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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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2013年06月07日
今日は、横糸の打込本数を一色間違えて織ってしまったものがあるのに気が付いて、さてどうしようかという大きな問題。横糸は余分に染めてあったので、縦をもう一度整経して織ることにしました。他にもPTJで始めて出会わせていただいたお客様からのサンプル分の生地の注文なども頂き、用意を進めています。

午後からは縫製をしておられる同級生の方が新しい商品を作りたいというので生地を検討に来られ、そのあと近くの別の方がストールの案件を持ってきてくださいました。リネンキッチンクロス25HDシリーズの生地もたくさん作ったのですが、10色のうち何色も在庫がなくなり売り切れの状態で、ネットでご注文いただいているみなさま対応が遅れておりすみません。現在1ヶ月くらいの間に色を全色揃えたいと準備を進めています。

林与が打ち出したリネンの厚織キッチンクロスのHDシリーズ。使っていただいた皆様に良いとの評価を多く頂き、林与のリネンキッチンクロスの定番として定着もいたしました。織るのが大変なので時間がかかってしまって、たくさん作れるものでもないので、お待たせしてすみません。丈夫に作りましたので、何十年も使い込んでいただけるものと思っております。

なお、林与のキッチンクロスにつけている「HDシリーズ」というのは、ハイディフィニションの略ではなく、ハイデンシティとヘビーデゥティを掛け合わせて名づけました。
2013年06月06日
昨日は、お昼からアパレルさんのAW展を見せていただき打ち合わせ、その後、百貨店さんでリネンハンカチに関して打ち合わせ。夕方は、渋谷でデザイナーさんと食事。朝からあまり食べずに一日動いたので、夕食のタイ料理のタイビールが体に染み渡る感じでした。

東京も麻の洋服など真っ盛りな感じで本当に多いですね。弊社の素材ではありませんが、青山通りに薄いオフ白なリネンのワンピースがショウウィンドウにディスプレイされているのをみて、リネンの細番手というのも浸透してきているのを感じます。私自身がその白い一枚のワンピースを見るとリネンの良い物であることを良く分かるのですが、一般の方が見られて肌着のようなその薄い白いシンプルなワンピース、どこまで分かってもらえるのか。

たぶん、敬遠するような透ける薄さというのは、企画もされずに服にならないので、そういうものがリネンの高級なものであるというのを浸透させることは難しいというのを分かりながら、ジャパンクリエーションに始めて出展し始めた辺りから、この7年ほど取り組んできました。時間は掛かるだろうと思いながらも、昨日、東京でシンプルな細番手リネンの白のワンピースがショウウィンドウに単体的に展示されているのを見て、リネンの特別クラスのものに対しても売り場に並ぶことが冒険的にも行われ始めたのかと思うところです。

生地の展示会などでも、薄いリネンのエレガントさに惹かれアパレルブランドさんというのは多いもので、ブランドさんが高級であればあるほどその傾向は強くなるように思います。それ自体は、作り手の価値観と高級アパレルブランドの目が整合をして、麻の世界の価値観に矛盾がないの思うのです。パリのコレクションのラナウェイを飾るような洋服が市販されていてもいいんじゃあないかと思うのです。市場がそういうものを受け入れることによって、より、コレクションもよりよい素材を使えることになり意味をなしてくるかと思えるのです。

洋服を作る人なら素材に憧れるというのが普通で、同じ洋服を作るときに、縫製は同じでも素材が違うとまったく違ったクラスのモノづくりになるので、作ろうとされるアイテムや価格帯、ブランドイメージなどに応じて素材は決まると思います。

一般には売れるものがよいものだという価値観があろうかと思いますが、作り手からみたものの良し悪しの価値観の世界というのは、また別物だったりします。作り手が良いと思って作ったものが売り場にあうかどうかは、今日の青山通りのショウウィンドウで見た薄い白いワンピースが売れるかどうかより、まず、見た方に良いと思ってもらえるか思えないか。

そういう薄い素材で洋服を試作される意気込みというのは天晴れだと思います。林与も一部百貨店のメンズでお使いいただいているのと、レディース向けは、その薄さにあったリネンブラウスやリネンチュニックという形で、リネン150番手なども使って洋服の形にするまでを行いました。

