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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2014年10月01日
10月は衣替の季節なのだが、まだ、自動販売機はCOLDばっかり。アイスコーヒーも飲めないことはないけれども、夏でもHOT派なので、HOTコーヒーがないのは寂しい限り。

HOTがないわけではない。この夏など轢きたてのコーヒーがコンビニでヒットしたが、いつの日か私もあのカウンターの上のコーヒーメーカーのコーヒーを飲むことになるのだろうか。セルフサービスで無料でもよいんじゃあないかみたいなものをよく販売を成り立たせるまでにしたものだと思う。

あの目立つマシーンを使うことで目立てる心理を駆り立てたことが、購買に繋がっているのではなかろうかとも思う。中年のおっちゃんの自己主張の道具なのかもしれない。
2014年09月30日
小春日和とでもいいますか、暖かな一日。空気が透き通っているような気がして、外にいたい気持ちなのですが、工場のなかの仕事に追われます。

ジャガードの横糸の調子が悪いので、レピアヘッドを修理したり、カッターを調整したりするも駄目。ほかの数箇所の調整もしても直らないので、結論は、糸。糸のチーズを同じロットながら交換すると、調子よく織れはじめる。この糸にしても国産の最高クラスを謳うラミー糸なのだがそれでも今はそんなもの。これも初めての経験でなく同じロットでもチーズの交換すると問題なく織れるというのはこの数年で数回目の経験。国産糸の危機を感じる。

まあ天然繊維、不安定なこともあろう、丁寧に織ってあげるしかない。高い糸に昔ほどの価値はなくなってしまっているのは残念なこと。こういう当たり外れが当たり前になりはじめるというのも人という要素が大きいのではないかと思う。
2014年09月29日
小さなループが時々出る。この問題解決する方法の一つを試みるが解決できない。二番目の解決方法を確かめる。ほかに気になるところを数箇所調整して、問題のない状態に収まって織物が織れ出す。原因もわからずに解決してしまうと逆にすごく不安である。

普通の企画の織物ならこの問題は出ないが一杯一杯に織っておる織物で、糸も特別なので問題が置きやすい。心配なのは納期、この織機はうまく調整できたが、台数を増やしたときに同じような規格で織れるだろうか。

一台の織機をひたすら動かすという方法しかないのだろうか。それでも調子がよければそのほうが早く綺麗に織物が織り上がる。

10月も終わりに上海での展示会、この数年は手一杯にいつも仕事をいただきながら、少しの挑戦のつもりで展示会に出て作ったものをご覧いただく。最近は春ものが2月はもちろん、12月くらいから出始める流れ、11月、12月には縫製がなされ、店頭に並び始め6月には夏物も終わりを迎える。
2014年09月28日
不思議なことにずーっと調子よく織っていた台で、厚織の布がだぶる問題が発生。いろいろなところを再調整するが、なかなかダブって織れないので困った。気がついたのが、テンプルの角度が両方とも変わってしまっていて機能していない。これではテンプルがテンプルとしての機能を果たしていないので、だぶるのも仕方ない。

今日は、午前中、近くの機屋さんへいって織機を見せてもらう。織っているものが、今の林与のものとはまったく違う世界で、林与でいうと50年前の世界がそこにはまだある。社長のお話を聞いていると堅実極まりない経営で、和装の世界が縮小する流れの中でも生き残られたのには大きな理由があるのがわかる。

大事に大事に守ってこられた織機たち、織機の癖なども織機の上に貼られたメモに書き留められ、完璧に調整をしてもまだ織るのが難しい織物であるということが分かる。難しい織物で低速なので非常に地道な仕事、でも、その世界が途絶えるともう復活はないだろうと思える。

織物の問題点などを聞いていても、私が普段苦戦している問題と共通の問題を問題としてみておられるぎりぎりに挑んでおられる機屋さんそのものなのだが、先代の世代の方で今も朝の6時半から織機を動かしておられるというのを聞いて、私はまだ若いのだからそれ以上のことをやらねば超えられないだろうと思った。

