのは、どんどんと似たものが増えてきて、成り立たなくなるのを承知で、そこの部分は顔として守っていくためにも新しいことができないと難しいなあと思うのです。新しいことをするためには、手に抱えている仕事以外の部分で仕事して生み出していくという気持ちが現場にもないと難しいだろうなあと思えます。伝統産業の流れを汲む繊維のような業界においては普通以上に仕事するというのが出来ているところだけが結局は残っていける職人の道なのだろうと思えます。
2013年12月11日
今日は、ストール生地に関しての問い合わせがありプリントに使われるそうで、リネン60番手のオフ白を織り上げたものがよいのではなかろうかとお送りしました。林与もストールへのプリントには興味があるのでこれからの展開に期待です。

今、大学も冬休みに入ろうかと思います。厳しい現場経験を積みたい大学生の方、冬休み体験プロジェクトに申し込み下さい。申し込んでいただいた方全員にチャンスがあるわけではありません。(書類審査と面接審査あります。履歴書をお送りいただき、書類審査通過の方にはご連絡差し上げます。)この春からアパレル関係に勤められる方など、織物の現場を知るチャンスではなかろうかと思います。
2013年12月09日
集落の中を車で走っていると、いつも歩いているおじいさんに出会います。一日中、集落の中を歩いておられるようで、赤ら顔のおじいさんで、たぶん、お医者さんのアドバイスで歩きなさいということなのだろうと想像しています。数年前、毎日犬と散歩されていた近所のおじいさんも糖尿病で両足を失い、しばらくの後になくなられました。

私が思うに元気に動けているうちというのは幸せ。仕事にしてもしたいと思っても、できるときにしておかないと、一旦出来なくなるともう現役に戻ることは難しいもの。私も中年ではありますが、まだ、視力がしっかりとしているので細かな作業もできてありがたいと思います。

昨日から、縫製を進めています。縫う縫うばかりでイメージからするとジーンズの縫製と似ているのではなかろうかと思うような作業です。本来は他のものと一緒にやれば早く済むのですが、この作業をいつも縫製をしている母親に説明できるかというと、たぶん難しいので、私一人縫製に打ち込んで他のものは他の作業。

今日も出荷のための検反をしましたが、生成の反物を再加工するとなぜか、色落ちして、色の落ちないところもあるので、強い色段が浮かび上がってきた感じです。再加工する前というのは色段には気がつかないほどでしたが、再加工の際に漂白工程が行われたのか、かなり色が落ちてしまて色段が出現したようです。

生成で怖いのは、色を合わせるために染色するという紡績工場もあったりで、加工すると色が落ちて問題が浮かび上がる生成やP下が存在するというのは、海外で生産されて後染めして、パーツごとに色が違う服が出来上がってしまったとか聞く問題です。また、そういう服を染めたりして色をつけて一様に見せるのですが、服を洗うと色落ちがパーツごとに違い問題が再現されるとか。よく失敗談として聞く話です。
2013年12月08日
今日は朝、先月東京まで納品に行ってもらった親戚のおじさんが会社に2歳のお孫さんと一緒に来てくださり、このくらいの子供は、事務所や倉庫の生地の中で遊んだり反物を運んだりが楽しいようで、将来、会社手伝ってや、という淡い期待です。

東京に新幹線で行ったときに重いスーツケースを二つ駅の階段などを両手でそれぞれ持ち運びした影響か、体が妙に痛く太ももも疲れている。駅を移動中などは乗り換えや電話できるタイミングとばかりにテンションが張っていて重さを感じないものが、緊張感から開放されると疲れが出てくるのだろう。普段の仕事はしていても車ばっかり使っているので運動不足の影響も大きい。

今日は、ミシンを踏んでアイテムを縫製、縫製というのは手間が掛かるが自分の手で形が出来上がっていくので面白い。縫製は人が機械を補助しながら動き続けることでものが出来上がっていくもので、生産性を上げるということは難しいものだなあと思う。ミシンの上にすべての世界が詰まっていて心地よさがあるもので、普通のペースの仕事なら疲れるということは少ない。ミシン一台で食べていけるというのは良くできた職だなあと思う。織物というのは織機を一台持っていても駄目で、一人が4台くらいは最低面倒をみられないと成り立つことは難しいだろう。

ミシンというのはミシンメーカーといえば、JUKIがBROTHERというほど日本メーカーの2社が生き残っているので、まだメカニズムか堅牢に進化し続け、進化に失敗したときには、堅牢なモデルに後戻りできる。進化に失敗というのはおかしな話だが、初心者でも縫えるようにするために進化すると業務用と家庭用の区別がなくなり始める。

工場内ではストールの見本つくり、ストールの生産も2月くらいまでは予定が埋まり始めて、来年の頭くらいから新たに企画をスタートし取り組みを始めるブランドさんなどを加えると3月末くらいまでの生産が8割以上埋まった感じであとはどのくらい無理をするか。アパレルさん以外の仕事のお話なども増えそうなお話もあって簡単な仕事ではないけども経験を積んでいくのかいかないのかで、実際に会社としてできる仕事の範囲が大きく変わる。
2013年12月07日
今日は東京のアパレルブランドの方が朝一番で起こしになられ、展示会だけでは見ることのできない色柄のものを、会社までお越しになられるとご覧いただくことができるので、それが滋賀県まで脚を運んでもらうメリットではなかろうかと思います。

今、産地はシーズンに入ってどこもが手一杯な状況にあります。季節的な要因が絡んで、春夏の仕事の少ない時期に余剰人員を抱えることができず、職場の人数を少なくしているがために、シーズンに入るとすぐに手一杯になってしまうという状況。これは決してよい状況ではないといえますが、今の時代の小ロット多品種のものづくりに順応したがゆえの結果であろうかともいえます。