洋服の形として見てもらうことで、どう素材を使うかまでのイメージをアパレルのデザイナーさんにも分かってもらうところまで必要です。洋服としての完成度も含め、麻の世界のものづくり形としてしっかりと残したいというところあります。洋服の形にまですると一般の消費者でも分かる人がみると分かるものです。そういう世界が成熟してくると昔の日本の布の世界のように、生地に対する見方も本物になってくるのではなかろうかと思います。
2013年06月05日
今日は、アパレルさんと百貨店さんとの打ち合わせで東京。青山通りを歩いてみた。天気が良すぎて、ジャケットを着ているとほんと暑い。歩き疲れてスパイラルホールで休憩、2Fの窓際の無料の休憩場所、布の世界の人の考えることというのは暖かいなあと感じる。

素材の世界というのは、商品になる一歩手前の休憩しているような状態なのかもしれない、商品にせずに休ませておくことも一つの選択だろうし、商品になっても売り場で休んでいることも多いもの。

ゆっくりと座って時間を過ごすのもよいものだ。太陽が傾き、日差しの強さが変わっていくのも感じることができる。街路樹も同じ気分なんだろうが、重力に反して上に伸びていく分、偉いものだ。ちょっと裏通りも歩いてみた。裏通りにはお店ばかりでなく、人の生活があってよい。

布の世界が資本力みたいになってしまうのはどうなんだろうと思うので、テキスタイルに興味のあるひとの輪を作ってしっかりと業界を支えていくことが大事だろうと思う。支えるということは毎日、木に水をあげるようなこと。これをするのがなかなか難しいもの、自分が育てた木が他の人から見れば別に特別でなかろうが、自分にとって大事であればそれで十分であろう。

スパイラルホールの壁に飾ってある白と黒の抽象的な絵、5人がかりでディスプレイしているが、私にはその良さはあまり伝わらないが5人が楽しそうに作業しておられるのをみるとその5人の方々にとっては特別な絵なのだ。なぜか鳥人間コンテストを思い出した。距離が大事なのではなく、人の力で飛ぶことが大事なのだ。
2013年06月04日
今日は午前中、電車に乗って京都、夏の日差しを感じます。京阪で山科から三条に向かいました。市営地下鉄で山科から三条に向かうほうが安いのですが、京阪山科の駅の雰囲気がレトロでいい感じがして。

毎日が足早に過ぎていき、今の目の前にあることに直面して一つ一つこなしていくということすらも難しいことも多いです。でも、ちょっと新しいこともやってみようと思って、三条京阪に小さなスペースを借りることにしました。

ミシンを一台とテーブルを置くと一杯になっちゃいそうなスペースですが、アクセスの便利な場所なので、私のほうが動くなどもして、デザイナーさんや小売のお店さんなどとの接点も増えるのではなかろうかと思います。

2013年06月03日
食生活に関しても外食がおいしくないと感じる方は多いものだと思います。本場というのは基本的な水準が高いもので、すきやきなんかに関しても、近江は本場であって、有名な近江牛のレストランで外食するよりも家でつくるすきやきのほうが贅沢でおいしかったりするものです。

ハンバーガー、うどん、ラーメンなんかにしても、本職でお店を構えられていてもそれほどと思えるよりも、外食に多い、インスタントな味が香ってしまうのはどうしようもないところだと思うのです。お米なんかも外食のお米というのは食べられるけどおいしいとまではいえないものです。

1000円までの、手ごろなお店でも、「はせがわ」というレアハンバーグステーキのお店の白いご飯が、食べ放題でおいしかったのには驚きました。ハンバーグも肉の味を知っているだろうからでしょうが、レアハンバーグが売りで、子供向けの味ではないので家族連れには向かないかもしれませんが、人気の近江牛レストランの味というのがご飯からしてくたびれているのに対し、かなりよい感じに思いました。

滋賀県のほかの名物に、ふなずしがありますが、あれを一番高い食べ物として評価できるあたりも、滋賀県の目だろうと思うのです。自分の家でふなずしを漬けるだからその価値も分かる。お客さんが来たときにもてなすために食べてもらうものを自分自身が食べずとも常に用意しているというのが近江の慣わしでした。