いろいろな先生方の経営に関する講演会があるけれども、経営における成功の定義すらもが微妙なことが多い。業界で生き残ることよりも業界を支えることを視点におくような経営が理想ではないのだろうか。
2014年09月27日
イタリアから帰ったときに、京都のはるか乗換えで、4分しかなく、スーツケースを2つ持ってダッシュ。それ以来、右脚の腰の下に痛みを伴う違和感が続いていた。今日、ビームを持ち上げたら、今度は左脚のひざに負担が掛かって、痛み、歩くのも痛い。

が、右腰の痛みを感じなくなった。人というのは一番痛いところの痛みを感じるものなんだろうなあと知る。昨日まで右脚をかばいながら歩いていたのに、今日からは左脚をかばいながら歩く。

痛みとは別だが、老眼は50くらいで襲うという。私に老眼が襲うのだろうか。自分的には、パソコンなんかでも通常の半分くらいの文字を見続けていて、まだもっと小さくても情報量が増えてありがたいと思っているくらいなので、老眼にはならないと思う。

細番手の織物を織っていて老眼が襲うと、織物を正しくつくれなくなる確立は非常に高くなり、老眼にならないことが織物を続ける秘訣で、ノートパソコンの小さな文字を長め続けていることが、老眼防止に役立っているのではないだろうかと思う。
2014年09月26日
先日、価格競争の挙句に廃業したお店が名前を変えてやっていたので、夜7時頃に行ってみました。本当にお客さんが少なくてびっくり。投売りの商品も買う人もいない状態。外資系っぽい看板がつくとなぜかこの地域では流行らないというマイジンクス。

飽和してしまっていると感じるのが、たとえば、コピー機。電話で、近くに営業できているので今日お会いできないかというむちゃくちゃな話、迷惑な電話をしてきて、さらに、会おうとしている。業務用のコピー機ですら、本体価格はゼロ円商売になりつつあるのだろうか、家庭用プリンタと同じで消耗品ビジネスとなり始めている。コピー機なんて、すでにああって満足しているので、無料でもいらないとはっきりいっているのに、日本語すらも伝わらない。

押し売りに近い状態でないと、シャープのコピー機というのはもう売れなくなってしまっているのだろうかと思える。LEDビジネスでも、アイリスオオヤマのLEDは売れないものなのだろうかと感じるのは、その押し売り度の高さ。両方のセールストーク、無料でも要らないといってもまだ売ろうとし話をとめない。

あなたの会社の社長を早く電話に出して同じことをやってあげるからというと急に驚いたようにどのセールスも黙る。そもそもそういう会社は社長や経営方針が胡散臭く、騙したら勝ちというスタイルを貫いている。企業の存在そのものがマイナスなのだが、そういう企業が業績が高いという詐欺まがい商法、携帯電話の勧誘でもよくある。日本のビジネス機器関連の上場企業の業績がこういうのに支えられているというのは悲しいが現実。
2014年09月25日
今日は、ストールサンプルの追い込み。機が見つからずに筬を通し直して織っている。テキスタイルマルシェが終わってそのまま、追い込みに突入。昼過ぎ、銀行に行って書類作成。帰ってきて、クロネコの発送締切に間に合わせるためにさらなる作業。

織っているジャガードも調子が悪いというので見ると、織れないのも非常に簡単な問題だが、こういうのは何十年も織物を織っている人でも分からないことが多いのだが、私には常にこういう問題の解決ばかりが降りかかる。私が見ると、これもあれも駄目というところが残っていて、それを取り除けば、今まで織れなかったのがウソのように織機が動き出す。

こういうのって、織機だけの問題じゃないだろう。林与の会社もそうだが、日本の経済をみてしても、これもあれも駄目みたいなところたくさん残っていてそれを放置したまま。そういうのを直していくと良くなっていくのだろうが、本来はその駄目なものを直していくのが現場の仕事だろうが、直すところまでの覚悟がないままに日々の仕事が流れていることが多いものだ。
2014年09月24日
昨日、手紡の方のお話を聞いているなかで、インドのカディの織物の話が出てきました。600番手の織物というのは国の宝として織られているそうですが、薄すぎて用途が見つけにくいというくらいだそう。