小ロット多品種の生産システムは、いつでも同じものをつくるのとは違って、意図的に違うものを正確に作り分ける必要があり精通した人が必要なものです。小ロット多品種が、印刷のようなものであれば設備は同じで生産量が違うだけみたいな程度ですが、織物の場合は、材料、染、機、など一から用意しないといけないことが増えてくるもので、本格的なものは、見本を作るときでも何ヶ月も掛けて作ることが多いのです。

どちらかというと縫製は自動車や家電のようなアセンブル産業と似ていて、織物というのは電子部品製造や基盤製造のような製造業に近いイメージではないかと思います。CPUやメモリなどの電子部品分野も撤退して久しいのは、汎用性が高いがために価格競争に晒されやすく、需要が安定していないと成りたたないという事情があろうかと思います。縫製工場が案外たくさん残っていながらも織物工場というのは少なく、さらに紡績工場となると日本では本当に難しい業種になります。

紡績業が撤退をしただけでなく、糸在庫なんかにしても、国内に糸を在庫するということが悪であるあのようになってしまって、糸商さんが糸がないということがよく起こりえます。長年のお付き合いのある糸商さんというのは品質の高い糸を持っておられることが多いので、そういうところから積極的に糸を買おうとするのですが、高い糸というのは使うところが少ないので、安価な糸に流れてしまわれ、どこでも同じ糸しか入らなくなるもの。日本で流通するアパレル向けのリネン糸なども世界の10社程度の糸が99%ではなかろうかといえるほどに日本品質で普通に織物に使える糸というのは限られてしまいます。

展示会に行くとリネン糸メーカーというのは何十社もあり、ブースにセールスにも来て下さるのですが、糸や織った布をみてもマットな感じの仕上りで、私の求めているリネンの品質や表情とは一見して違うものです。アパレル向けに使おうとすると見た目だけでは駄目で製造方法も非常に重要なのです。糸メーカーの人がそのあたり理解できているとまだ安心ですが、糸をつくる糸メーカーの人が糸を作るときに諸問題を想定していないと生地となったときや洋服となったときの見えない品質の部分で引っかかってくるものです。

実際の消費者というのは、色が少し落ちても当然のことと捕らえ、細かい品質よりも着心地や風合い重視だったりするのですが、日本の検査というのは合成繊維の工業検査的なところがありますので、検査に引っかかるのも当然の検査手法がとられていたりするものです。そろそろ検査手法も素材のプロの目で素材ごとに見直すときがきているのではなかろうかと思います。リネンのものを水洗いするのが前提の時代になってきたのですから。

よく、海外のリネン生地がすばらしく思えるかもしれませんが、同じことを日本でやっても品質基準に引っかかって販売すると製造元が大きなリスクを被るか、あるいは、堅牢度を上げたり滑脱をクリアしたり、収縮をクリアするために、特別な技法が必要となってくるものです。海外のリネンだとしかたないということで許されるものです。インポートのリネンの服には品質基準が適用されないのでは、生地の段階でのハードルの高さが数倍違うような競争が後ろにあったりするものです。

海外生地の場合、加工の段階ですでに色泣きしてしまっているようなケースも多く見かけ、素人が染めるに近い直接染料で染めてしまっているのか、あるいは反応染料でもリネンを染める前提で染めていないから染料が落ちてしまっているのを良く見受けるのですが、それが日本のメーカーに許されるなら日本の生地のものづくりも低コストで世界と競争が可能になり、デザイン重視に動けるのではなかろうかと思います。
2013年12月05日
今回のハーベスト展では、パノコさんが考えられたゴールデンラック企画。それは、各社が販売などを想定しないクラスの特別のものを展示する場所。他社さんは、カシミヤ100%、フェイクファー、人工芝みたいなシルクの織物などなど、自分のこだわりを詰め込んだ数点を展示。他社さんが凝った感じのもので攻められるなか、林与は、薄い平織りのシンプルな3点をチョイス。他社の織物と比べると、なんじゃこの力の抜き方はと思われるかもしれませんが、私が見て自分自身が麻布をつくるときに手本とすべきものづくりの3種類を倉庫から選び展示しました。

1点目は、林与がサブロクの織機で織った50年ほど昔のリネン150番手生成。ここに産地のリネンの歴史が詰まっているような気がします。着物の時代からアパレルの時代に移って、最初の頃に作ったリネンなはずなのに、私が見てもそのリネンは今でも目標にすべきくらいの仕上がり。2点目は、コットンリネン、とても上質なコットンの単糸を縦に使い、横には140番手。3点目は、綿麻(コットンラミー)シャンブレー。こういうものが市場から姿を消して存在すらも誰も知らないかと思うので、こういう機会に展示して見てもらおうと思いました。

弊社のものは別としましても、お金を掛ければやはり面白いものが出来るのだというのを感じました。フェイクファーがオーガニックコットンで出来ていたりしたのには驚きました。しっかりとしたカシミヤ100%の素材なんかも糸値だけでもすごいはず。どれも個人の消費者なら欲しそうなものじゃないのかと思うところです。純粋に良い物をつくりたいと思って材料にお金を掛けたり手間隙掛けたりなので成金というわけでもなく。

林与の数万円のリネン生地は売れてしまって、ほとんど在庫がありません。次に作ろうと思っても作るのに気合が必要すぎて、注文をいただいても出来上がるのは1年後とかになろうかと思うのです。
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