近江の商売の考え方が損得勘定じゃあないというのも大事なところで、損得勘定に交じるとその味というものも毒が入り変わっていくものです。自分自身が使うのももったいないものをつくり、お客さんに用意するというのが商売をする前にもっている基本であったのだろうと思うのです。

ものの価値が分かる人がいればよいですが、作っている人の中でも、ものの価値が分かる人が少なくなったのを感じます。お仕事のお客様とお話していても、他でも作れるとかを自慢げに話されたり、他と何が違うのか分からないといわれる場合には、それがそのブランドさんの変わることのないコンセプトであり、逆に海外の生地も安価で品質も安定してきていますので無理もなくお勧めだったりするものです。

林与の生地の背景も分かって使っていただいている皆さんも多くくださるので、そういう皆さんだけに支えてもらうものづくりのほうが、ものづくりのブレもすくなくてよいものです。
2013年06月02日
仕事というのは、自分が何ができるのかということが一番大事ではなかろうかと思います。ものづくりの感性みたいなものも、他と同じになったら駄目だというのは、他と同じことに流れて居ても居なくても同じみたいな存在になってしまうのは、特に小さな会社が存続するためには危ういことです。

私がよく言うのは、10回やって9回は、正しく流していく力がないと食べていくことはできないということです。売れる新商品をつくるとかいう以前に基本的な仕事ができないと駄目だといえるのです。大学や服飾関連の先生などともお話をする機会があるたびに、先生方にはそういうところをしっかりと指導してほしいということを伝えます。

また、新しいものをやるときに、10回のうち何回かの失敗を想定していないのも同じく、素人で、軽い気持ちで新しいものをつくろうと布の企画をやると失敗するのが普通で、それをフォローするためには本質的な知識と本当のものづくりの力が必要。

最近は、保育園、幼稚園が遊園地化してきていて、あれはあんまりよくない流れだと思います。子供たちの国際競争力を小さなときから奪ってしまう感じです。子供はしっかりと歩いて寒さ暑さに耐えて、現実社会に出たときに、ぬるま湯のたまり場というのがみんなに用意されている訳ではなく、ゼロからでも引っ張っていけるような人こそが大事なのです。
2013年06月01日
今日は、京都の三条から四条界隈を散策しました。私は高校と大学のときに7年間京都で過ごしましたので、懐かしいなあという思いがある一方で、学生のときに興味のあったものと今興味のあるものとがまったく違うことに年を取ったことを思います。

京都というのは、コンパクトでうまくまとまっているなあと思えるのは、各通りごとに味のある店並みがあることです。四条通りにはブランド、寺町は洋服店、新京極はお土産、お酒は木屋町、祇園。歩ける県内に固まった形で業種が分散し、すべてが歩ける圏内に凝縮されているといのは、ウィンドウショッピングするにのはよいものだなあと思えます。また、自然と周るの動きが生まれるので、すべてのお店に観光客の目が行き渡るものです。また、歩き回るのでお腹も空いて食欲もわいてくるので食べ物屋さんも繁盛する。

感じたのは、この界隈というのは学生のときよりも人が集まっているということ。人が少なくなる流れの中で、京都というのはやはりよいイメージが保たれていて、単に観光スポットというだけでなく、その後ろにはお寺や大学という精神的、哲学的な部分をしっかりと押えているであろうことかと思うのです。

京都のラーメン屋さんが、チェーン展開に成功したのは、深夜まで営業をしていて、学生たちに味を覚えてもらっていたことだろうと私自身の経験から感じています。全国にチェーン展開しても、そのラーメンを食べると学生時代の思い出なども蘇るもので、贔屓のお客が全国に散らばっているようなもので見捨てられることは少ないものです。
2013年05月30日
「林与」の会社案内を、初日は40部ほど今日はお昼過ぎには30部ほどがなくなり、今回もバタバタとご用意させていただいた冊子70部をもらっていただけ目標はクリアでした。たぶん、ゲストのお客様以外に出展者の方で林与に興味を示していただいた皆さんが、たくさん、もらって下さった可能性があってそれはそれでうれしいことでした。