綿の紡績でも300番手くらいが量産物として登場し始めていて、糸は引けてもそれを織るところがあるのか、また、それを使えるアイテムやまたブランドがあるのかという問題が生まれてくるものです。

私としては、用途は後からでもよいので、細い糸を紡いだり紡績する技術が存在していることが大事に思えたりするものです。商売になるかならないかじゃなく、やっていることの究極を求めるようなところに惹かれたりするものです。
2014年09月23日
今日はテキスタイルマルシェ最終日、祭日ということと、ホビーラホビーレさんのワークショップがあるということで、朝からお客さんの数は多い。今日は、お客さんの途切れた合間に、事務局のスピニングされている方とお話。

オーガニックの糸を使っておられ、通常の紡績で跳ねられた落ち綿をガラ紡で紡績し、ガラ紡でもさらに落ち綿ができるそうで、それを手紡で紡ぐそうで、それは繊維長が短く手織でしか織れない糸だそう。普通のスピニングに使う原料ならいくらでも手に入るのに、大事に育てられたオーガニックの原料を最後まで使い切ろうとする精神には驚く。

意味があるのは出来上がったものというより、そういう精神の存在だろう。出来上がったものはそういう精神の結晶。人が夢中になれるものや意義を感じることを見つけることが出来たときに価値観への到達があろう。織物でもそうだが、ゼロから何かをつくりだしたり、必要以上の何かを求めるところに哲学を感じる。

明日からはスピニングフェアが東京であるそうで、日本中の糸つくりに熱い思いをはせる人たちが集うという。ミツバチなんかもそうだが本能的なものづくりの精神というものを感じる。自分自身が身の回りのものを作り上げるというのも人が本来生きていくうえで大事な本能の部分じゃないのだろうか。
2014年09月21日
今日は日曜日、なぜかお客様は少な目。天気がよいので外に遊びに出ておられるのだろうという憶測。今日は昨日販売させていただいたストールが、タバコのにおいがするということでご連絡をメールでいただいた。

弊社の事務所では、お客様が年に数回タバコを吸われる以外には、タバコを吸う者はいないのだが、問屋さんに納めて一ヶ月ほどたって数量が多いということで返品されたもので、問屋さんでタバコのにおいが移ってしまったのかと推測する。お客様にはそのような推測をご説明し、お許しいただいたが今後は注意すべきこととして、入念なチェックをしたい。

リネンというのは消臭効果があるとされ、それは匂いを吸い取りやすいということではないのかと思ったりもする。ときどき、ストールなどでもクリーニングから上がったようなダウニー系の柔軟剤の匂いがすることがあるが、そういうのに違和感を感じられる方も多いと思う。


2014年09月18日
テキスタイルマルシェの会場で、オーガニックコットンを栽培されている方の話で、月に一回集まるくらいでは綿の収穫も難しいので、使うことはないけども枯葉剤を使いたい気持ちになるといわれるのを聞いて、環境にやさしいということと人に優しいということとは相反する部分があるのを実感する。

麻織物なんかも、太い番手だとそれほど人の力を必要としないが、切れやすい細番手は人が仕事をするときに、綿の織物の何倍もの手間が掛かる。人に優しくない織物なのかもしれないが、糸の扱いにくさなんかからも自然というものを実感できる。

オーガニックなことをやろうとしている人のオーガニックなコンセプトよりも、自分自身が働こうとされているところに共感を覚える。仕事すると利益があがるどころかお金を使ってしまう。自分が仕事しないで他の人に仕事をしてもらって上前を撥ねるというのが多い中、繊維を作るために糸から作ろうというのは覚悟がいること。

なんでも楽しもうみたいなムードメーカーがたくさんいるのがうらやましいところ、また、若いときに自分のやろうと思うことを実行できるというのもうらやましいところ、他の人が準備したことをするでなく、自分自身が計画を立てて自分のリスクで実際に実行することが大事。
2014年09月17日
今日はテキスタイルマルシェ初日、朝は相当賑わったようだが、私自身、朝一番で銀行にいかないとならない用件があって、午後からの会場入り。今日は、一般のお客さま以外にも、リネン日記を日ごろお読み下さっている4人の方が会いに来て下さいました。