展示以外に交流会的なセミナーなども開催をされていたので参加しました。元気にされているなあと思ったのが、以前、リネン日記でも取り上げたことがありますが、テキスタイルマルシェ参加の企業さんで、わいわいとやっておられるところと言うのは、新しい生地なども自然にモーティベイトされて生まれてくるものだと思います。作り手が楽しみながら生地が生まれてきてそれが自然とお客様のお手元に届くような流れが、周りから見ても心地よいものです。

ものづくりの本質が献身的な気持ちがそこに流れている限り大きな歪はないですし、損得だけが判断になるとやらないほうがマシな事も多いものです。織物の業界なんて、家族規模で守っているところが多く、献身的に守っているから成り立っているようなもので、食べつくしてしまおうと思えば培ったものすぐに食べつくして終わり、逆に、新しいところでも大事に独自のものづくりを育んでおられるところというのは、5年10年動かれるだけで一つの世界を作り上げられるものです。

林与の場合どうなのか?単純作業においても年季があるなら若い人に負けたら駄目だろうと思います。一番怖いのは、年配の経験のある人たちではなく、これからの意欲のある人たちです。これは同じく、日本のものづくりが空洞化してどんどんと海外のものづくりのほうが美しくなって来てしまっているのと同じ流れ。かつては、日本の自動車でもアメリカ進出した1970年代には、フリーウェイでまともに安定して走ることができないレベル。それを乗り越えたものの、スピリッツが消えたときに、また次の国に5年10年で追い抜かれていきます。

伝統工芸などの職人を育てるべき産業を育むべき家業の主クラスでも、今の時代のものづくりになびいてしまっては海外の量産のレベルにすぐに落ちてしまうものです。それはほんとメンタリティな問題、失礼なことも承知で先代の世代の70代や80代の職人の指導するべくクラスですらも、今の国際的な競争に晒されている小学生のメンタリティにも負けてしまうのもときおり感じるのはさびしい現実。

産地や歴史などにとらわれず、やる気のある人が四苦八苦されながらものを生み出していく形を応援することそこが、偽装問題なども防ぐ一番の手立てなのかなあとも思うのです。世代を超えてものづくりを続けていくということは非常に難しいことですが、新しく麻織物に参入をされた方も、今の流行だからというのではなく、厳しい時代にも自分のものづくり守り続けていただきたいものです。
2013年05月29日
今日は朝彦根での会合があって、そのあと、インテックス大阪でのRINCROSSING商談会に向かいました。電車に乗り換えで3時間弱の道のり、途中、駅で月見そばを食べました。おいしいことおいしいこと。

インテックス大阪の建物は、ビッグサイトと同じで、巨大すぎて、展示会場の何十倍もの空間が使われてしまっていて、大きいことはよいことだという昔っぽさを感じます。優雅な余裕は大事なのですが、人が、平均すれば十数平米の空間に押し縮められながら毎日の生活や仕事をしているのにアンバランスだよなあと。

RINCROSSINGのイベントは6号会館の2階で、テーブルをシェアさせていただいたのは、富山の松井機業さん、シルクの高級な襖素材を製造されている会社です。反対側の近くのブースには京都の泉工業さん、小型の合糸撚糸機がテーブルの上でくるくると回りながら糸を作っていました。反対側には綿のガラ紡の糸を織っている会社さんなど。

会場についてすぐに交流会で、岡山の綿ハンプのタケヤリさんのお若い担当の方とお話し、ハンプ布に使っている綿の糸などの話は知らなかっただけになるほどなあと思ったりしました。ハンプの世界というものは、定番的なものが普通に流れているということでうらやましく思えるものの、普通に流れるものというものはそれなりに価格の競争もあったりで大変だなあと思えたりです。

いつもは大阪にきても観光をするなんてことはないのですが、今日は、新世界でご飯を食べてみたいと思い、新世界名物の串かつを初めて食べました。これほど串かつのお店が多いと競争も激しいでしょうが、これこそまさに名物の世界だなあと思えるのです。通天閣の近くにスパワールドがあって入館はしませんでしたが、後学のために入り口周辺で概要を知り次は使ってみたいなあと思いました。
2013年05月28日
今日は朝からしとしとと雨、夕方、インテックス大阪で行われるRINCROSSING展示会の準備に行くために昼の間は、会社案内などを作ったり。中小企業基盤機構主催の中小企業総合展に合流してのイベントで初参加なので、まずは経験から。