奈良の後加工を得意とするIPテキスタイルさんが、初出展で、冬に向く素材感で海外向けも好調というお話をされていて、生地の表情をみていて高級ブランド向けに強そうな表情で、かつ、ストレッチという今のトレンドを取り入れられておられます。あたりまえのこと生地と生地を張り合わせたボンディング素材というのは石油系のドライクリーニングが必要とか、ウレタンストレッチは耐久性的には2シーズンくらいだとか。素材を扱う上での注意事項なども理由も含め教えていただきました。

今日の林与に来てくださったお客様の要望としては、秋冬のリネン素材がほしいというこですが、どこの出展者も自分の販売している生地に関しては一番詳しいので、正しい話が聞けるものです。

とで、2日目には少し厚手で柔らかなタイプのリネンをご用意させていただこうと思います。イタリアのミラノウニカの着分サンプル用にとっておいた生地ですので、各色数メートル限りの販売になりますが、また、この秋冬に間に合うと思います。

今回のテキスタイルマルシェの特徴は、ワークショップがもりだくさんということ。林与はワークショップを開催しておりませんが、5社がワークショップを開催されています。アトリエミラボーのカルトナージュ、アートファイバーエンドのタッセル、昇苑くみひもの小田巻きとタッセル、YS企画のマジョリカブローチ、ふく江のスマホケースとセルビッジキーホルダーという5つのラインナップになります。申し込みは当日できるそうです。

あと、テキスタイルマルシェとは別のイベントですが、林与の目の前には、布絵の展示即売が行われていて、布で作り上げる本物そっくりな作品には感心します。
2014年09月16日
今日はテキスタイルマルシェの準備、朝からせっせと会社案内の印刷、キッチンクロスなどの値札付、今回は、キッチンクロス小さいものを中心に500枚以上準備完了。正規品のハギレなどを残しておいて、それをランダムな長さでキッチンクロスに縫製したので、一枚が500円程度のものがたくさんです。やはり、一番人気はL25HDタイプです。前回も300枚ほどを売り切りました。

ものづくりをしていて一つ思うのが流通という部分。生地を織ってもそれをお使いいただけるような流れが大事。リネン25HDタイプは画期的といえば画期的なキッチンクロス。薄手やガーゼなものが主流だったキッチンクロスの世界で、しっかりとした厚手のキッチンクロスをお披露目しました。何十年も使っていただけます。何年も使ってすごく柔らかくなったとおっしゃって下さるお客様も多いです。



2014年09月15日
ミラノウニカで感じたのは、イタリアのブランドなんかは特に、ブランドの名前と同じ本名の方が来て下さるケースが多いのです。これって、大事なことなのかもしれないと思うのは、自分の名前をつけたブランドを展開していくというところが、今も残っているというところ。

日本の場合は、自分の名前で立ち上がることが今は少ないと思います。自分の名前をつけてスタートしちゃうと、このブランドはこういうコンセプトだからという風には逃げられない。ブランドコンセプトじゃなく、自分のフィロソフィーの表現の仕方がブランドということ。

自分のスタイルを追求するというのが大事なのだろうなあと思います。日本の場合は、市場のニーズに合わせるという要素が強くて、ファッション業界というものにおいても、売れるか売れないかがポイントとされてしまうところがありますが、本来は、損得勘定じゃない哲学的な部分がものづくりには流れていないと揺るがないスタイルというものは作れないと思うところ。
2014年09月14日
ミラノで取った携帯の画像を、ミラノウニカジャパンパビリオンにまとめました。どこに行ったのかよくわかってませんでしたが、記録にしておくと忘れてしまわない気がします。ミラノの町は絵になるなあと思います。 http://www.hayashiyo.com/page/24

昨日の夜と朝でネットのお客様向けの残っていたご発送の半分以上を終えました。今日出来なかった分のお客様のご発送は明日完了を予定しております。お待たせしておりすみません。また、午後から阪急うめだ本店でのテキスタイルマルシェで販売する反物を出荷しました。紙包7袋で新しい本麻手もみのチェックも入っています。