繊維の世界も技術革新的な商品開発に長けておられる分野と、もう一方ではそのまったく逆に位置するであろう揺らぎやローテクであることを追い求める味の世界がある。今回の展示は素材を見ていただくというよりも会社案内や出展者同士の交流の場になろうかと。

林与も、30日は11時から18時まで会場におりますので、麻関連でのご案件などございましたら、サンプルなどもあまり用意しておりませんが、会場まで脚をお運びいただけますと、いろいろとお話させていただく一つの機会となるのではないかと思います。
2013年05月27日
今日は朝から糸を染めるため糸の準備をして、染工場さんに糸と指図を投入しました。林与にしても同じ色でも染めた時期が違うと染料が違うこともあるので、リピートの場合、その染色ロットと同じ色に染めないといけないので、単に色番だけではなく、いつのどんな染なのか調べる作業が付きまといます。

縦糸と横糸に使うのでは、染め方が違う場合があったり、糸に糊をつけたりつけなかったり、縦にも横にも使うとなると同じ色で縦用と横用ができるとややっこしいので、一番安全な方法で染めることになります。

午後からは、昨日、織る注文をいただいたのでその分を糸の染を待っている間に織ってしまおうと、在庫の横糸探しを行い、何十メートルかパンツ用に織りました。しっかり目に織っておこうと思って、打ち込み本数を決め、パンパンに近い状態です。

厚い織物というのは織機を苦しめることになるので、標準的な密度で織りたいものではありますが、普通じゃなく見栄えしたり、面白くみえるものは、普通じゃない要素が必要だったりします。

でも、今回の分は、次に同じものができるかどうかを確約しなくてよいだけ、気はすごく楽。アカデミックなモノづくりでは、こういう部分を大事にとなるのでしょうが、一般的には、布づくりというのは、再現性をもたせるためにどれだけのお金と時間を使うかという戦いだったりするものです。手間の掛かるモノづくりほどもろく、同じものだけを作り続けるところが強いのも再現性

今日使った横の糸などは私が仕事を始めた頃にすでに在庫としてあった糸。ダンボールの箱から取り出すと撚糸が掛かって何十年も経っている糸ですが、この糸たち100年どころか、たとえば、1000年後でも糸は残せば織ることできると思うほどです。
2013年05月26日
今日は朝、大阪からお客様がお越し下さり、食事のあとお客様が北川織物さんで生地を見られるということでファブリカ村にご一緒しました。久しぶりに、お会いした北川さんのお母さんも、私以上に林与の昔のことを良く覚えられておられ、懐かしいお名前がいくつも飛び出してきました。

ファブリカの上の部屋で陽子さんが作れられた生地を説明されるに、自分ひとりだけでなく昔一緒に生地をつくられたお父様の思い出なども生地には詰まっているのが良く分かるのです。思い出の詰まったその生地を価値がわかって欲しいという方には、敢えて販売される。布というのはつくろうと思っても一つ一つそう簡単じゃなく、大事に使って欲しいという気持ちよく分かります。

他のアパレルさんとの昔のやり取りのお話なども、生地というのは使うアイテムによって基準が変わるなど単にデザインだけではなく用途を考えた物性の考慮など、私も展示会などでもよく、ストール生地を服に使いたいとデザイナーさんの方がおっしゃって下さり、洋服でありがちな根本的な問題をご説明することも多いもの。

昔の近江上布なんかも今だとアパレル向けには硬くてごわごわだといわれますが、それは着物の世界の規格としては完成された形の極みで追い求めた挙句の最終形であったりもします。リネンにおいても形をつくるところからはじめ、何十年も同じ形を守るのも、今では、どこもがやられて同じに見えても、生み出してきた歴史なども考えると、林与にとっては、別のところで大きな意味のあるところです。

マーケティングの専門家が大好きな世の中にないような布をつくればつくるほどそのリスクは累乗的に増え、マーケティングの専門家が目を向けたがらない根本的かつ基本的なものづくりの問題に繋がるもので、今の時代が検査検査になるのも布から布の物性を感じることができないものづくりにあろうかと思いますし、検査よりも商品を作ってしっかりと叩いてみることが大事という基本プロセスの大事さを感じます。