前々回、前回と好評のキッチンクロス関連もL25キッチンクロスHDを中心に、キッチンクロスを今回も何百枚か用意しました。いろいろなタイプ、大きさのキッチンクロスを販売いたしますので、気に入ったものがありましたら買ってくださいね。

季節は秋なので、リネンにお客様が興味を示していただけるかどうかは心配をするところですが、お時間のあられます方は、初日の17日は正午から(17日の午前中はおりません)、ほかの日は終日、売り場のセッセ広場にいる予定ですのでお越し下さいね。
2014年09月13日
日本にもどった、今回は中国経由。行きは北京でのトランジットだったけど、帰りは上海での乗り換え。上海では一度、中国入国と出国という形で、日本行きの便に載ることになる。浦東国際空港のなかの味千ラーメンを食べた。手持ちの中国元がないので、日本円で支払えそうなお店だろうと思ったから。

ラーメンの味は、日本国内で食べるラーメンからすると味が劣るが、空港で食べるものということを割り切るなら、円で支払いを受け付けてくれるだけでもありがたい。早朝で空港内が寒く、暖かいものを食べたい状況だったので嬉しい。

関空まで戻ってくるともう普通の日常。1週間旅行していたことが遠い過去のことのように思われる。夕方、家に戻り、仕事モード。飛行機の中でも普段以上によく寝ることが出来たし、今回は時間にも余裕があって大きなトラブルもない海外だった。準備し忘れた物もなかったし。

ミラノウニカ仕様のブースもよく出来ている、ハンガーを並べるだけでそこそこの雰囲気が出て、また、ブース内にテーブルを置くだけでほかに置くと邪魔にみえるくらいなので、ハンガーとメモだけあればよい感じの出展ができるのだ。これなら次回は展示会当日の朝に1時間で準備も可能に思える。

林与の出展で、生地ハンガーの展示だけじゃなく、ストールとワンピースという製品の形での展示にしたので、それが目立って、ブースの奥まで見に来てもらえる一つの要因になったのではなかろうかと思う部分もある。ヨーロッパの方にも受け入れられやすい柔らかさにしたのも正解であったろうと思う。ストールなどは頬に擦り付けて肌触りを確認されていた。

普段は注文数量や在庫の有無で値段なども変わってくるので、ハンガーに値段を表示しないのだが、今回は言葉が通じ難いので値段をすべてのハンガーに値段も記載した。ヨーロッパの方でも、林与のリネンの値段を見て驚かれることが多い。細番手のアイリッシュリネンなども効果ながら混ぜておいたが、アイリッシュリネンを選ばれた方は本当に多い。手が出ないけども、スワッチを少しでもよいのでほしいとおっしゃって下さる方もおられ、こういうリネンがあるということをヨーロッパの方に知ってもらうことも展示会出展の意義だと思う。

林与の細番手リネンに置き換えて近江上布の柄を展開するプロジェクトは、十分受け入れられたと思う。ヨーロッパでも近江上布のアーカイブを何十人ものデザイナーさんたちが食い入るように見てくださった。始めてこんなのをみたと驚いてくださるケースがほとんど。林与が恵まれているのは歴史的な背景にも恵まれていて、おじいさんの時代のモノづくりが今世界の人を魅了する。さて、私がどうそれを引き継いでいけるのかだが、一つはプリントという形、もう一つは絣での再現もあろうか。

戦後の麻の禁制が解けた後の15年のモノづくりが布の世界では人々に感銘を与える。仕事を超えて、フランス人のファッションプレス関連のデザイナーの方やイタリアのデザインの先生と初対面で一時間とか二時間、ものづくりがどうあるべきか話をしたり、その方たちというのが60歳くらいの方々だったりして、初対面で打ち解けて話せるというのも布の力の持つなんじゃあないだろうかと思うのだ。

今回のミラノウニカは、大満足の結果に終わった。林与自身の力だけじゃなく、たくさんの皆さんに助けてもらっての成果で感謝したい。ミラノウニカに来ておられる皆さんというのは前向きに動いておられる方ばかりで、そういう日本チームの一員として参加させていただけたことも、日本の繊維業界の元気な皆さんとの出会いをいただけてよかったと思う。

地元の能登川の駅で迎えの車に乗ろうとすると、ファブリカ村の陽子さんもお客さんを送ってこられたようでお出会いしてちょこっと雑談。イタリアから帰ってきたというご報告すると、麻組合さんもこの9月パリのメゾンデオブジェに出展されているお話。パリでも日本の伝統工芸の展示は好評価を得たのではないかと思う。
2014年09月12日
今朝は、ホテルをチェックアウト。このホテルに滞在して、カドルナの町の雰囲気が体験できてよかった。ホテルも日本のホテルとは違って、門を開けた向こう側の世界。1階はホテル事務室、2階はホテルで、3階以上はアパートかマンションで普通にイタリアの人が生活している建物なのだろうと思う。門の外は路面電車トラムが走るが、門の中はすごく静か。洗濯を干す場所もなく、建物は古く見えても部屋の中は近代的な設備が備わっているのだろう。

カドルナの街並みは鉄格子の窓が並ぶので、これはきっとずーっと昔から泥棒対策なのだろう、それともデザインなのだろうか。夜になると通りには自動車がならんでいるだけの石の文化を感じさせる。歩いていても土を踏むことがなく石の上を歩く生活。木の文化の日本とは違うファッション感覚が生まれるのは当たり前なのだろう。

今回は、接客は通訳の方が担当してもらい、帰国後スワッチ送付ができるように帳面の管理を私がやった。いつも展示会では接客していて書き留めるまもなく次から次にお客さんと話すという形が多いが、あとで思い出してもあやふやなことが多いので、今回のような形のほうがよいのだろうと思った。17日からはテキスタイルマルシェなのだが、スワッチ送付も1週間以内に終われるようにしたい。

ネットのお客様も在庫確認お待ちいただいている状況で、13日からまだご送付出来て折らないお客様の在庫確認を行います。お待たせしておりますが、よろしくお願いいたします。
2014年09月11日
ミラノウニカ最終日、朝のうちのお客さんが少なめのうちにお隣の福田織物の社長とお話してて、ファミリーオリエンティッドな会社というのはやはり似たような境遇をお持ちなのだなあと。それでいて、境遇の違い、経験の違い、考え方の違いなんかが、ものづくりやビジネススタイルの違いも生み出したり。

何が正しいのかはタイミングによって変わることも多いし、自分と他の人との組み合わせによっても変わるだろうと思う。全部がうまく回らないと一つの仕事も完結しないもので、ものづくりといいながらも技術じゃない人のメンタリティ的な要素のほうが、仕事があってもうまく行かない原因を作り出すことも多い。

今日はお客さんは最終日で少なめだったが、最終日というのは、よいと思った生地をサンプルを送ってもらって検討というよりも、これに決めたみたいな感じのお客さんが多いように思う。少しお客さんが少なくなったタイミングに山梨のブースもお邪魔させてもらった。シルクの世界のものづくりのお話を聞かせてもらったが、正絹は光沢がよいのかと思いきや、光りすぎるのは嫌われる傾向にあるという。そうなると、シルクの糸は、光沢のあるのがよい糸だと思っていたのに、糸の価値観からして変わってしまうのが怖いところ。

ミラノウニカ3日。思った以上にお客さんにも来て貰え、見て貰えた。新しく作った生地に対する反応をみることができて非常によい。ピックアップされたスワッチなども発送準備するときにどういう傾向があるのかを再度確認したい。

夜は、山梨チームがレストランで打ち上げされるのに誘っていただいて、これぞイタリア料理みたいな料理を食べた。おいしかった。終わってから一人、12時過ぎ、地下鉄にのってホテルに帰ろうとしたが、ドーモの駅で最終の地下鉄が出てしまい。地下鉄のゲートも鍵がかかって出られない。