検査機関に検査プロセスの意味のなさを理解されていないことが多く、何十年の実績があり売れ筋の布が検査では落とされるというようなパラドックスもあって、洋服のプロであるはずの世界がそんな数値に縛られるというのも酷な話です。

世の中にない斬新なものを出していこうとすると、そういうパラドックスに気がついていないと駄目なのですが、本質的なところに解決方法が見出せたとしても、無味乾燥なものづくりでは数値に縛られ、たとえば色によって物性が異なるなどのトラブルだけに終わることも多いものです。色によって打ち込みなどの規格を換えるなどの匙加減も実は昔からあった手法なのですが、今の人というのはそういう匙加減しらないものです。

色の問題に関しては、数値に縛られたものづくりでは、何らかの避けることのできない違う要素が存在するときに、解決方法がないのです。たとえば、黒の織物をつくるのと、白や生成の織物を作るのでは、素材そのものが染色物性も化学変化的に安定している合成繊維では同じかもしれませんが、麻織物では今の染色や染料の特性を考慮するとその色による違いは、染料の選択を替えるなどして物性を高める必要があるのです。

これは、今は、どこの染色工場で染めても同じ傾向がでる感じ。分業の専門家が集まると起こりがちな問題で、世の中にない良い物を出していこうとすると、色が違うと規格が違うというのも、実は色による染料の物性の違いを考えると当たり前のことだったりするのですが、そこまで考えるものづくりする人は完全に超えた試作を積み重ねて積み重ねてのモノづくり、数値と規格の両方に縛られると改善方法も無くどこまでも深みにはまることになります。

洋服などでも数値をみて安全というのではなく、一度試作していただくことを前提とするのが、プロがプロであるがためには、押えておくべきポイントではなかろうかと思います。デザインなんてものも感性に基づくもので、数値基準で縛るそれ以前のところで、大丈夫大丈夫でないという判断をしないと、ヨーロッパの数値に縛られないクリエーションの世界と比べると見劣りしてしまうものです。
2013年05月25日
滋賀県は人口の増えている県でありながらも、かつて栄えたところほど過疎化という問題は進行するものです。地域も色が濃すぎると順応しにくく、その場所に思い入れをもった人だけが残るような形になります。まれに、新しい人が入ってこられたとしてもそれは奇跡的なこと。

ニュータウンブームと呼ばれた場所もいつの間にかオールドタウンになり、60代、70台の方が増え空家が増えています。家というのは厄介なもので、同じ場所に立て替えようとすると、1年ほど他の場所を借りて家財道具を一切合切移して住まないとなりません。家が出来上がるとまた引越しです。田舎の家ほど持ち物が多いものでそれがなかなか難しく、新しい家は新しい場所でということになりがちです。

建て直しの際に、市町村が仮住まいの場所と保管する倉庫を準備するだけで、人口の流出なんかも防げるのかもしれません。世代を同じ場所で循環させることというのはそう簡単じゃあないもので、一旦、空家ができるとゴーストタウン化って案外早いものです。家があっても人が住んでいないと家は土に帰ろうとするし、空家の横に新築の家を建てるというのも侘しいものだったりします。

林与の会社の建物も、建った25年前は、田舎にふさわしくないド派手なカラーに思えましたが、25年も経つと景観の一つとして落ち着いた感じもいたします。
2013年05月24日
今日は、朝一番にリネンの糸が届いて、会社には4トン車は入り難いので、会社から3分ほど離れた場所に荷物を受け取りに行く。そのあとすぐに、出機さんから電話があって、そのうちの1箱を出機さんに持っていきました。

吼えるほどに元気にしていた犬がいつもと違って元気がなく後ろ両脚が悪くなったので聞いてみると、道に飛び出して車に轢かれてしまい、意識不明で病院で1週間、意識は戻ったものの脚の神経がやられてしまったそうで可哀想な話。

今日はコズミックワンダーさんから、瀬戸内国際芸術祭のご案内をいただきました。3年に一度の瀬戸内海の島々で行われるスケールの大きな芸術祭。アーティストの前田征紀氏も名前を連ねておられます。7月20日から9月1日までロングランで行われるので夏に時間を見つけて行ってみたい気がします。会場として船で渡らないといけない島々を選んであるのも芸術祭の主旨自体が島々に来て欲しいという思いの詰まった芸術祭であるのを感じます。

私自身は観光地というのは俗化しすぎる傾向がありあまり好きじゃあないので、自然を眺めたり、昔ながらの小さなお店で買い物をしたり、現地の味が食べれればそれが旅の良さというものだろうと思います。旅をするときに現地では自分の足で歩き回り疲れることも大事じゃないのかと。
2013年05月23日
今日は午前中お客様、午後からもお客様、夕方は彦根での会合。一日仕事が進まないままに、出来ていないことを順番に取り組んでいく。

人生でやりたいなあと思ったことは、チャンスが訪れたときにはやっておくべきだろうなあと思う。そう人生に何度もチャンスは無いものだ。失敗しても他の仕事で取り返せるなら、やらないよりは何倍もマシだろう。あーだ、こーだ、言っているだけの、その他大勢に入りながら成功しようとしてもなかなか難しい。あーだ、こーだー言っている暇があるなら、体と時間を使って成果を生み出し自分のものとするのが仕事。これは農業に通じるものがある。
2013年05月22日
「三方よし」の考え方というのは、経営者が学ぶものではなく、丁稚さんに教える程度の基本的なことです。自己犠牲こそが三方よしの基本で、それは丁稚の状態から経営者の状態まで貫かれるべき精神であろうかと思います。

また、「三方よし」の精神というのは少し話をするとすぐに分かるもので、これは近江出身だから云々というのではなく、心優しい人がもつべき精神で、ときには、それに反する精神に対しては非常に厳しく対応する必要もあります。

興味深かったのが、「三方よし」を経営哲学に取り入れているかという、滋賀県と龍谷大学が行った調査です。近江湖東地域の企業には、経営哲学なんてものがそもそもないことが多いということで、それは、経営だからといって人が生きていくときの信条をベースとしているからです。丁稚さんには「三方よし」の考え方を理解するのは難しいもので、なぜそれで商売が成り立つのかというあたりだと思います。北風を吹かせる商法が良くありますが、それは「三方よし」とはまったく逆の考え方。

「三方よし」の精神では、相手を助けることが商売の基本で、宣戦布告なんてしたものが負け、負けるが勝ちというのが常識です。本来、商売をするときに、10以上の力をいれて、なんとか10を稼ぐというのが「三方よし」の実践的な形ですので、譲り渡したとしてもそれを奪った競争相手が自分の大事にしてきた人たちを守れたとしたら、自分は身を引いたとしても天晴れなものです。そういう中で全体的な産業の発展も円満に進むのだろうと思います。
2013年05月21日
物事を検討するのと物事を進めるのとは違う概念です。検討しても進まないことのほうが多く、物事を進めるための検討というのは実績になりやすいものです。ノーリスクな検討を重ねているタイプの検討というのは、実際に何もしていないのと同じで、物事を前に進めて、答えを見極めるような形が一番ほどに判断も付きやすいものです。

売れる売れないかで迷っているよりも、実際にやってみて売れるか売れないという判断を早めに出したほうが、一人の人間が何日も仕事しないで検討だけしているよりも、損は少ないでしょうし、また、やらないという判断の場合、そういう方はいつまでも時間が掛かってやらないままであることが多いのです。また、プロでありながらも分からないことも分からないまま、次のチャンスで重い腰が上げられるのか。上がらんと思いますし、上げたとしても一生とかのトータルで見るとすばやく動いている人に比べ勝るはずがないのです。

そういうのが今まで仕事をやってきたやってこなかったの実績的なもので、仕事というのは長くしているから上手ということもなく、仕事を覚え始めたときの学習能力が一番高く、そのあとは学習能力も一般的には落ちていくものですし、仕事に対する意欲というものも経験や人脈でお金を稼ごうとするので一般には衰えていくものです。

知識や経験があっても実際に仕事をしていないと急速に衰えていくもので、昔は出来たのに今はできないというような商品も多いものです。一旦、衰えるとそれが前の水準に戻ることは難しいものです。村の加治屋さんなんかが消えてしまった背景なんかが、天然記念物のトキが消えるのと同じような運命でまた希少性にしても同じです。
2013年05月20日
今日は海外向けの出荷を行いました。DHLの営業所に持ち込もうと高速道路に乗った途端のリフレッシュ工事の片側規制での大渋滞で、締め切り時間に間に合わず、受け取りはしてもらったものの、今日の便には乗らず、結局帰ったら午後9時過ぎ。丁度昨年も同じようなことがあったなあと思い出しました。