なんとか職員をみつけて外にでて、ドーモを記念撮影。さてどうやってホテルまで帰るのか。歩いて帰るにも地図もないのだ。所持金20ユーロ。明日の枕チップ1ユーロと空港までのマルペンサエクスプレス12ユーロは残しておかないとまた明日ややこしくなるので、タクシーには乗れない。

目の前を走っている路面電車トラムにのって帰れるのじゃあないかと、カドルナ駅行きのトラムを探して、なんとか帰れた。トラムも始めて乗ったが市内の風景が眺められて気持ちいい。
2014年09月10日
林与がミラノにおりまして、留守のものでは確認のできない在庫がありご発送が遅れてしまっております。すみません。13日には在庫確認を行いますのでよろしくお願いいたします。

今日は、ホテルで朝食を食べてから出発、2日間使えるメトロチケットを買って、水なども仕入れて会場入り。最初の1時間くらいはお客様も少ないが、その後はお客様が続く状態。空いた時間には日本チームの皆さんがしゃべりに遊びに来て下さり和やかな一日。

通訳の方とも話をしていて共通した感触は、海外のデザイナーの皆さんが昔の近江上布に関心をもってくださるということ。力のこもった布なので私もよく分かる。これを昔のように一年に何百反もつくれる力が残っていればと思うが、将来また倉庫から昔の道具を取り出して、やりたいなあという気持ちには傾くが、自分の時間がどれだけあっても足りなくなるだろう。

イタリアの国に来て総じて思うのは、イタリアの国でも織物をつくるのは今の時代には難しいだろうなあというのを、イタリアの国に来てイタリアのライフスタイルをみても感じる。みんな親切なのだが案外アバウトなのだ。日本以上にイタリアの織物の産業を継承というものは難しいだろうと感じる。

カドルナ周辺の重厚さは、レオナルドダビンチの最後の晩餐の世界を髣髴させるのだろうか、外の世界というのは鬼がいるかのごとく門で閉ざされた世界、楽園を門の中に求めるような生活スタイル、そこに強いコミュニティ意識が芽生えるのだろう。








2014年09月09日
初日はお客さんがずーっと続くような状態で、イタリアのお客様というのは、日本や中国での展示会とは違って、順番に見に来てくださる感じ。ブースのお客さんがいなくなったら次のお客様が来てくださるような。パニックがないのでありがたい。

イタリアはやはりイタリア語でコミュニケーションを取れることが大事なのだろうと感じたのは、通訳の方の活躍。日本でもなかなか社長気分にはなれないが、イタリアに来て始めて社長気分での展示会。通訳の方は、元繊維関連におられたので商談対応も適切。一部、セレクトの少ないお客様にはその場でスワッチを渡して、帰ってからのスワッチ送付のことを頭に叩き込むことが出来る。

林与の出展もストールやワンピースでの展示で近江上布柄を乗せてのいて人目を引いているとは思う。AWのコレクションで麻を出展して、見てもらえる人が続くというのは、ありがたい話である。お生み上布プリント柄の柄ベースとなる昔の近江上布アーカイブも展示したが、こちらのほうか皆さんの関心を引いて、そのもの自体は非売品なのだが、そういうものを始めてみた人というのが多く、ほかでは見たことがないといってくださるケースが多い。多くの方に見てもらえて関心を持ってもらえたことはありがたい。

一時間に5組から6組くらいは来られると思うので、50組以上の方には見て触っていただけたろうと思う。日本の麻機屋のものづくりの存在があることをイタリアの皆さんに知ってもらうにはミラノウニカはやはり絶好の機会である。ジャパンパビリオンのあるHALL2は4階の会場なので、ジャパンパビリオンにお客さんが来られるのかという心配もあったけども、すごく多い人の流れでどのブースも盛況であった。

夜には、別会場のイタリアの食文化を体験できるEATELYという場所での記念イベント。各フロアーごとに違うワインを飲めるということらしいが1Fで何倍も飲んで大満足モード。2Fでは、赤ワインを飲んだ後、水を調達。3Fでは魚のバーベキューを食べたり。パンを食べ過ぎたか、地下鉄の駅に向かって帰る途中、アナフィラキシー。道も間違えずに帰れて、ぎりぎりホテルにたどり着いてセーフ。
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