お昼過ぎには先日1枚確認のためにお送りしたストールに関して、お電話があってつけるロゴタブを変更するお話で、確認してよかったなあと思いました。午後からはお客様で、海外向けの一つの後染めの企画に関して知恵を貸していただこうと京都からわざわざお越し下さいました。

また、今日は、あるプロジェクトで、リネンの不思議な特性を発見。私の思っていたのと違う物性をリネン生地が示すので、今晩、寝ながらでもじっくりとその理由を考えてみようと思いました。案外、寝ているときに仕事の答えが見つかるものです。
2013年05月19日
今日は雨がしとしとと降る一日。今日も朝から倉庫です。今日は何とか撮影も捗り、昨日と今日で目標の2日分の20種類以上を撮り終えました。同時にハンガーも作っています。夕方までに出荷の案件をいくつか終え。夜には、画像を10数点アップしました。倉庫には、麻関連の数千種類の布がありますが、それを1年掛かっても撮り終えることが一つの目標です。

倉庫のもののほうが今作るものよりもよいというのは、時間のあるときにじっくりとモノづくりをしたからだろうといえます。仕事が少ないときに積む覚悟をして作ったものが多いので、そういうものというのは残しても価値のあるものをつくろうと何倍ものコストを掛けて見本的に1反づつ作ってあります。

中には、縦キズが全通の反物もあったりしますが、そんな反物でも処分せずに15年ほども経つと、懐かしいなあという思い出が詰まった布になっていて、キズがあろうが、その布の価値というものはそれほど私にとっては低くは無いのです。反物なんて上手に縫製する力があれば一つのキズなんてカバーできるもの。

昔は縫製の力があったから、良い布を使うことができたのだろうと言えなくも無いのです。今は、国内というのは、OEM的な、がっちゃんな縫製にどこもがなりつつあるので、糸からして安全な糸しか使うことが出来ない形に追いやられてきたのが、日本のものづくりの特徴であったりもいたします。
2013年05月18日
朝から倉庫。倉庫の中は暑い日でも驚くほどひんやりとしています。倉庫の一角で撮影が行えるようなセットをつくって、とりあえず、倉庫や在庫の反物を一日10種類撮影しようと目標を立てました。倉庫の中の照明が暗いので照明を追加するもののなかなかオリジナルな色味が出ずに苦戦して、今日は7種類どまりで出荷に着手。

今回のプレミアムテキスタイルでは、150番手のリネンストールが、一番ピックアップが多かったのです。お客様の声を聞いて参考になったのが、オフ白よりも生成のほうがよいということ、それは、白だとファンデーションなどの色が移ったりして汚れやすいからという、売れ筋を形成するのはカラーコーディネイトだけではなく、モノづくりというのは実用面でのプラスマイナスを理解していないと難しいなあと思う展です。

真っ白なハンカチが売れるのかと思いきや、オフ白のハンカチのほうがリネンのハンカチとしては人気があったことも、林与が行った調査では、1対9くらいの差があって、オフ白のハンカチのほうが好まれやすいという傾向も判明をいたしました。それも、同様な理由の部分も含んでいるんだろうと思います。また、日本人は、一般的に塩素系や蛍光系の漂白を嫌う傾向があるのかもしれないと思います。

150番手リネンストールは、ビンテージアイリッシュリネン140番手ストールの派生商品になり、現行の150番手の糸を使っており手の届くところにまで来たのではないかと思います。現行の糸を使っているとはいうものの、150番手クラスとなると供給が安定せず、糸在庫があるときでないとなかなか納期が読めないのです。

それには、ファイバー原料の背景からして特殊なので、リネン紡績工場にとっても重い腰を上げないと引く事のできない糸なのです。リネン150番手の織物というと、カシミヤ以上に希少な織物であったりするのですが、織れる機屋も少ないのであまり話題にはなりにくいものです。リネンストールは150番手をガーゼに織るので、比較的簡単なのです。アパレル向けに150番手を通常の糊付けの方法で織ろうとするといろいろと大変です。
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